第69話 今年の予定。



 俺達はおみくじも引いた後、神社を後にした。ちなみにコウさんは吉で俺は凶。というか凶とか止めてくれよと俺は思いながらそのおみくじを神社の木に巻き付けてきた。


 参拝も終わった帰り道、1月は風も強く寒差を感じる。そんな中でもコウさんは俺の手を繋ぎ嬉しそうに笑っていた。


「ソウくん、今年はいろいろあるね。ソウくんの卒業、そしてマネージャーとして就職。入籍に結婚式、後は新婚旅行かな? 」


 新年に入ってコウさんは今年の行事をいろいろと思い描いているようだ。


「そうだね。今年は充実した年になりそうかな? 」


 俺がそう答えると


「今更かもしれないけれど私がソウくんの卒業式に行っても大丈夫かな? 」


 とコウさんも流石に少しは気を使うようになったのかそんな心配をしていた。


「確かに今更かもしれないけれどさ。来てくれるなら俺は嬉しいかな? まあ騒ぎにはなるだろうけど」


 とちょっと苦笑しながらそう告げた。


「そか。なら行くからね。ソウくんの晴れ姿見に行かないともったいないよ」


 コウさんはそう言いながら俺に笑い返してくれた。




「あっその前にバレンタインがあるなあ」


 コウさんは急に思い出したようにそんな事を言いだした。それを聞いて俺はチョコなんてもらったことがないので全然気にしていなかったなあなんて考えていると


「ソウくんに手作りチョコ作るね。初めてあげる手作りチョコだよ。おまけに初本命チョコ! 義理チョコは流石に女優やってると配ったりしてたけど。でも既製品だったからね」


 ともう今から作り出しそうな勢いでそう俺に伝えてきた。


「俺、チョコって母さんからしかもらったことなかったからなあ」


「ということは私のチョコが初本命チョコってことだ。嬉しいな。ソウくんの初めてをまたもらっちゃうよ」


 とコウさんはそう言って俺の言葉に喜んでいた。


「多分まだまだ初めてってことたくさんあると思うよ。確かに一時期彼女が出来て付き合ったけれど大したことしてないからさ。というか今考えると付き合っていたのかなあって思ってしまうよ。コウさんといると」


「うぅぅ。あの人がいなければ……初彼女ももらえたのになあ」


 とコウさんは高梨を思い出したのかちょっと不機嫌そうになってそう言ってきた。


「ごめんごめん。高梨のこと出しちゃって。ただね。付き合うってこういうことなんだなあってコウさんと一緒にいるようになってから分かった気がするんだ。心から思い合ってさ。一緒に居たいって思えてさ。相手の事を大事に思うそんな関係なんだってさ。ほんとコウさんに対する思いは他の人と全然違うんだ。もうコウさんがいない生活なんて考えられないほどにね」


 俺は謝りながらもコウさんにそう伝えた。すると


「私は最初からそうだったんだから。ソウくんが私のこと気付くのが遅かっただけだよ」


 とコウさんは頬を膨らませながらも笑みが今にも出そうなそんな顔をして俺に言った。けれどさ。


「だってしょうがないじゃない。コウさんのこと男の人だって思ってたんだからさ」


 と俺は困ったようにコウさんに言い訳した。そんな俺に


「ふふふったしかにそうだもんね。私も悪かったんだよね。わかったよ。これで許してあげる」


 そう言ってコウさんは俺の頬に勢いよくキスをしたのだった。


  



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