第26話 🌻蝶蘭は、エドワードの姪か?

昔の仲間もラミハルの横暴さに

値を上げております。

マノライ国に移住している者

は乗っ取りに加担している人物

はおりません。


 この計画に乗り、上手く脱走出

来る事を喜び家族を呼び寄せて

おります。」

 



 エドワードは、難しい顔をして、


「なる程、国を捨ててまで逃げ

出したいとは…な、

しかし、その女‥

どうしても、姉に、思えて

ならない。

 生き別れてから随分経つ、

姉もどう変わ ったやも、しれぬ。

 はっきりとは、言えないのだ。」


話を聞けば聞くほど姉、明蘭に思え

エドワードは、いても立っても

居られなくなる。


「エドワード、

急いては事を仕損じるの例えもある。

慎重に事は運ばねばならん。

慌ててはならん。」


レイはアルフレッドに、

別れを告げ

そのまま、甘夏の待っ山頂の

ヨンスンの家へと向かった。



「レイ。」


甘夏が立って歩いていたので


「オーオツ!もう大丈夫だな‼」

チュルル、チュルル、チ"-ヂイイィ

鳥の響き渡る声よりも高く

叫んだ。


「バアーバァ!甘夏。」


向こうから蝶蘭が走って来る。

スッカリ山の生活に溶け込み

青白い肌も今や真っ黒に

日焼けしていた。


「みてみて、どんぐりだよ。」

小さな両手には傘をかぶった細長い

ドングリや、丸いドングリが

飴色の艶をだし輝いていた。


下から覗き込みにっこり

笑う蝶蘭をみて?


  「この子は?」


とレイが、聞いた。


自分の事を聞かれサーッと

血の気が引いた蝶蘭は、

プルプルと震えドングリを落とした。


甘夏の後ろに回り甘夏の、お尻に

顔を埋めた。


「キャハハ蝶蘭やめて、蝶蘭! 

 くすぐったい。」

 

しかし蝶蘭の震えが伝わり

甘夏はハッとする。


「大丈夫!この人私の微妙だけど

彼だから。」

蝶蘭はチラッと甘夏の後ろから

しっかりとスカートを

掴み覗いていた。

黒く澄んだ小さな目は犬のように丸く、しっかりとレイを見据えた。



「どうした。?

 私にはドングリを見せては

 くれんのか?」



蝶蘭は、ポケットの中で

ゴソゴソと掴み

ドングリを目を、離さず、

見据えたまま右の手を開いて、

レイの手にわたすと

直ぐ甘夏の背後に素早く回った。



「この人は大丈夫よ。

 女にだらしないかもだけど!」


「なっ、なに言うんだ、

 まだ嫁も側室も居ないと

言うに!!」


「そりゃあ、今はね。

 第一夫人、つまり本妻を持てば

 ハーレムを作るつもりのくせに。

良く言うよ!」


「そっ、それは…。」




「ほらぁ否定出来ないんだから。

 もう怪我も良くなりました。

 殿下の手を煩わせることなど

 申し訳なく思っております。

ですのでもう

お見舞などお気をつかわれませぬ

    よう。」


甘夏は遠まわしに


 「もう来なくていいよー。

来るなよ〜。」


と言ってみた。


 

