第61話 少しずつ変わりだす日常。



 婚約をしたからと言って変わったところは……最初からベッドで一緒に寝ることくらいで……いやもともと途中から俺の布団に潜り込んできていたわけだし以前とそう変わりはない。


 あっでもひとつ違うことがあって……今俺の家族は全員コウさん宅で暮らしている。というのも婚約後すぐに結婚後の住居をどうするかとコウさんはすぐに考え始めたわけで。

 結論としてはロケ等家にいないことも多くなるだろうと1軒買うよりも現在の家を増築して部屋を作り住めればいいのではと。それにコウさんは俺の両親も気に入ってくれているようで一緒に住めたほうが良いと思ってくれていて。

 最初はその話を聞いた両親はお金や新婚の邪魔にならないか等の心配をしていたのだが「なにも心配しなくても良いです。私は一緒に住みたいんです」とのコウさんの熱意に負け了承してしまい現在俺の家を現在リフォームというか増築をしていたのだった。


 

 そんな猪突猛進なコウさんは現在引退撤回と婚約の準備をしているらしい。話す内容は揃っているが、前回と違い時間的余裕が十分あることから先に要所の企業やスポンサーに説明周りをしているそうだ。


 さて、俺に関しては婚約とは別にはなるが大きな変化が訪れていた。

 学校に関してはCMの影響はまだあるが通常通り通えてはいた。まあ婚約発表が行われればまた騒がしくなるのかなあと少し不安な要素を持ってはいるが。

 そんな中、変化が訪れているのは土日等の休日だった。以前なら俺が休みなので仕事を休みたがっていたコウさんだけど今はしっかりと通っている。その理由というのが俺も仮マネージャーとして勉強のためにコウさんに同行していたから。平日は学校があるため同行できないので休日に採用前の勉強ということで参加させてもらっているのだった。そのため


「ソウくんがいるならしっかり働きますよ? それにいろいろと教えないとね」


 とコウさんは張り切っていたりする。そのコウさん、今まで自分でできることは自分ですると言って専属のマネージャーはつけていなかったらしい。そのため菊池さんは本来ボディガードのみなんだけどコウさんのフォローもしていたようで。


 とりあえず俺は芸能界のことが全然分かっていない素人なので悪戦苦闘の連続だった。けれど横にコウさんが寄り添って教えてくれたりフォローしてくれたりと女優業より俺のことばかり気にしてないかとちょっと不安になるくらいの動きをしてくれていた。


 そんなコウさんに度々申し訳なく思っている俺にいつも


「ひとりで頑張らなくて良いんだよ。ふたりで一緒に頑張りましょう。歩きましょう。本当なら一緒に居てくれるだけでも私はいいんだからね」

 

 なんて声をかけてくれるコウさん。




 そんなコウさんのために一緒に頑張れるようしっかりとしなきゃと前を向き直す日々が続いていたのだった。



 

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