第23話 🌻エドワードの過去。

「そうか・・・👏

その手があったか‼

目には目をだ‼

特殊メイクか‼」



「して、甘夏は何処におる‼

本当に無事なのだな‼」


「無事だ、今朝ヨンスン父から

鳩が飛んで来た。

何人か信用なる密偵を忍ばせて

見張らせている。

安心しろ‼」


「ああ、無事なのだな!

良かった・・・。」


「しかし、レイは動くな‼

今度ばかりは私の言う事を聞いて

欲しい。


甘夏には会いに行くな‼

甘夏を狙って居るのは確実

みすみす、居場所を教える様な

ものだぞ‼」


「しかし・・・」



「いいか、特殊メイクの集団が

いるとして話をしょう。

この城の中で誰が本人か分から

無い、明日はこの中に賊が

紛れ込む事さえ

頭に入れて置かないと、

この城に何人?いや何十人

入り込んでるやもしれぬ!

分かってくれ、レイ‼」


三人衆も

「エドワード様の言われる

通りです。

これ以上、甘夏様を危険に晒す

訳には行きません。

エドワード様の仰る通りと

思います。」


「う~む。




甘夏に背格好の似た人物は

おらぬか?

甘夏の影武者になってもらい

敵をおびき出すのだ‼


武術の優れた者を、

探してくれ。」


「御意!」


甘夏の様に細身でむつちりしていて

可愛らしくて・・・


三人衆はリストを見ながら探す。


「中々、おりませんなぁ!

みんな肩幅が広くガッチリしている

鍛えに鍛えておりますゆえ

ふ⤵む~」


「トントン」

ドアを叩く音がした。


「入れ‼」

レイの一言に入って来たのは

カワンだった。


5人はキョロキョロと、目配せを

して合図した。


「会議と聞いてサンドイッチと、

キッシュと、オニオンブレット

チーズパンと、コーンポタージュ

と、肉を焼いて来ましたよ。


ほら、殿下と、若様の好きな

物ばかりですよ。

三人衆は何でもお好きなので

これでようございましょう。」


ニコニコと、笑うカワンは

カワンにしか見えない。


5人は目配せをやめない。

カワンは、引退したと言えど

レイに使えた密偵の端くれだ

異様な雰囲気に直ぐに気付いた。



「カワン、お前と知り合って

何年だ?」


「はい、私と若様がお世話に

なって、カレコレ26年で

ございますね。

ワンワンキャン」


「ブハハハハアハハハ

間違い無くカワンだ‼

皆安心しろ。」


レイは自分が考えた暗号が如何にも

子供だったと認識して可笑しく

なった。


「ホホホホホ、秘密会議と、聞きまして

多分昔決めた暗号を確かめ

られると思っておりましたよ。」

フフフ


皆ド━━━━━━━ッと、疲れた

様に張り詰めた緊張が溶けて

行つた。



カワンは今や暗号を使わねば

ならぬ程緊迫しているのかと

不安に思えた。


丸で18年前のあの日の様に・・・





ハアハアハア

「もうダメだよ‼

カワンだけ逃げて僕はもう

走れ無いよう‼」



「若様、気をしっかり持って

逃げ延びるのですよ、

明蘭様もきっと、きっと、ご無事

で逃げ延びられておりましょう。」


カワンと、エドワードはやっとの

事で、マノライ国の入口前迄

やって来た。


「いいですか若様‼」

此処を抜ければ私の故郷です。

確りなさいませ

頑張りましょう、あと少し

ですよ。」

やっとの事で戦火を逃れ

着の身着のままで走り続けて三日


山を越え、谷を越え若様を守る

一心で歩き続けた、一歩でも

前へ進まなければ殺される。


小さな若様を励まし、おぶりながら

また歩かせ、小さな足は

爪がはげ血が滲んでいた。

それでも厳しく歩かせた。


国境が見えた頃にはもう体も

ボロボロだった。



マノライ国に渡った時は

街には仕事終わりの若者が溢れ

平和な街が広がっていた。

ナチリコ国の反乱軍も見えなく

武装した者も居ない。


ナチリコ国には消え果てた

活気づいた日常があった。


カワンはパンを買おうと立ち寄った

時、パン屋の隣の居酒屋に城勤め

を終えたヨンスンが偶然何人かの

同僚と、酒を飲みに入る所に

2人はバッタリと、はち合わせした。



「カワン?カワンじゃないか?」


「え‼

ヨンスン?」


「どうした?宿下がりか?

