第02話 コウさんの正体。
30分も掛からず家のインターホンの音がなる。コウさんだなと俺は玄関へと向かい扉を開ける。そこには見たこともないような……いや見たことはあるはずなんだけどきっと普段なら目の前では見ることが出来ない人が目の前に現れた。
「やあ。ふぅ、やっと着いたよ。普通なら30分くらい大した時間じゃないのにソウくんに会えると思うと長く長ーく感じたよ。あっ会うのは初めてだからはじめましてだね。コウだよ」
髪の長いとてもきれいな女性。俺よりもいくつか年上に見える彼女。コウさんの声って女性の声に似ているだけじゃなかったのか? もしかして女装? いやでもこの人見たことあるし。
「ああ、ソウくんごめんな。本当は私、女だったんだ。まあ、そのへんの理由は後で話すよ。それよりもソウくん初めて見ることができたけど、うん。想像通りだ」
コウさんは女性だったらしい。うん。声を聞いててもそう思えていたのだからそう言われても違和感はない。俺の印象は想像通りだったらしい。うん。
そ・れ・よ・り・も
「は……はじめ……まして? コウさん……ですよね? 俺ってこんな人と知り合いだったんだ? 」
一番気になること。この人テレビで見てるんだけど。なんでコウさんと同一人物なの?
「こんな人って失礼だな。ソウくんの友達コウさんだよ? ああ、まさか芸能人だとは思わなかったとそういうことか。まあそこは気にしなくていいよ。ソウくんに会えたし、ずっと側にいたいし引退するよ」
ん? コウさんとんでもないこと言わなかったか? 引退する? 俺と会えたから? そんな理由? そんなことなったら俺日本中から恨まれるぞ。そんな混乱している俺をよそにコウさんは
「えっとそういや自己紹介してなかったね。私の名前は
男性と嘘をついていたことなんて吹っ飛ぶくらいとんでもない人が俺の目の前にいた。そう、いま一番売れていると言われる芸能人、いや女優の坂梨 幸がコウさんの正体だった。
俺が未だにほうけているとコウさんは
「ソウくん、固まってないで奏くんも自己紹介してくれよ。これからもソウくんとは呼ぶけどさ。ちゃんと名前知りたいじゃない? 」
そう言って俺に名前を聞いてきた。
「ああ、えっと俺の名前は
「そっか。最初から私ソウくんのこと前から名前で呼んでたんだねえ。なんだか嬉しいもんだね」
何が嬉しいのか俺にはよくわからないが喜んでいるならそれでいいだろうともうパニック寸前の俺はさらっと流していた。
「さて、自己紹介も終わったことだし……ソウくん出掛けられる? 」
コウさんはそう聞いてきた。
「うん、やる気が起きないからサボっただけで特に用事はないよ」
戸惑いながらもそう答えた俺に
「なら出掛けるよ。準備してきて」
そう言って玄関先に座り込んだコウさん。待ってくれているコウさんを見てから俺は慌てて部屋に戻り着替えてくるのだった。
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