彼女に浮気されたソウくんとネットで知り合ったコウさん。
ここです。
第01話 ソウくんとコウさん。
目が覚めると目の前には見知らぬ天井。見覚えのない部屋にちょっと記憶が混乱してしまい俺は即座に飛び起きる。
部屋を見渡すとテレビだけがついていて、ニュース番組のトップニュースで流れるある人の話題。そしててその横にはテーブルがあり手書きのメモが置かれていた。
内容を読んでみると
「ちょっと出かけてくるからゆっくりしてて。ばたばたしてごめんね。だけど君と離れるのは今日だけだから許して」
そんな言葉が残されていて。そうだった、ここはコウさんの家だったとメモを見て俺はやっと思い出すことができた。
昨日俺は彼女の浮気現場を見てしまった。だから俺は彼女を近くの公園に呼び出して問い詰めてみるとやはり浮気は間違いなく彼女は泣きながらも俺にこう言った。
「彼は遊びだったの。私が本気で好きなのはあなたなの。許してくれるよね? 」
と。
いや意味がわからない。遊びだったら浮気して良いのかよ、本気な相手を裏切って良いのかよといろんな事を考えてしまったけれど、とにかく彼女から離れたかった俺はその後の話も聞かず公園から逃げてしまうのだった。
そんな苦痛を受けた俺はポケットからスマホを取り出す。今の時間は21時。まだ通話はできないかととぼとぼと家へと向かい歩いていく。
結局望んだ相手と通話もせず、俺は家に帰り着くと即座に眠りについてしまった。彼女のことを忘れようとするかのように。
翌日、俺が起きたときにはスマホには通話着信とメッセージが20通ほど着信していた。あちゃー寝ちゃったもんなとお詫びのメッセージを急いで送る。相手は「後でちゃんと説明してよ」と昨日のことについての催促メッセージ。
はい、わかったわかりましたよと心のなかで思いつつ俺は学校に行きたくないなとベッドでただぼけっとしていた。
俺に友達は学校では全くいなくなっていた。少し前までは普通に話すクラスメイトは居たのだけれどあることから嫉妬や嫌悪そういうものを受けてしまい誰とも話せなくなってしまった。まあその原因は浮気した彼女のせいなんだけれど。学校でも人気が高く告白も多くされていたとかなんとか。はっきりいってそのあたりは俺はよくわからない。
彼女を知りたいと思い始めたのは彼女と付き合い始めてからだから。
彼女から告白され付き合い始めてからだから。
その彼女と告白され付き合うことになって一ヶ月程度。まさかその間にここまで人が離れるとは思いもしなかった。恋人になったことで嫉妬や嫌悪を多く受けることとなりいつの間にか彼女以外誰も居なくなった。それでも、彼女がいるからそれでいいと今になると馬鹿なことを考えてしまったもんだと自分を嘲笑してしまう。
特に興味もなかった彼女だけれど、ただ俺には見た目綺麗なだけの彼女だったけれど、付き合っていくうちに惹かれてれていったんだよなと今ではその感じた気持ちがとても虚しく見えてしまった。
家の中を見てもう両親がいないこと確かめるともう学校はサボっちゃおうと俺は部屋に戻りベッドに寝転んだ。はぁただ寝たい、忘れたいとそう思って。
りーーーん。
クラシックな着信音が聞こえる。俺のスマホに着信があった音だ。確認すると相手はコウさん。そう、昨日通話したかった相手からだ。でも夜しか通話できなかったはずじゃと思いも通話を受けた。
「こら! なんで昨日連絡ないんだよ。こっちからかけても出やしないし」
いきなり俺に怒ってくるコウさん。
コウさんとはネットで知り合った友達だ。たしかオンラインゲームをしてて知り合ったと思う。もう2、3年前の話だから結構うろ覚えだ。知り合ってすぐにSNSのメッセージのやり取りをするようになり、今では夜の通話となっていた。
コウさんの声はいつ聞いても女性の声に聞こえる。俺は「コウさん男性だよね? 」と聞くと「そのとおり、男性だよ」と言うので信用するしか無いんだよね。それに会ったこともコウさんの写真等も見たことがないのだから。
「朝は通話出来ないんじゃなかったの? 」
そう俺が聞いてみると
「ソウくんが様子おかしいのにのんびり仕事なんてできないって。手につかないわ。というより学校は? って電話した本人が聞くようなことでもないか? 」
とコウさんは笑いながらそんな事を言う。
「学校はサボったよ。流石に学校に行く気にならなくて」
と俺はサボったことに対して気まずそうにコウさんに言葉を返した。
本来「惚気なんて聞きたくもないよ」と言って彼女の話を聞きたがらないコウさん。だから話しづらかったわけだけれど聞いてくるからには仕方ないと昨日の事を素直に話した。すると
「いらつくね、そんな女だったわけかい。ソウくん住所教えて。今からソウくんのところ行くから。……ふむふむ。そこなら車で行くから、そうだね30分ってとこかな。ちょっと待ってて」
そう言って通話を切ったコウさん。え? コウさんの用事はどうすんの? 忙しいんだろうになにしちゃってんの?
そう思いながらもコウさんの優しい気持ちがとても心に響くのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます