第30話 🌻狙われた甘夏

「ヘンリー、ウィル、あれ?

ジョンは?」

甘夏が話かけると


「先に、行くってさ?ってか

アイツ誰?」

ヘンリーの言葉に振り向いた

甘夏は…絶句。


頭から湯気だしそうなレイ

が立っていた。


「あらぁ、どうしたん?

彼女ほっぽってて

 よろしいんですか?」


ただならぬ雰囲気にウィルも

気を使ってたが


 

「車出さないと間に合わないよ、

 甘夏どうする?」



「オイ、ジョンとやらの

スペース開いてるだろ!!

 俺も参るじゃない!行く‼」

レイは、叫びながらドカドカと

近付いて来た。



「あーだめだめ、彼女と食事しに

来たのに

 無理!ほっぽってていいの?」


 甘夏がレイを止めた。


「こお~んな、所に彼女だけ

オイテキボリ?

 彼女可哀想でしょっ‼

 お姉さん系のキレイ系。

 あ~んな美人が好みなんだぁ。」


「あ、あれは違う。」


 「は?違う?

 なにが?ちがうんケ?」


 

「…んんん…と、知り合い。

なだけ!!」


 「 …だけ!!プッ 

 あ~んなに、接近してて?」

           ウソウソ

     


「行くぞ甘夏!」

ウィルが時計を何回も見ながら叫ぶ。


 「アアア~ン。ウィル

  まってぇ~。」


何時も出さない甘ったるい声で

お嬢さん走りしながら、

右手左手を腰で左右に揺らし足は、

わざとパタパタ斜めに上げてはしる。

スカートのフリルが可愛らしく

揺れた。


「サイナラァ~お幸せにィ~。」


小憎たらしい一言を残し、

レイを置き去りに車は走り

出した。


「あっ、甘夏の可愛さに、

ついウッカリ…見とれて、チクショウ」

置いていかれた~クソツ


ウグウグいながら店へと引き返した。


「ヨンスン、甘夏

は何処に行った?

 何の用事だ?」


不機嫌なまま椅子にドッカリと

腰掛けた。



「村の女の子のリリーとロバートの

 婚約パーティーですよ。


 甘夏も同じ年頃の友達だって

出来ますよ。

 毎日、買い出しや、店番してるし

 いいじゃありませんか?


 リリーは、カワンの知り合いの

子供だから  カワンも寄り

合いの後に、合流しますよ。


 クスクス「心配いりませんって!!。」


ヨンスンと明蘭は、おかしくて、

でも、笑ったらチャンクが気の

毒な気がして

我慢するのに一苦労‼

プップフフ



レイを見ながら、捕まっ

ている夫ハリーの事を明蘭は

思っていた。


8年も牢獄に入れられもう

ハリーも55歳!蝶蘭にも合わせて

あげたい。


それにハリーは、子供を授かった事を

知らない。


幼い頃まだ10歳の私に乗馬、

レディとしての躾、勉強何も

かも教えて貰えた。


生きているとわかった今必ず

助け出して迎えに行きたい。

あの国を再建したいそう思う

明蘭だった。


「殿下、もうお休み下さい。

 女は一歩外に出たら、

いっ帰ってくるか

 分かりませんよ。」


城から迎えに来たエドワードと

明蘭を城へ帰し、レイは、眠さと

戦っていた。


「まあ、ぺちゃくちゃぺちゃくちゃ

 しゃべりだすと、口は止まりません。


 部屋を用意しましたから

 お風呂などユックリされて

 お休みください。」


 

 「何時も遅いのか?」


  「まあ、こんなものです」


「… そう か。」


「大丈夫ですよ。

 遅くなるときはカワンが迎え

にいったり私が行ったり、

今日みたいに一緒だったり

 あの子は私達にとっては

娘ですから。」



「あ、アハハハな、なにを言う?

 それじゃまるで心配してる

みたいだ、

  アハハ…ハ

 誤解するなよ!

 俺はカワンを待ってるん

だからな!! 」



「あは~は、フウ、勿論、

私もそう思ってますよ。

殿下が甘夏の事が心配じゃ

なくて、ただ、泊まられてる

くらい分かりますよ。

 フウ、分かっておりますとも。」



「ン、コホン、勿論だ。」

外から車の止まる音がして甘夏と

カワンの笑い声がきこえるとレイは

ソソクサ泊まり慣れたヨンスン

の部屋の隣の客室へと消えた。




「まったくう、素直じゃねーなぁ。

 カワン待ってたなら帰って来

たから居なくなるはずがない。

 甘夏が帰ったから

安心したくせに!! 」


ヨンスンはカワンと甘夏の為に

暖かい紅茶を用意しながら、

クスクス笑った。



次の日、太陽が登る前に

レイは迎えに来た、護衛

数人と車に乗り帰って行った。



朝11時店が混み始める頃

黒塗りの高級車がズラリと

並んだ。


店の狭い駐車場は、堅苦しい

雰囲気に包まれた。

皆さん上等な背広を着られて

きちんとワックスで髪を、

撫でつけて

ペッカペカ


ガチャンと最後に車のドアが開き

黒い生地に赤とか青とかの

繊維が混ざったラフなワイシャッ

に指には金の指輪に

ダイヤモンド、ズラリと

五本の指どこ?みたいな感じ!

