第25話 🌻明蘭の子は皇女

そうマノライ国の一番北側、

レイが、静養と言い療養を

かねて探索した鉱山の発見された

サンイリアーナ地方

そこでたまたま居合わせた

アルフレッドの部下が

泥酔したミリアンをみつけた。


そこにブラダマ国出身の多くが、

移住して来ている事もあり

アルフレッドも目を光らせていた。


前捕まえたアルフレッドも

ブラダマ国の密偵だった。


いまは、レイの心使いに感服し

マノライ国とメリディアン国との

国境線を守っている。


密偵と言う仕事をしたものは

裏切られない限り忠誠を守る。


アルフレッドは元の主の裏切り

により、契約を切り

レイと新たな契約を結んだ。


その、アルフレッドの配下の者が

見つけ報告書はアルフレッドにより

書かれ上がって来た。


アルフレッドの働きで、

今、国境線沿いは

土地も潤い業績も上がってきた。

子供も最近生まれ順調のようだ。


ブラダマ国が、北よりだから

アルフレッドを南に置いた。


ブラダマ国と接触がないように

アルフレッドの家族に害が無いよう

にとレイの心使いだった。。


しかしアルフレッドは、危険も

承知で、ブラダマ国の事を探って

くれていたようで色々と情報が

流れてきた。


ブラダマ国の王子ラミハルと

ミリアン皇女がただならぬ仲

であったことや


ラミハルは先の王ハリーを暗殺し

妻、側室諸共闇に葬り去った

話を聞いた。



あくまでも裏の話で

表向きは病死、妻や、側室は後追い

自戒をしたと言われている。

色々情報を知らせてくる。



流された報道の中に

ラミハルの姿があった。

鉱山の一件にミリアン皇女も

かかわっているとしたら…。


グランバーリン国サムソン王が

ブラダマ国と結託し、

国の乗っ取りを企てているのかも

しれない。


ならば、まだ婚約破棄は

得策ではない。泳がせて色々…。


レイはニンマリ

不気味な笑いを浮かべ

窓の外に広がる鱗雲を見ていた。


暑さも少し緩みまだまだ

残暑厳しい頃だった。



「馬を引け!!

 アルフレッドを訪ねる。

 エドワード、三人衆と私に

つづけ!! 」


黒い立派な馬が並びレイを

先頭に馬の嘶きと同時に

一頭叉一頭

黒煙を上げながら城を出て行った。

ドウッ、ドウッ、手網の音も潔く

高い空に響き渡った。

🐎🐎🐎



「どうだい?少しは動くかい?」

「はい、もう前と変わらない

です。

   ご心配かけました。」


甘夏はにっこりと笑い。左手を上げ

延ばしして見せた。




深手を負った腕も段々と上がる

ようになり今日は軽々とあがった。


傷は一本線のように段々と

薄くなっていった。カワンは、

蝶蘭とずっと付き添い

看病をしていた。


甘夏の大ケガを知ってから、

レイは毎晩のように

やってきて朝方帰って行く日々を

過ごしている。

昼間は見張りも何人もつけて

見張らせていた。


見張り人の服装は、

みせかけは農夫だったり、

客を装ったり

従業員だったり、

と次々に入れ替えながら

まだ狙われてないとは、

言えず用心に

越したことはない。



「蝶蘭、お勉強は、してる?」


  「うん、してるよ。

  バアバが見てくれてる。」


バアバは、カワンさんの事だ。

蝶蘭も、カワンさん、

ヨンスンさんには

少しづつ心を開いてきたらしい。



昔の事を聞くと、あまり喋り

たがらず黙ってしまう事が多く

二人も聞けなかったようだが、

最近は、甘夏が帰って来たから

なのか良く笑うようになった。



まだ七歳だし、辛い過去は思い出

させたく無くて、

皆聞きたいことに蓋をしてきた。



しかし蝶蘭は、あの戦乱の中

小さな手を引いて長い道のりを

走り通したエドワードに

よく似ている。


カワンの気持ちは焦るが今は

あの時のエドワードにしたように

蝶蘭にも心のケアを優先した。


最近クレヨンを買って貰ったと

言う蝶蘭が絵を書いていた。



「蝶蘭きれいな人ね!誰」


「ママだょ。」


 「ママはネックレスをかけて

るんだよ。」


「こんなの!」


蝶蘭の書いた絵には見覚えが

あった。それは…

甘夏がチャンクからもらい、

人攫いから奪われたであろう鷹

の羽のネックレスだった。


「こ、これは?」


カワンさんが絵を見て驚いた。

互い羽のネックレス、

それはレイの作った物だと

カワンさんは小さな声で呟いた。


それを知っていることに

甘夏もビックリ!!


