第29話 帰った後の静けさ。



 翌日ひとりで寝ていたはずの布団にはもうひとりいたわけで。まあ、一度一緒に寝ていたこともありそこまで慌てることなく起床することが出来た。「横にいると思うとつい……一緒に寝ちゃった」なんて言うコウさんに特に怒るということもないわけで。


 さてコウさんは今日の昼過ぎには自宅へ帰って明日からの事等いろいろと考えたいということなので、両親とともに朝食を食べその後は帰宅まで俺の部屋でただのんびりとふたりの時間を過ごす。




 そして昼になりコウさんが帰るとなったその時


「引っ越しが終わるまでは毎日会いに来るからね」


 という一言をしっかりと俺の心に残して帰っていったのだった。




 俺は部屋に戻り、ベッドに仰向けに横になりここ2日間のことを思い返す。本当にいろいろとあったなあとしみじみと思ってしまう濃い時間だったなあと。

 コウさんとあってからこんな経験は多分もうないんじゃないかというくらい怒涛の展開というか……いや何度もあってはたまらない出来事だよなと。


 そういえばスマホに登録していたなあと俺はポケットからスマホを取り出す。そしてホーム画面に映る浮気な彼女の画像を削除。そしてフォルダにも保存してある彼女と俺の画像ももう必要ないなと全て削除した。

 ただ、なんのかんの言ってもひと月程度であれ付き合ったわけだから削除する際は少しくらい寂しい気持ちが湧き出るのも仕方ないわけで……

 

 それと彼女とのSNSももう必要ないだろうなあと俺はアプリを開いて確認してみたが、思ったとおり彼女からの着信メッセージはゼロだった。

 まあSNSは学校で話してから削除すればいいかと少し置いておくことにした。俺からは連絡するつもりはないが、もしかすると今日なにかしら彼女が話を掛けてくるかもしれないからと。

 まあ、この2日間何もなかったから連絡はないとは思うんだけどね。


 そんな事をしているうちに彼女に未練は無いはずなんだけどと思うと共に変な寂しさやSNSをまだ削除しない俺って何してるんだろう……馬鹿だよななんて思ってしまった。ほんとどうしてなんだろうね。ひとりになるとまだ駄目だったということなのか? 


 とりあえず俺も明日はきちんと彼女と話をしないといけないな等といろいろ考えているうちにどうやら……母さんが起こしても起きる様子もなかったそんな俺は朝まで寝てしまったようだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る