第24話 家族との会話。



 帰り着いてすぐ母さんに家の中へとふたり連れられてきた。

 今居るのは俺の自宅のリビングダイニング。そこに俺とコウさんが座り、向かいには俺の両親が座っている。

 母さんはいつもどおりにのほほんとしているが父さんのほうは無言でどっしり座っていた。でも俺からすればこれがいつもの父さんなものでそう気にはしていないのだが、コウさんにとってはちょっと怖い印象を受けるかなあと俺は気にしていた。

 ただ、思うのが芸能人だと言って浮ついたようなこともない俺の家族。ほんとそういうところは好ましいなって俺自身思ってしまった。




 さて、とりあえず説明は俺がすることにした。コウさんは緊張が取れてみたいだったから。ある程度は母さんに話していたので、コウさんが俺のために行動を移した、移そうとしていることをメインに両親に話をした。


 慰め・引退・引っ越し等々


 ところどころ足りないところは少し余裕が出てきたコウさんが説明の補足をしてくれた。


 母さんは俺から電話で伝えていたからか、あまり聞かなくて良いと思ったのかちょくちょく席を外しお茶を入れてきたり夕飯の用意をしたりといつもどおり落ち着きのない姿を俺達に晒していたけれど。

 父さんの方はコウさんの行動に驚いているように俺には見えたが、そこまで表情を崩さずじっと聞いていた。




 話し終えた俺とコウさんに、父さんは


「で……創はどうするんだ? 今までの話は全部コウさんがやった、やろうとしている話だよな? 」


 ここで初めて父さんが口を開く。


「うん、はっきり言って昨日から今まで驚愕と驚きばかりで何も出来なかったよ。だから最初は俺にできることを少しずつだけどやっていくよ。まずはコウさんに俺も一緒に居たいということはこっちに来る前に伝えたよ。そして浮気した彼女と来週早々に別れようと考えている。それが終わったら今後コウさんを大切にできるよう、一緒にいることができるよういろいろと考えて行動していくよ。まだまだわからないこといっぱいだけどね」


「今後コウさんと共にいる覚悟はできているということでいいんだな? 」


「ああ、そうだね」


 俺がそう言うと父さんは


「コウさん、いや幸さんか? どっちで呼んでよいかわからないが」


 呼び方に悩みながらも話を続けた。


「幸さんが創のことを大切に思っていることしっかりと伝わったよ。創に人生を捧げていると言っても良い行動までしてくれた。感謝しかない。創も幸さんと一緒にいると心に決めたようだ。それならふたりのことに俺がいちいち言うことなんてなにもない。だから俺からは伝えられるのはこれだけだ」


 そう言いながら父さんは


「幸さん……創を宜しくおねがいします」


 とコウさんに頭を下げていた。そんな父さんを見てコウさんは


「そんな頭を上げて下さい。私がソウくんと一緒にいたいがためにしたことです。私の我儘でしたことなんですから」


 困惑しながらも俺の父さんにそう告げる。


「いや……創のためにここまでしてくれる、創をここまで大事にしてくれる人なんて幸さん以外他に居ないとさえ俺は思えたよ。俺達両親でもここまで出来ないかもしれない。だから俺はとても嬉しいんだ。創、素敵な人と出会えてよかったな。ちょっと強引ではあったけどな」

 

 今まで無口だった父さん。そんな父さんが少し笑いながらも俺達ふたりに伝えてくれた言葉はとても嬉しく温かい言葉だった。


「ああ、出会えてよかったと思ってるよ」


 と俺が言うと


「幸さん、創を幸せにしてやってくれ。創も幸さんを幸せにするんだぞ。まあまだ学生の身いろいろと大変だろうが頑張れよ」


 父さんはそう言って笑みを浮かべていた。それを受けコウさんは


「はい、私が出来ること全てでソウくんを幸せにします」


 コウさんは少し目に輝くものを浮かべながら俺の父さんにそう言い切るのだった。




 そんな中、母さんは


「あらあら、創と幸さんの結婚まで決まったようなそんな雰囲気になったわね。でもそれで良いでしょ? だって人生を掛けてプロポーズした幸さんって感じですものね」


 とそんな事をいうので、コウさんは顔を真赤にして「そこまで考えてはなかったんですけど……」と少し顔を赤くしてしまうのだった。まあ俺も横で真っ赤にしていたんだけれども。

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