第46話 問題事。



 文化祭も無事に終われば次は夏休み前の一学期末試験が待っていた。進学するつもりのない俺にとっては赤点さえ取らなければという軽めな気持ちで受けられるのでそこまで切羽詰まっては居ない。おまけに毎日少しずつ勉強もしているわけだし。

 そうそう、勉強しているときコウさんは何をしているかというと俺のベッドに座り俺を眺めている。別のことしてきていいよと言っても俺を見ている方が良いと幸せそうな顔で俺が勉強しているところをじっと眺めていた。

 今は大分気にならなくなってきては居るけれど、最初はコウさんにじっと見つめられて照れたものだ。


 さて、後日テストも終わり答案も返ってきて確認したところ赤点無く終わることが出来たわけだけれど。

 それよりも俺には別に気になることがあった。それは一学期末試験が終わった後に如月さん、コウさんの事務所社長が話があると言っていることだ。コウさんだけでなく俺にもということで。


 そのため、今日は如月さんがコウさん宅に来る予定になっていて、俺はコウさんとともにコウさん宅で如月さんが来るのを待っていた。


「一体なんだろね。ソウくんにまで話があることって」


 コウさんもなにも聞いて無いようでちょっと不安な顔をしていた。


「まあ如月さんだし変な話は持ってこないでしょ」


 と俺は答えるけれど


「いやあの社長何考えてるかわからない所あるからなあ」


 とコウさんはそんな事を言う。


「まあ聞いてみないとわかんないしね」


 と俺は答えふたりゆっくりとお茶を飲みふたり如月さんを待っていたのだった。




 しばらくして如月さんが到着。コウさんが如月さんを出迎えリビングまで通してきた。


「創くんおひさしぶり。呼び出してごめんなさいね」


「いえいえ、いつもコウさんと一緒にいるわけですし別に問題ないですよ」


 そう如月さんと俺は挨拶を交わす。


「本当に幸は創くんのこと好き好きみたいねえ。いっときも離れないんじゃないの? 」


 なんていう如月さん。まあある意味そうかも、時間があればくっついてますし。


「そりゃ当たり前じゃない。ソウくん居たらくっつかないわけないじゃない」


 なんて当たり前のように言うコウさん。如月さんはちょっと呆れたように


「創くん、あなたも大変ね」


 なんてぼそっと俺に言うのだった。




 早速如月さんを対面に俺とコウさんが並んで座る。


「早速なんだけどちょっと困ったことがあってね。幸のCM依頼があってね。あっ引退前に受けていたやつね。それのスポンサーなんだけど引退するとは聞いていないと最初は怒っていたんで今まで交渉してきたのだけれど、最近急に態度を変えてきてね。困ったことに創くんと幸が一緒にCMに出演するなら考慮するって言ってきて……どうも幸と創くんの交際の話題に目をつけたようなのよ。断りたいのはやまやまなんだけどそことの関係は切りたくないのよ。幸以降他の子がそのスポンサーのCMを取るためにね」


 そこまで如月さんが話したところでコウさんが


「社長? ソウくんを巻き込もうとするの? そんなの認められないよ」


 とコウさんが慌てて拒否の発言をした。


「幸が言いたいことは分かってるわよ。私もこういうことしたくないって思ってるけど……あなただけの話じゃないのよ。今後人気を取るために他の子たちも出たいと願うCM枠なのよ。幸だけのことなら断れば済むけれどそういうわけにもいかないのよ」


 と如月さんも困っているようで。俺は考える。今までコウさんが俺のために色々としてくれた。そうこの原因もコウさんだけじゃない俺が原因でもあることで。それなのに知らないとは流石に言えるわけない。

 コウさんのためになるならば……


「如月さんいいですよ。出ますよ。というかこんな素人出して大丈夫なのか? と逆に不安なんですけどね。コウさんが引退を決めたのも俺があってのことだから。できることはします」




 俺は如月さんにそう告げた。コウさんが心配そうに俺を見ているその横で……

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