甘夏は、レイに他人行儀に、

スカートの端っこを持ち上げ

静かに頭をさげた。



するとバタバタと、カワンさんが現れ


「殿下あちらに、お茶を

用意致しました。

すこし、お話しが御座います。

 どうぞ…。」


ホワホワと立ち上がる湯気は

レイの疲れを癒していた。



「いっもカワンの紅茶は、

香りが強く

 旨い。

 心からホッとするよ。」


「腕には自信がありますが

 殿下には特別美味しく

 仕上げておりますよ。」


カワンは、殿下の前に一枚の絵を

出した。


「これ…は?」


「蝶蘭の母親のだそうです。

 殿下がお作りになり、甘夏に

お渡しになった物そっくり

なのです。」


「ああ、‎( ⊙⊙)!!確かに

私の作った品だ‼

その母親は、近くに居るのか?」


カワンはクビをふり

蝶蘭と甘夏のいきさっを

全部話した。


蝶蘭の母親の名前が明蘭と言い、

ナチリコ国の入り口で母親を探し

回っていたこと、

母親の行方が分から無い事。


蝶蘭が女の子だと言う事も。

しかも何となくエドワードに似てる

と、思う事も。


小さい頃のまるっとした手や、

お姿は、何より小さい頃の

エドワード様なのです。


蝶蘭を、一目見たときヨンスンも

何となくそんな気もしていた事を

レイにはなした。

レイは黙って聞いていたが



話はじめた。


「実は北の地サンイリアーナでその

 ネックレスをした女に合ったのだ、

 酒場に働いていて

 なかなかの美人だった。


 三人衆のジンに探って貰ったのだが

 ある日ポッンと現れ

 住み着いたそうだ。」


「明藺様のような気が致します。

 このことをエドワード様は?」



「話したかもしれぬが

 名前までは知らなかったし

 今となれば甘夏の生死も判明

したしその事は、もうどうでも

良かったのだ。」


「明藺の顔を知っているのは

 蝶蘭とカワンだけだ、明日

 連れて行く。


 よいか?」



「明日は殿下と若様と私とで

 参りましょう。

 どんな様子か見てみませんと、


 まだ蝶蘭は人を怖がりますし

母親の名前など聞けば震え

だします。

 …。」



「よし、じゃあ三人衆とエドワード

 俺とカワンで行こう。


 明日、迎えに来るから早朝より

 出立だ。


 別荘で、会議だ。


 今危ない土地だから気を付けよう

 いいな。」


そう言うと残りの紅茶をグイッ

と飲み干し


「うまかったぞ!! 」


とサッサと帰っていった。



その様子を窓から見ていた甘夏は

少し不満げな顔をしながら山を

下りる

レイを見送り、チッと舌打ち

をした。


それを見ていた蝶蘭も

チッチッチッと

舌打ちの練習をし始めた。



蝶蘭を見ながら

「あ~ヤバい!直ぐ覚えるん

だから…。」


あんまり蝶蘭の前では明るさまに

悪口や、態度には気をつけよう

と思った、子供は所構わず

やり始める。


「蝶蘭

舌打ちは人の居ない所で

やるものよ。

わかった?」


蝶蘭は黒い天使の輪がかかった

短い髪を、パサパサゆらしながら

コクコクと頷き、

成る程~みたいにチッチッチッ


口をとがらせながら、そうなのかぁ

みたいな顔をした。チッチッチッ

その動作が可愛すぎて...


小さい蝶蘭とっても可愛い

ウゲウゲ言うほど抱き締めた。

顔をグリグリほっぺで、こすると

少し乾いた蝶蘭のほっぺが叉可愛い。


カワンさんが柚の種で作った

クリームを軽く塗りつけると

ツルツルしたほっぺになった。


「蝶蘭女の子だからクリームも

 塗っていいんだよ。

 可愛くなっていいんだよ。

 スカートもはいて良いんだよ。」


蝶蘭は嬉しかったのか


「ヤッターヤッター」

と、飛び跳ねて喜んだ。



城に帰ると1000はある部屋の

窓からオレンジ色の明かりが

硝子細工のようにもれていた。

木々も少しずつ色や、実をつけ

街灯が小道を照らしていた。



馬番が馬を受け取り引いていった。

レイは今更ながらこの光景を

眺め仕事を終え帰る役人や兵士達!


メイドや厨房のスタッフ


「私だけの城ではない。

 皆、家族を養っておるのだな!

マノライ国は、私が守る

皆が安心して暮らせる国を

私がつくる。」


 そう呟きながらレイは、

自室に向かい歩いていた。

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