お前のいる町は大丈夫なのか?

心配していたんだぞ‼

反乱軍が攻めて来たんだろう

ああ、無事で良かった。」


「あ、うん、パンを買いに

来たの、じゃ、じゃあね。」


「あれ?その子は?」


「あ、ああ、む、息子よ!」

ソソクサと、パンと、牛乳を一つ

買うとカワンは

「ヨンスン、又ね!

い、急いでるから」

そう言うと、逃げるように去って

行った。


公園の野ばらの生い茂る場所に

二人身を隠すと


「若様、こんな物で申し訳

ありません。

働く場所が決まるまで

ご苦労をおかけします。

ささ、お食べ下さいお腹

空きましたでしょうに!」


「うん、お腹空いた。

カワンもう逃げなくていいの?」


「そうですね、追っては

見えませんが、暫くは

用心致しましょう。」


「カワン、半分こ」

エドワードはパンを汚れた手で

ちぎってカワンに渡した。


「若様、カワンは大丈夫ですよ。

子供は沢山食べて置かないと

また明日食べられないかも

しれません。

そして今日はゆっくり、おやすみ

くださいませ。」


「カワンも食べないと

僕もグスングスン 食べれないよ。」


「若様、食べて遊ぶのが

子供の仕事です。

ゆっくりお食べ下さい。」


「ダメだ、カワンも食べて‼」


「若様、ウッウツウツおいたわしい。

エドワード坊っちゃま、良くお聞き

くださいまし、

旦那様も、奥様も多分・・・もう

撃たれたと思います。


悲しいのは、姉君明蘭様も

いっしょです。

明蘭様をお独りで行かせた事

心配でなりません。


若様にはカワンがおります。

強く強くなられませ。

明蘭様もカワンが探してまいります。」


「うん。

カプカプ・・・ウッウツウツズルッ

う、うんうんエッエッエッゴクン

う、うわーん

ああ━━━━━━━ん」

エドワードは一欠片のパンをちぎり

口に入れたが涙で詰まりそうに

なりむせたが、カワンが食べろ

と、言うので頑張って食べた。


しかし半分はカワンに渡した。

今迄泣く所では無かった

何処へ行くのか分からない恐怖と、

止まったら捕まり殺される不安と、


どんな殺され方をされるのか

先の見えない恐怖は

小さな心を蝕んでいた。


6歳の子供が背負うには余りに

過酷な現実だった。

子供ながらに

一欠片のパンが逃げ延びた証拠

になり、心に隙間が出来たのだろう

エドワードもカワンも国を出てから

初めて泣いた。


「若様、いつかいつかきっと

帰りましょう。

それ迄しっかりお勉強をして

賢くなられませ。

必ず、アイツを打ち、

仇をとりましょう。」


エドワードはカワンの胸が濡れる

ほど、声を上げて泣いた。

小さな心は優しかった両親と、

生き別れた姉を思い辛かった。


小さな丸い手や足は

傷だらけだ、エドワードは痛い

とも言わずカサカサになった

エドワードの手に塗る薬も無い。

カワンはエドワードの手を

撫でながらポタポタと、

涙を落とし確りと、抱きしめた。


「若様、カワンがシッカリと

お守り致します。」



小さな甘えん坊だったエドワード

様にはこんな私でも唯一の見方

なのだ、命にかけてもお守り

しなくては・・・ウッウツウツ


しかしカワンには両親も居ない

長年育った施設は皆蓋を開ければ

人攫いの集団だった。


優しい笑顔の裏には

信じられない野望が息巻いていた。

それを知った時大人の汚さを

知った。

カワンが18の時だった。

そして逃げ出した時、手を差し伸べ

て下さったのは旦那様だった。


『私は若様を絶対裏切らない!

