第25話 父さんの考えるできること。



「さてと話はこのあたりでいいか。まだまだ話さないことはあるだろうけど、幸さんも会見やらなにやらで疲れているだろうし」


 と父さんが話を締めようとしたけれど


「そうだ。幸さん明日はなにかあるのかい? 」


 と父さんはコウさんに尋ねてきた。


「いえ、会見でバタバタしたのもありましたし明日は休みをもらってます」


 そうコウさんは父さんに返事をすると


「なら泊まっていきなさい。今後ふたりでやることがいっぱいあるだろう。そのことについて創とたくさん話すことがあるだろうしね」


 と父さんはあっさりとそんな事を言いだした。


「いや、父さん……コウさんの寝る場所とかないだろ? 家狭いのに」


 と俺が返すと


「同じ部屋で寝ればいいだろ? 創が下に布団でも引いて幸さんがベッドで寝ればいい」


 とわけわからないことを言い出す。俺は言い返そうとしたが父さんは


「創は幸さんのところに泊まってきたんだろ? もう今更だよ」


 なんて言ってきた。それを聞いた隣のコウさんは


「本当に良いんですか? よろしいのでしたら泊まらせていただきます。下着買いに行かないと……」


 なんて言ってて思いっきり乗り気でした……はぁ仕方ないか。どうせ明日は休みだし良いかと俺は諦めたのだった。






 創とコウさんが部屋へと行った後、


「あなた。よかったの? 幸さんを泊まらせて? 」


 夫の私に妻は心配して聞いてきたが


「さっきも言ったとおり今更だろ? それに俺は思うんだよ」


 俺は妻に思っていることを話す。


「俺達に何が出来るかって考えたんだが、今は一緒に過ごす時間を作ってやるくらいしか無いのかなって」


「一緒に過ごす時間……ですか? 」


 妻はそう問い返してきた。


「はっきり言って幸さんの行動には驚いたよ。あそこまで創に執着? とでもいうのか創を大事に思う人が現れるなんてな」


「確かにそうですね。あんな方私も今まで見たことないですね」


 そう言って妻は少し笑ってしまったようだ。


「あそこまで出来る人に何が出来る? してやれる? 俺は大した事はできないなって思ったよ。出来ても今後の軌道修正くらいかなって」


「確かにねぇ……言われるとそうかも知れませんわね」


 俺はお茶を一口のみ喉を潤した後また話しだした。


「これから手助けできることが出てくるかもしれないが、今の時点ではできることと言ったら今後をしっかりと話し合ってもらう時間を作ってやるくらいしか思いつかなかったわけだ。ふたりはこれからすることが一杯だ。話し合う時間もこれから多く持たないといけないだろう。ふたりとも若いし創に至ってはまだ学生だからな。まあ、泊まるくらい別にいいだろ? 娘になるかもしれない子だし」


 俺がそう言うと妻は


「あなたも気が早いわねえ」


 そう言って妻もお茶を飲みながらそう返してきた。




「はぁ、創も大きくなっているんだなあって今日は本当に実感したよ」


 俺はそう言ってまたお茶を一口飲むのだった。


 

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