第17話 はじまりの日。
ふたりでベッドに寝るということで俺が先に入り、コウさんは俺の横へともぞもぞと入ってくる。そしてすぐにコウさんは俺の手を握ってきた。
俺は仰向けで寝ようとしていたが、コウさんは横向きで俺の顔を見つめていた。
「そんなに見られると寝れないんだけど」
手を繋ぐことにもすこし抵抗があったけれど、それよりも俺の顔を凝視されるほうがきになってすごく寝づらいことに気付いた俺。
「好きな人の顔を見ながら寝るって幸せじゃない? 」
はぁコウさんがそこまで幸せそうにしているのを見てしまうともう俺は何も言えない。
「わかったよ。いくらでも見てください。それでコウさんが満足できるなら。でも早く寝てよ? 明日は忙しいでしょ? 」
「そうだね。明日は記者やらに追っかけまくられるだろうから忙しいだろうねえ。でも、これが終わればソウくんと一緒にいることができると思うとなんてことないよ」
そういうコウさんは困った顔というより希望に満ちた顔をしていた。
そういえばコウさんのスマホの着信は収まっているようだ。さすがにいつまでも鳴らないよな。これで安心して眠れるなと
「さて、寝ようか。俺も今日は怒涛の1日だったから結構眠いや」
「うん、おやすみ。そうそう、朝は先に出掛けていると思うから……家でゆっくりしといてね」
「うん、ゆっくり待っておくよ。コウさん頑張って。おやすみ」
そう言って俺は目を瞑ると緊張してなかなか寝付けないかと思っていだけれどあっという間に夢の中へと誘われていた。
「ソウくんも疲れていたんだね。ごめんね。でも、ありがとう」
そう言ってコウさんも目を瞑る。そして夢の中へと旅立って行った。
ガタガタと音がする。目を覚ますと私、コウのスマホが鳴っているようだ。着信を見てみると社長からだった。仕方ないとソウくんと繋いでいた手を離し、私は着信を取る。
「幸、おはよう。昨日はゆっくり眠れた? 」
「ああ、横にソウくんが居たから。久しぶりに熟睡できた気がするよ」
「あんた想い人を家に泊めたの? 」
「うん。ソウくんのお母さんとも交渉してなんとかね」
私がそう言うと
「はぁ……想い人さんに対してのバイタリティは凄いわね。まあ、あなたがずっと望んでいたことだしね。そうなるのも仕方ないのかしら。あっそうそう、今日は多分パパラッチがあちこちに居るだろうから菊池くんをそっちに送ったから。迎えに来たら一緒に来て。ひとりだときっと危ないと思うから」
菊池くんとはボディーガードと言ったら良いのか、ひとりだと危険だと思われる時私に付き添ってくれる人だ。
「わかったわ。さて、今日は私が新しい日々を送るためのはじまりの日。頑張りますか」
私がそう言うと
「想い人のことになるとあなたは短絡的だし思慮も足りないから注意してよ。無事に終わりたいでしょ? 」
社長は心配してかそんな事を言ってくる。
「うん、気をつけるよ。社長、フォローお願いね」
私も流石にそこは理解しているので、素直に社長に頼るのだった。
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