第50話 コウさんへの隠し事。
夏休み初日は結局なにか特別なことをするということもなく夜に行われる如月さんと両親との話し合いまでのんびりと過ごすことにした。
なんというかコウさんといれば特段別になにかをしたいと言うこともない。ただふたり一緒に居て話ししてくっついてのんびりして……コウさんが居ればそれでいいそんな時間の過ごし方が普通となっていた。
この時間を過ごすといつも思ってしまう。なにかしていなければ間が持たないとか緊張してしまうとかそういう事がまったくないこの関係って本当に良いなと。
そしてコウさんもそうあってほしいななんて思いながら。
さて、夜の如月さんと両親の会話だけれど結論を言えばあっという間に終わった。うちの両親は特に何も言わず
「創から話は聞いてます。よろしくおねがいします」
とそれだけだったから。
にしても何となく感じるんだけどうちの両親って俺のことよりコウさんのことを大事にしてないか? 俺の意見よりコウさんの意見を取ることも多いし。泊まりにしてもそうだったしなあ。まあ面倒くさくなるより良いしコウさんと仲が良いということは今後も安心ってことだからと俺は気にしないことにした。
というよりも今回は俺より如月さんのほうがあっさり解決しすぎて終わってからキョトンとしてた気がしたけど。
ちなみにCM撮影は交渉が長引いたせいで制作期限が短いことから急いでいるらしく早速来週末の土曜に撮影を行うと伝えられた。撮影は1日でいいらしい。演技等も必要ないものらしい。
ちょっと不安になったからか思わずコウさんを見てしまった俺。するとコウさんは「大丈夫だよ」と俺の腕に手を添えてそう言ってくれる。
確かに撮影内容を聞いても多分俺にはさっぱりだからここはコウさんを頼って頑張ろうと思ったのだった。
あと、俺は如月さんの帰り際に連絡先を聞いておいた。
なぜかというと俺も今後のことを俺なりに考えてはいるわけで、そのことについて如月さんに相談したいと思っていたからだ。
そう告げるとコウさんとのことでの相談ならと如月さんもすんなり了承してくれた。
なお、相談の内容もあって俺としてもコウさんの仕事姿を見てから相談したほうが良いと思ったのでCM撮影終了後に連絡して日程を決めることにした。
こうやって如月さんに相談との機会を得ることができたのだが……俺は思った。
コウさんに内緒で事を進めるのって結構難しいなって。時間があればいつもふたり一緒に居るわけで。それに隠し事なんてしようものなら絶対コウさんがふくれるって目に見えているし。
まあ、それでも今回はまだ伝えたくない。きちんと考えの形ができあがってからじゃないと。
そして今度は俺がコウさんに出来ることをしてあげたい。
だから今回は許してほしい。
俺とコウさんの未来についてのことだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます