第36話 🌻一大決心

次の日朝からレイが現れた。

多分行事が全部片付いて暇が

出来たのだろう。


「ごめん。甘夏、実は

一週間前に帰っていた。」


「お疲れー。」


寝ながらポテトチップをバリバリ

食べながら生ぬるい返事をした。


「う、うん、でな‼

話があって...な‼」


「何?カワンさんの家に帰して

くれるの?」


「エッ‼いや、そうでは無い‼

それはダメだ‼


昨日母上と食事をし たそうだな?」


「ああ、したした。」


「その時母上から確認されたろう?」


「ああ、妾の話?」


「いや妾じゃ無いんだ。第2夫人‼」


「2号?ロボットじゃないし

1号、2号、3号

一緒だってばー‼」



「違う‼2号でも、私には本当の妻だ‼」


レイがギュッと抱き締めてきた。


「えーーいボカッ、離せ‼ガツン

本妻より先に2号に渡りをつけたら

だめなんだよっ‼ボカッボカッ

言いつけるよっ、ルナ様に‼」



レイは、肩を落とし


「2号の件は承知してくれるんだな!

来月から塔に3ヶ月籠り

身を清める。

甘夏とは会えなくなる。」


「ボリバリボリボリは‼?はぁ〜‼

ってか私と会うのけがれる?の?

身を清めるって‼

失礼じゃない?」


「ちっ違う、そんなわけない。

しきたりの問題なんだ。」




「ふうん?しきたりねぇ〜ゞ

ロケットじゃないんだから

1号、2号 3号発射ってか?

あっ‼五号までだっけ?」


レイは慌てて

「2号迄しか娶らぬ‼」

と強く言った。


「あーあそうですか?

台風みたいに1号、2号、3号

呼び方一緒だね。」


あんまり責めたからか

レイは軽く髪にキスをして

部屋から出ていった。





「チッ‼浮気ヤローの嘘つきヤロー。」


「ボリバリボリボリ?あれ!ん?

これポテチだよね。」


あああー‼‎( ⊙⊙)!!カ〇ビーの

ポテトチップスって、

Japanese語で書いてあるっ‼


ベッドの下にはジュディーが

食い荒したようなお菓子が

散乱していた。


「なんで?日本のお菓子が有るの?」


ジュディー、ジュディー、ジュディー

レイは、ジュディーを探して

庭にでた。


ジュディージュディー


すると呼ぶ声を聞き城の物置

みたいな小屋からジュディーが飛び

出して来た。


「ジュディーどこウロウロしてたの?」


ふと目の前にみえる小さな

物置小屋に、甘夏は誘われるよう

にはいって行った。


余興に使うのか色んな飾りや置物

人形、変身道具がこれでもかと

整理されて置いてある。

ずっと奥に進むと姿見の鏡が

置いてあった。



1枚カーブを描いた鏡が置いてあり

遠い昔レイと別れる時泣き

ながら鏡を割った事を思い出した。


確かこうやって入るんだよね。

昔を思い出して手を当てると

ポニョっ、


「あれ?これってまさか?」

体を丸めて全身入って

みた...ら、入れた。



その鏡の中は

あの日の車のなか。

そうだ山のようにお菓子を買い

後ろの席に置きっぱだった。

窓をあけ、当たりを見回す。

車はクーラが効いている。


時間が止まってるのか

時間の流れの差なのか?


薄く貼られた姿見が辛うじて

車に刺さったように見えていた。


又来たところから中に入る。

やはり中は、物置だ。


ある水色のタヌキ?

じやない猫の話が脳を過る。

どこでもド〇‼

甘夏は、鏡にその辺にかけてある

布をかぶせた。

まだ帰るには早すぎる。


何処でもミラーの存在は隠さねば。


甘夏は、昨日の決心より、もっと

強い決心をしていた。

まず明蘭の家を訪ねた。


明蘭の家のベッドには

ハリーが横になっていた。


「ハリー様!?」

甘夏が駆け寄るとあの時のままの

声で・・・


「甘夏か?」

ハリーは、飛び起きた。


仙人の様な髪はスッキリ整えられ、

トウモロコシの様な髭は無く

蝶蘭によく似た目をして甘夏を見た。


「ご無事で何よりでした。」

甘夏は、駆け寄りハリーの無事を喜んだ。


「甘夏、お前の言葉を信じていた。

しかもこの子を助けてくれた

そうだな‼ありがとう。

何とお礼を言うべきか、

感謝しかないぞ。」


「いえ、蝶蘭は、賢い子で

私も色々教えられました。」


「いいえ、甘夏のおかげよ。

親子3人楽しく暮らせてるの。」


「又国を再建されるのでしょう?」


甘夏は、気がかりだった事を聞い

てみた。


「ええ、表向きはそうでも

エドワードが継ぐ事にしたの。

殿下もそうしたらいいと仰ったのよ。


ハリーの怪我が治り次第

国に帰るわ。


「それは?バスブリア国?

ナチリコ国?」


「勿論バスブリア国よ。

ナチリコ国とブラマダ国は、

マノライ国になるのよ。

殿下が納めるらしいの。


殿下なら大丈夫‼

甘夏が居るもの。

平和な国になるわよ。」


「え、⌒-⌒; えへへ

ですかねー。」


「噂で聞いたけど..殿下結婚され

るの?御相手は、甘夏じゃないと

聞いてビックリしてるんだけど...。

どうなの?」



「アハアハ ^◇^;2号ですって。

笑っちゃいますよ〜。」


黙っていたハリーが溜息をつき

「王なる者は国を守る為選択を

余儀なくされるものだ。


国を強く揺るぎのない足場を作る為

目を瞑ることも多々ある。


私はもう疲れたから

明蘭と蝶蘭と普通の家族を

作りたいん だ。


だから王の選出から外れた。

残された人生、

人間としての幸せを選んだ。


殿下も選択肢が無かったのであろう。

3国となれば強い後ろ盾が

欲しくて当たり前なのだよ。」


ハリーは、辛そうな顔をして明蘭を

みた。


「あの頃の明蘭は、

まだまだ子供だった。

妃と仲が良かったから諦めたのだ。


明蘭と出会ってから私は

ずっと明蘭が好きだった。」


明蘭は、うっすらと涙を浮べ

蝶蘭の頭を撫でていた。


可愛らしい、蝶蘭

それを見て思った。

やはり、一生涯愛し、愛される人生が、

ベストだと...。



妾云々はレイの人生

何が辛くて妾人生選ぶんだよ。

私の人生では無い‼


レイには人生を彼と一緒に

歩みたい人が居る、私じゃなくても...

大丈夫。


次の日、狩りに行こうとレイに

誘われたが断った。


ルナ様を誘うように言った、その日。


白い馬が現れ、ルナ様を前に

レイが後ろに乗り、

琴乃から見えるグランドを

1周しキヤッキヤ言いながら、

2人を乗せた馬は軽い音を立てて

走り去っていった。


次の日映画に行こうと

レイは誘ってきた。

又甘夏は、断った。

甘夏が日課のジュディーの、

散歩に出る時間甘夏の前を

黒い高級車の列が繋がり


レイとルナ姫が仲良く

腕を組みながら笑い会い、

レイがエスコートする中

車に乗って出て行つた。



次の日食事に行こうと誘ってきた。

疲れているからと断った。


又レイはルナ姫と2人

イチャイチャしながら仲良く

食事に出掛けて行つた。


レイとルナ姫は、毎日の

デートでより距離が縮まり仲睦まじ

くなって来た。


もう少しレイの気持ちが

しっかり離れルナ姫に傾くまで

もう少し。



愛らしい姫

レイに選択の余地は無し‼。



レイが籠るまで後3日。

庭の散歩に誘われた。

気分が乗らないと断った。


レイは、呆れた顔をして言った。


「2号が気にいらないのか?

なぜ、そんなに不貞腐れている?


気に入らないならそう言えばいい。」


「そう言ったらどうなるの?

貴方に何ができるのよ!


嘘つき、

大嘘つき。」


甘夏は、レイの顔を見るのが

辛くてドアを思いっきり閉めた。


レイは暫くドアの前に座って

いたが諦めたように出ていった。


「貴方に何ができるのょ。!」


その言葉が突き刺さっていた。

次の日ルナ姫は、3ヶ月の籠もりの為

帰っていった。


レイは、又甘夏を夕食に誘った。


甘夏も最後の晩餐のつもりで

付き合う事にした。


ワインカラーの膝上までの

ハーフドレス。

髪は自慢のロングカール。


白い小花を髪にチラシ

可愛らしい出で立ちで玄関で待つ

レイと出て行こうとした。


レイは普通のラフな、黒の

七分袖のニットにチノパン姿

チラッと目が会いすぐ着替えに

引き返した。

ルナ姫と食事に行く時はスーツ姿

映画に行く時もスーツ姿だった。



「ほらっ、ポロポロ

これが本妻と2号の差なのよ。

一生涯こんな気持で

過ごすなんて、耐えられない。

無理よ、レイ‼」


玄関に待つ車の数は同じだった。

それはレイがいるから当た

り前か...。


ポニーテールとジーンズにラフ

なシャツに着替えた。


「さっき凄く可愛かったのに

なんで?やめたの?」


「レイに合わせたのよ。

私とじゃ

この格好が当たり前なん

でしょ。」


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