第35話 宣言。
家に帰り着いた後俺は両親にきちんとコウさんとお付き合いすることを両親に報告した。両親が「おめでとう」と素直に認めてくれたのはいいのだが、俺達ふたりは両親に温かい目で見られるのが恥ずかしくコウさんにいたってはそれから逃げるように時間を切り上げ早々と帰っていった。そうすれば取り残されるのは俺一人、しばらく両親にいじられ続けるのだった。
翌日、いつもより早く目覚めてしまうも2度寝はする気にならなかったので朝食を食べるかと台所へと向おうとしたわけだが台所からなんだか賑やかな声が聞こえてきて。何があったのかと不思議に思い慌てて向かうとなぜか両親が大笑いしていた。
「ふたりともどうしたの? 」
俺がそう聞いてみると、父さんが
「昨日は相当楽しかったみたいだな。テレビを見てみろ」
と俺に言った。テレビ? 昨日のことかと慌ててみてみると「坂梨 幸高校で大暴れ」と銘打ったニュースが流れていた。俺は「あちゃー」と思いながら
「昨日の件……テレビで流れているんだね。はぁ」
と呟き、俺は学校に行くのがとても不安になってしまうのだった。
そうは言っても学校をまたサボるわけにもいかないので、朝食を食べた後学校の準備をし少し早めに学校へと向かうことにした。
学校に着けば校門にはどうも記者が居るようで。昨日の件の取材なのか学校に来る生徒たちに聞き込み? をしているようだ。学校に向かいながらそれを見ていると結構な生徒が俺の方を指差す。ってみんなあっさり吐いてるのか? と胸騒ぎがとまらなくなる。
まあ……案の定記者たちに囲まれるわ写真を取られるわ面倒くさい状況になってしまったのだった。
囲まれるとすぐに「お名前をお伺いしても? 」「いつからお付き合いをされているんでしょうか?」「きっかけはなんでしょう?」様々な俺への問いが等飛び交うが一斉に言われても答えられるわけ無いでしょ? と逃げたくなってしまった。
そんな状態の中、俺は報道って一般人は遠慮するみたいな風潮あるのかなあと思っていたので甘かったなと思ってしまった。
さて、どうするかと少し悩む。学校にも迷惑かかるし俺としても毎回こんなことがあっては困る。もうこれからコウさんと共にいるわけだし……やってやるかと俺は考え、目の前にいた記者からマイクを取り上げ
「私が入江 創。坂梨 幸の恋人です! これでいいですか? これ以上は学校に迷惑をかけるので止めて下さい。なにかあれば坂梨 幸に通してからお願いします! 」
と少し大きめの声で記者に告げた。
それを見た記者たちはまさか俺から宣言されると考えていなかったようで、驚きでか学校へ向かう俺を止めることが出来ず俺はやっと学校へと入ることが出来たのだった。
ちなみにその様子もニュースで上げられたようで……って一般人は遠慮するんじゃないのか? と思ったけれどそんなことは関係ないとでも言うかのようにしっかり放送されたらしい。俺は見てないけど。
それをコウさんはしっかりと見たらしく後で「ソウくんかっこよかったよ」と俺がいじられたというのは別のお話。
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