「これはあの頃殿下の連れてくる

女の子に

プレゼントすると言われて、

殿下が

 一生懸命作られていた物…。」


蝶蘭の母親があの時の娘?

いやいやエドワードの姉君

なら年が合わぬ。

色々頭で考えるていると甘夏が

凄い事を言い出した。


「カワンさん‼

これは私が殿下に 頂いた物です。

 これを首にかけた日、殿下と別れ

 10年が、過ぎました。」



え"ーつ!! カワンとヨンスンは

ビックリして

目を丸くしてお互い絵を持ったまま

フリーズしていた。


2人が甘夏と出会った時感じた

まさかな思いが当たっていた事

にも驚いた。


甘夏の裁判に、2人は入れて

もらえずこの事実を知らなか

ったのだ。


「あの毒菓子の毒が効かず

 もっと食べたいと、

泣いていた子かい?」


カワンさんは信じられないと

いった顔でジロジロと

今更ながら下から上へと眺めて


 「大きくなったねーっ!! 」

そう叫んだ。


 プッ「今更ですかーっ。Д」





レイはアルフレッドを訪ね

特産品を味見しながら、


アルフレッドの嫁クララの

手料理を堪能していた。

三人衆もエドワードも

感心するほどクララの飯は

旨かった。


レイの好きなキッシユ、

ラタトーユ

野菜のトマトハンバーグ

焼きたてのパンもありサラダも

絶品だった。


アルフレッドが、自分の命を

投げ出してまであの時、クララの

命ごいをした


クララには自分の過去を

知られたくないと言っていた。


家庭的な、暖かいクララを見て

いるとアルフレッドの気持ちが

良く解る。


クララは純粋で美しかった。

叉かわいい男子誕生で二人は

とても幸せそうだった。


アルフレッドはブラダマ国の

先王、ハリーの側室、

明蘭が見つからなくてラミハル

が探し回っていることを報告した。


エドワードは明蘭の名に驚いた。

エドワードの幼い時、生き別れた

姉の名も明蘭だと話した。


全員驚いていたが人違いかも

知れない、僅かな期待をしながら

アルフレッドの話を聞いた。


「明蘭様は賢くて、

よく頭が回られました。

 明確で人当たりもよく、

お美しく

 民からも慕われておいででした。



 私達にもお優しく、

サンイリアーナ地方の

 乗っ取り計画もラミハルの

言いつけでした。


 北の寒い土地だからどんどん人を

 送り込み、鉱山に勤めさせ

 横流しをする計画らしいんです。


 まだまだ、企みがあるらしく

 今此方の者も入り込ませて

います。」


「疑う訳ではないが、その者達は、

 大丈夫か?」


 「はい。その者達の家族は、

  うちで、預かりおいています。

  年老いた両親もいるので

  裏切りは、どうなるか皆叩き

込まれて

  おりますからね。」


「ああ、言い方は悪いが

人質か?」


「そうなりますが

でも皆喜んで来ています。

人質と、思っている者はいません。

この地に家を建てて皆

助け合い、殿下に忠誠を誓って

おります。

ハッキリ言ってブラマダ国に

居るより、人として生きて行ける

喜びを感じていますよ。」



「アルフレッド!

 おまえも、もうマノライ国の

侯爵だ!

 もうこの南をまかせている

 思う存分働け。


 民も、皆お前をしたっておるぞ。」



 「はい。ご恩返しと思い殿下に

  忠誠を誓った以上、

  私は命をかけ殿下の元に

おります。


 あの時ラミハルにも忠誠を誓い

ました無理やりでした。

誓わなければ惨殺されていました。

 命令なら草の私たちは従わざる

負えない状況でした。


 しかし私たちのルールで

 自分の命を狙われ執行されたら

契約は命と引き換えに切れます。


やっと横暴なラミハルから

解放されたのです。

 

私も人らしい生活を生まれて、

初めて経験致しました。」

 


アルフレッドはブラマダ国の

有様を話してくれた。


「ラミハルの行動、素行の

悪さを指摘され

明藺様がラミハルの横暴な行いを

止められ

王室は二つに割れました。


 王が明蘭様に傾くと毒殺を図り

 王共々葬り去った訳です。


 そしてラミハルが王座につき

 今は…民や農民は散々な事になって

 いるらしいのです。


 しかし明蘭様だけ見つからずに

 逃げられたのは、誰かが手引

きしたはず、 

その頃はお腹に子が

 おられたらしいのです。

 お生まれになっておられれば

 七歳になられておられます。」


「してその明蘭はいくつだ?」


「御年、31か2に、なられるか…と?」


「子供は、男?女?」


「さぁ、ハッキリとは、存じ

上げません。

 多分、風の噂では

皇女様らしいのです。

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