第67話 まったくしないということはないのです。



 イベントなんて特にしないと言っても全くしないということもないわけで今日は元旦。コウさんも休みをもらって家族みんなでのんびりとしている。みんな揃って「あけましておめでとう」の挨拶の後におせちをつまんで語り合ったりしていた。




「創は仕事の方はどうなんだ? 」


 父さんは俺に聞いてきた。


「ああ、わからないなりにもコウさんを支えられるように頑張ってるよ。まあまだダメダメだけどね」


 と俺が言うと


「ううん。ソウくんは頑張っていますよ。私としては側に居てくれるだけで十分なんですけどね」


 とコウさんがフォローしてくれる。


「そんなに甘やかしたら駄目よ。幸さんはほんとに創に甘いんだから」


 と忠告を入れるのは母さん。まあコウさんが俺に甘いのは確かだしなにも言い返せない。


「そう言えば我が家、もうすぐ増築も終わるらしいぞ」


「本当ですか? ソウくんと私の愛の巣。楽しみだなあ」


 コウさんは父さんの言葉を聞きとても嬉しそうな顔をしてそう告げた。


「まあこれで幸さんも気兼ねなく住めるようになるからな」


 と父さんはそんな事を言うと、コウさんは


「いえ、今までも気兼ねなく居させてもらってましたよ。お義父さん、お義母さんには本当にお世話になって。いきなり現れて会ったその日に宿泊までさせてもらって……それからも私のことも考えていただいて本当の両親みたいで嬉しいです」


 とコウさんは両親に思っていることを伝えていた。


「そう言ってくれると嬉しいわね。創、ほんとにいい娘をもらったわ。あっまだ入籍してなかったわね」


「母さんも人のこと言えないね。まだだからな」


 とそれを聞いた両親はそう言いながら笑っていたのだった。




「創たちは初詣はどうする? 」


 と父さんが話を変えるように俺たちに聞いてきた。


「うん、そろそろ行こうかなって。近場の神社にしようと思ってる。大きな人の多いところにはコウさんいるし行けないよ。騒ぎになってもらっても困るし」


 と俺が言うと


「うぅぅ。なんだか私が悪いみたいじゃない」


 とコウさんは少し恨めしそうに俺を見ながらそう言った。


「そういうわけじゃないんだけどね。でも新年早々騒ぎ起こしたくないでしょ? 」


「まあそれはわかるんだけどね」


 とコウさんはなんだかんだと言いながら同意はしてくれた。


「そうか。一緒に行けたらと思っていたんだけどちょっと私は無理そうだ。酒を飲みすぎたかもしれん」


 と父さんはそう言いながら頭を下げてきた。確かに父さんはコウさんが居るせいか今年はとても機嫌が良い感じでお酒も飲みすぎてるなあと思ってはいた。まあ一緒に行けないくらい気にしなくてもいいのにと俺は思い


「そんなの気にしなくていいのに。後で父さんは母さんと行ったら良いよ」


 と俺が言うと


「それにふたりを邪魔しちゃ悪いしな、なあ母さん」


「そうねあなた」


 と両親はお邪魔虫は去るというような感じで俺たちに言った。


 それを聞いたコウさんは恥ずかしがる様子も見せず


「お義父さんお義母さんがお邪魔虫とかありえませんし。それにですね。誰がいても私はソウくんとイチャイチャしますから問題ありませんよ? 」


 なんてことを宣言するのだった。

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