第12話 寝ぼけたコウさん。



 横でもぞもぞと動き出しているようなそんな感じ。そろそろコウさんも起きるかなと眺めていると


「あーーソウくんだぁ。。。なんで目の前にいるのかなぁ。あっ夢かぁ。だったら……してもいいよね」


 なんかまだ寝ぼけているらしい。というか寝ぼけているコウさん可愛すぎじゃない? そう思っているとコウさんの整った顔が俺の顔に近づいてくる。ん? もしかしてしたいことって? そう思い俺は慌ててコウさんの頭にチョップを打つ。


「あいたっ。あっソウくん……おはよう? あれ? もしかして私寝ぼけてなにかした? 」


 チョップで目が覚めたコウさん。慌てた顔でそんな事を言う。


「ごめん。コウさん寝ぼけて俺になにかしようとしたからチョップしといた」


 何をしようとしたかは言わない。俺もちょっと恥ずかしいから。


「いや……こっちこそごめん。何をしようとしたかはわからないけれど迷惑をかけたみたいで」


「ううん。迷惑はかかってないから安心して」


 謝ってくるコウさんに俺は気にしないように言った。まあ別にされていたとしても怒りはしない。ただ、俺はまだあの彼女と別れてもないしコウさんともまだ交際を始めたわけでもない。そのうえ会って間もないコウさんが寝ぼけ眼な状態でするのは違うって思うから。


「うん、わかった。気にしないことにするよ」


 コウさんは俺の言葉を聞いて少し落ち着いたような気がした。そんなコウさん、落ち着きを取り戻したからか俺の顔を見つめてながら


「それにしても起きた時に目の前にソウくんが居るっていうのはほんといいね。幸せだよ」


 なんて事を言ってくれる。俺はその言葉を聞いて照れてしまい赤くなった顔をコウさんから逸らすのだった。




 もう夕方近く、とりあえず母さんに電話をしないといけないと思い俺はコウさんに一言伝え家に電話をかけた。


「はい、入江ですが? 」


「ごめん母さん。俺だよ、創」


「はぁ、やっと電話してきたのね。にしても随分遅かったわね。もう帰ってくるの? 」


 母さんはそう聞いてくるので


「いやちょっと話があってね。今日さ。コウさんが泊まってくれって言って聞かなくてさ。だから泊まってくるかもしれないって。それを母さんに連絡しようと思って電話したんだけど」


 俺は泊まることを告げると


「ちょっと待って、待って。創。コウさんって女性だったよね? え? なんでそんなとこに泊まるのよ? 彼女居たんじゃなかったの? 」


 さすがに母さんも困惑しているようで。俺は仕方ないとなぜ今日コウさんと俺がなぜ一緒にいるのかを説明した。彼女に浮気された事も含めて。


「……創もなんかいろいろとあったわけね。だけど、女性のところに泊まるのは私としてはなんとも言い難いんだけど……」


 うん、さすがに母さんもいいよとは簡単には言わないだろうと思ってたよ。すると、コウさんが俺に代わって欲しいと身振り手振りで伝えてきた。


「母さん、コウさんが代わりたいって。話聞いてくれる? 」


 母さんに俺がそう言うと


「はぁ。わかったわよ。ちょっと代わってみて。話してみるから」


 母さんはなんとか了承してくれた。




 しばらく母さんとコウさんは会話をしていた。母さんの声が聞こえないのでどんな風に話が進んでいるのか俺にはよくわからない。けれど、会話の中でどうもコウさんが女優坂梨 幸という事を母さんに話したようだ。さすがに母さんは信じられなかったみたいで、コウさんは証拠として俺とコウさんが一緒に映る写真をスマホで取り母さんのスマホに転送。それをみた母さんは困惑しながらもやっと納得したようだ。


 そんな事がありながらも、俺はコウさんにあとは任せたとふたりの会話が終わるのをぼーっと待っていたのだった。



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