第78話 小さな小さな結婚式。



本日は晴天なり。

ふたりを祝福してくれるようなそんな快晴の日に俺たちはチャペルで挙式をあげる。


 入場は通常新郎が先に新婦が親族と共に後からが通常だけれど、俺達はふたり共に入場していく。見守るは俺の両親と如月社長に菊池さん。そう、俺達が行うのは小さな小さな結婚式。


 俺たちは大切な人、大きな繋がりがある人しか呼んでいなかった。俺は親戚等集まめたとしてもほとんど会ったこともない知らない方々を集めても意味がないと思い必要ないと考えた。そして、コウさんは仕事や付き合いを考えれば実際は相当数の人が集まるだろうと思うのだが必要ないと言い切った。


 俺もコウさんも本当に祝福を受けたい人だけで良いとそう望んだのだった。




 そんな中流れるは賛美歌。


 牧師の前までふたりたどり着く。

 白いウエディングドレスをまとったコウさんと黒いタキシードで身を包んだ俺。


 そして牧師による聖書朗読からふたりの誓約が始まる。

 まずは俺が誓いそしてコウさんが誓う。そしてふたりは指輪の交換へ。

 俺がコウさんの指へとはめ、そして今度はコウさんが俺の指へとはめた。


 そして牧師の言葉の後に俺とコウさんは誓いのキスを交わす。


 最後に結婚の証明。ふたりが証明書にサインの後に牧師によるサインが書き込まれる。


 これで結婚が成立、牧師から参列した4人へ報告がなされた。


「これでふたりの結婚が成立したことをご報告させて頂きます」




 その言葉で両親、如月さんそして菊池さんから俺たちに拍手を送られた。そんな中、挙式が終わったと直ぐにコウさんは


「ソウくんーー」


 そう言って俺に飛び込んできた。俺はいきなりの突進で慌ててしまったがなんとか受け止めた。おかげでそんな行動に牧師さんも少し驚き気味だ。そしてコウさんは


「これからもよろしくね」


 そう言い俺に再度キスをしてきた。そしてキスを交わした後微笑むコウさん。


「ああ、これからもよろしくね。コウさん」


 そんないつもらしさなコウさんを見て俺も微笑みながら言葉を返していた。




 ウエディングドレスを着ていても変わらないコウさんの行動にみんなは


「ほんと落ち着きなさい、幸。そんな格好してもあなたは止まらないのね」


 そうボヤく如月社長。


「まあ仕方ないでしょうね。創くんの側にいると仕事以外はあの状態しか見たことないですから」


 そんな事を言うのは菊池さん。


「もう見慣れてきましたけどね。これが幸さんですからねえ、あなた」


「ああ、元気があって良いんじゃないか? 」


 とこれが当たり前だぞと言わんばかりなことを言ううちの両親。




 俺たちが行ったのは小さな小さな結婚式。

 それでもこの和やかで温かさをくれるこの人たちに包まれて行われたことは幸せなことだと思った。そしてこの小さな形だからこそより大きく俺の心に感じられたのかもしれないなんてそう思った。


 そして俺の胸にいるコウさん。この人が俺の前に現れたから、側に居てくれるからこの幸せを手に入れられたんだってそう思ったのだった。

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