な初老な男が降りてきた。


「いらっしゃいませー。」

変わらず明るく接待をこなす。

金持ちも一般市民も分け隔て

無くお客様。

平等!平等!


ブラウンのメガネも高そうな感じ

金持ちオーラを、めいいっぱい出

しながらのぶとい声で


「おススメを。」

彼はチラチラ甘夏を見ながら目が

合うと恥ずかしそうにした。


今日のお勧め、シーフードグラタン

と揚げたて海老フライ、

野菜タップリ盛り合わせサラダ

とスープです。ニッコリ。


彼は怖そうな顔をほころばせ

美味しそうに食べている。



店は直ぐ満席になった。


テキパキテキパキと働く甘夏は

まるで太陽のような輝きを

もっていた。


彼は御年60あたり?そうあの国の王

サムソンその人だった。


老いらくの恋程厄介なものはない!


甘夏の笑顔にノックダウンされた

サムソンは全力で甘夏に愛情を

注いできた。


限定100食のお勧めも直ぐ

姿をけした。


 「店主うまかったぞ!また来る…。」

見送りに出たヨンスンに声を掛

けながら甘夏をジッと見た。


甘夏もニッコリ微笑んで

「ありがとうございましたー。」

と返していた。


ずらずらズラーッと並んだ車は

一台また一台と帰って行った。



「ふーっ、60歳になって若い娘を

娶りたい

 とまで思うとは…。」



今まで寄り付く女はたくさんいた

愛だの恋だの、そんなものは

与えられる物だと思っていた。


これが人を好きと思う気持ち

なのか?流れる景色を眺めながら

甘夏の事を愛しく思った

サムソンだった。




その夜、甘夏達が教会から帰り

お茶を飲んでいると


「シッ」

カワンは何かの気配を感じ

長椅子の下から西洋剣に似た

長い🗡を取り出して

ヨンスンさんに渡した。


その時\\\バン💥////と

ドアを蹴破る激しい音がして

振り向くと黒装束の男達

がドカドカと現れた。


狙いは甘夏1人にしぼられたようで


西洋剣を真っ直ぐかまえ、

甘夏目掛けて突き刺そうとして来た。


咄嗟にカワンが立ち向かう。

高らかに耳を割るような金属音が

響く!


「甘夏、逃げろ、早く早く」


ヨンスンの言葉に「ハッ」とする。

キーンキンキーンと剣の

ぶつかる音がする


「カワンさんヨンスンさん

逃げて‼ 私は、いいから、

2人早く逃げて‼」


男達は又標的を甘夏に絞ってきた。


甘夏は、それを確信すると窓を

破って外に出た。


(私が狙いなら此処を出ないと

2人に迷惑がかかる。)


道無き道を走る。

後ろから剣のぶつかる音が消えた。


着の身着のまま、山奥に走り込んだ。


追っ手は、免れているようだ。

今帰ったら又カワンさんと

ヨンスンさんが危ない。



息を切らしながら山道を歩いた。

真っ暗で何処がどこだか分からない。

随分上まで登って来たのは分かった。

街の灯りが随分下の方にみえていたから。



「あ〜なんで狙われるのだろう。

2人は大丈夫だったろうか?


いや、私を追うのは、確かに

数人いた私を狙ってるから

きっと大丈夫。」

甘夏は、心臓がドキドキするのを

抑えながら2人の心配をしていた。


....


「しくじったのか?」


「申し訳ありません。

あの店の女只者ではありません。


暗闇ゆえ、追っ手が

追いつかず、なんせ山に

入りましたゆえ。」



「もうよい。

レイに脅しをかけただけだ。

奴が動き出さぬ事には

始まらんのだ。」


頭には黒のスカーフで頭を覆い

ぐるりと大きな目玉は異様に

ひかっている。

全身を見ると伊賀の忍者を

思わせる男は立膝をついて

報告していた。


ブロンドの髪を結わえ

立襟の長いグレーコート

を来た彼 は、ブルーの目をした

冷たい 薄ら笑いを浮べ

ピンとはった髭を

なでた。

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