第37話 職員室に呼ばれました。



 流石にこのまま居づらかったのだろう高梨は昼から早退したようだ。どんな理由で帰ったかはわからないけれど。そして浮気の噂は俺と高梨の修羅場を作ったことや高梨がいないこと、そして俺に直接聞きにくいということもあるのだろうコソコソとは話しているようだが沈静化はしたようだ。


 その後は特に問題なく終わりホームルームとなったわけだが、そこで


「入江、これが終わったら職員室に来てくれ」


 と先生に呼ばれてしまった。高梨のことか? といろいろと考えてしまうけれど断るわけにもいかないし素直に職員室へと行くことにした。


 先生は先に向かったわけだが俺は鞄に荷物を直しつつため息をつきながらも職員室に向かおうとした。


「まっ大変だろうが頑張れ、じゃあな」


 とまた隣の真崎が声をかけてきた。そこで思わず


「真崎。俺にここ最近声かけてきてるけどなにか気分でも変わったか? 」


 と聞いてみた。すると真崎は


「ん? 俺は何も変わってないけど。俺って必要以上に人に声を掛けないだけなんだが。昨日もだけど入江がちと気の毒に感じて声をかけただけなんだけどな」


 と別に気にすることもなくそう言った。確かに真崎とはそこまで交流のある友人ってわけでもなかったし、よく話したりしていたわけでもなかった。俺から声をかけることのほうが多かったかなあ? とぼんやりと思え返してみるがあんまりよく覚えていないな。


「もしかして周りの奴らのように嫉妬やらで避けてたとでも思っていたか? んなもん俺は気にしてないけどな。まああれだけ周囲から露骨に避けられりゃ疑い深くもなるか」


 そして「まっ気にするな」と一言残し先に真崎は帰っていったわけだけど。うーん、俺も執拗以上に気にしすぎてたってことかなあとそんな事を考えながら、他のクラスメイトの視線は置いといて職員室へと向かっていったのだった。




 職員室に近くなるとなぜか人だかりができている。え? なぜ? と思いながらも人を掻き分け職員室をノック後「入江、入ります」と声を上げ入っていった。すると、ドスッとなにかがぶつかってきた。

「いてっ」と思いながらもよく見てみると……なぜかいるコウさん。ん? なんでまた居るの? と思っていると


「ソウくん大丈夫? 今日さ。いきなり記者に囲まれてソウくんの話しされてさ。何がなんだかわかんなくて仕事終わってからこっちに来たんだよ。でも、校門で待っていたら先生たちが来てね。「あなたが校門に居るとまた騒ぎになるからお願いだから職員室で待っててもらえないか」って言われて……はははっここで待っていんだよ」


 と心配しながらもそんな事を言うコウさん。あっ俺、朝の件コウさんに話してないことを思い出す。


「コウさんごめん。朝の件連絡してなかったわ。迷惑かけてごめん。何言われているかわかんなかったでしょ? 」


「ううん、さっきここでニュースを見たよ。ソウくんの朝の立ち回り、かっこよかったよ」




 どうも朝の件もニュースに取り上げられたようだった。というか一般人ネタをニュースにするなよ……


 そんなことを思っていると横から


「入江に坂梨さん……そろそろいいかな」


 と抱きついてる俺達に少し困りながら先生は話しかけてきたのだった。


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