第23話 認めてくれるのかい?
着替え終え寝室から出てきたコウさんの服装はすこしきっちりとしたスーツっぽい格好だった。ブラウスを着て上着を羽織りちょっと短めのスカート。ほんとになんでも似合うんだなあとぼーと見惚れてしまった俺はきっと悪くない。
「やっぱりソウくんの両親に会うんだからきっちりしてないとまずいかなあと思って。シンプルさも忘れずにかな? 」
そう言って微笑むコウさん。
「コウさん似合ってるなあって見惚れてたよ」
俺は素直に言葉を発する。
「もう、そこまで見つめられると照れるじゃないか」
そう言って照れながらも俺の横にぽすんっと座って
「そろそろ行く? 」
とコウさんが聞いてきたので
「行く前にコウさんに話があるんだけど」
俺はコウさんの方を向きそう伝えていた。
「ん? そんな真剣な顔をして……なんか怖いな」
コウさんはちょっとびっくりしてそんな事を言う。
「いや、変なことは言わないよ。えっとね。コウさんが俺の前に現れてから驚いたり困惑することがいっぱいだったけど、いろんなものを俺にくれて。辛かったこともどっかにふっ飛ばしてくれて。ほんとうにありがとう。だけど、昨日から俺ってコウさんから受け取ってばかりで何も返せてないんだよね」
「うーん。別に何かを返してもらおうとして行動してたわけじゃないから気にしなくていいのに」
とコウさんは困った顔をして言葉を返してきた。だから俺は
「だから俺のできることをきちんとやらないといけないって思って。とりあえず来週学校に行ったら彼女と別れてくる。相手が浮気したんだからすぐに別れられると思うんだけど少し待ってて。こういうことははっきりとさせないと面倒なことになるかもしれないから。そうしたらコウさん、俺の側にずっと居てくれるかい? 」
そうコウさんに告げていた。俺の言葉を聞いたコウさんは
「それはソウくんの側に居てもいいって認めてくれるってことかい? 本音を言うと今まで私が一方的にソウくんに気持ちを伝えるだけで「居ても良い」とか「居てほしい」とか認めてくれる言葉をソウくん全く言ってくれなかったから少し心配してたんだ……」
と心の内を吐露してくれた。
「ごめんね。俺も驚きと困惑ばかりで言葉が出てこなかったんだと思う。えーと。俺はコウさんのことが好きだよ。男だろうと女だろうとコウさんが大事なのは変わらない。だからずっと側に居てほしい」
俺がそう告げるとコウさんは思い切り幸せそうな笑顔を見せてくれた。
「もう遠慮しなくて良いね。これからいっぱいソウくんと一緒にいるからね」
えーと……今まで遠慮してたのかい? と思うもコウさんの笑顔を見たらそれ以上何も言えなくなる俺であった。
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