若様は立派にお育てします。

こんな私にお優しく、人間として

扱ってくださった旦那様

奥様の御恩に報いれる様に。』


カワンはエドワードを抱きしめて

誓った。


ふと暖かい体がおぶさって来て

大きな手が2人を抱きしめた。


懐かしいシナモンの香りが染み

付いた体は

「ヨ、ヨンスン‼」


「カワン、何故俺に頼らない。

俺がお前に惚れて居るのは

知らなかったのか?」


「ウッウツウツウッウツウツヨンスン‼」


「カワン、小さな家だけど

お前を待つと決めた時、お前を

迎えに行けるように家を建てた。


街から可成離れて居るけど

この子を隠すには持って来いの

場所だ‼」


「ヨンスン💦

こ、この子は、わ、わ、私の

この子は・・・」


「大丈夫だ‼

安心しろ、この子は御屋敷の

若様だろう。


ナチリコ国の役人が血眼になって

探していた。

早く逃げないと見つかって

しまうぞ‼

急ごう‼」


ヨンスンがエドワードをおぶり

3人は素早くヨンスンの家を

目指した。


カワンは両親が生きているのか

さえ分からない。

人攫いに攫われ、密偵になるように

訓練され、育てられた。


表向きは孤児院だったが

悪徳業者の仮の姿で、攫われた

仲間は総勢30人は軽くこえていた。


カワンが逃げ出したあと

旦那様に拾われ旦那様の通報により

孤児院は、摘発された。


保護された仲間は、皆マノライ国

で教育され直してそれぞれ

自分の進む道へと巣立って行った

と、聞いた。


カワンは自分の育った町の空を

久しぶりに見上げ、静かな

山間の小さな家に安らぎを

感じていた。


手足の傷の手当も出来てエドワード

も安心したのかスヤスヤと、

寝息を立てていた。


その日からヨンスンの家で暮らし

ていたがカワンもこのままでは

いけないと、思っていた。


「ヨンスン、町も落ち着いて

来たし、私も働かなくちゃ!

貴方に迷惑はかけられないわ。


貴方も結婚しなきゃね。

私達が居れば、良からぬ噂もたっし

貴方の人生が破綻してしまう。


ヨンスン、私あなたには

幸せになってほしいのよ。

私達の為に本当にゴメンなさい

貴方を巻き込んでしまった。」


・・・・・( ⊙Д⊙)カワン‼


「幸せを掴んで・・・

貴方ならきっと良い人が見つかる‼

あなたは、暖かいもの‼」


「そんなに、俺を心配するなら

カワン、お前が俺を幸せにしろ‼

噂なんて、所詮噂だ、でも

俺は噂とは思って居ない!

昔からカワンが好きだった。」



・・・・・・(ⓞДⓞ)エッ!?ヨンスン💦

「ヨンスンは私の素性を

知らないからそんな事言えるのよ!

私と、居て貴方が幸せになるわけ

無いじゃない!

私は何処の馬の骨とも分からない

恐ろしい血が流れてるかも知れない


ましてや私がどう育ったかさえ

貴方には言えない‼

どんな訓練を受けていたか

知ったら・・・


だから・・・・・・無理よ。」


「俺の嫁になるのが嫌なら

それでいい。

だけど3人でいたいんだ。

ダメか?」


「だ、ダメよ‼」


「施設にボランティアで

カワンを見てからずっと好き

だった。

カワンが何人かで逃げたしたと

聞いて、心配もあり不安だった。

殺されているんじゃないか

とか怖かった、でも探す事は

止め無かった。


やっと見つけたカワンは幸せそうで

笑っていたから

暫く迎えに行くのは諦めたんだ。

でも今は帰ってきたし

俺は諦め無い‼


カワンと、若様を守らせて

くれないか!」


「いいの?ヨンスン私は

私がして来たのは・・・」


「言わなくていい。

予想はついている、保護された

者から聞いている。

辛かったな、あんなにボランティア

で行っていたのに、気付かず

すまなかった。」


「ヨンスン‼」


「結婚しょう。

夫婦になろう。」


ヨンスンはカワンを抱きしめた

長い長い間、お互いを思いやり

必要と、していたのに叶わなかった

想いがやっと報われた。

溢れる愛情がやっと繋がった

夜だった。


それから一年して殿下の

友人の募集があった。

忠誠を誓い殿下と、共に育ち

手となり足となり競い合い

高め合う友人となる!

筆記試験が上位である事

武術の経験がある事‼


筆記試験はエドワードは一位

武術は一年の猶予があった。


しかし温厚な、ヨンスンは

菓子職人としてはピカイチだが

武術は心得がなく困っていた。


カワンは妊娠していたし

ヨンスンは、城の護衛兵に

頼み込んでエドワードを鍛えて

もらった。


エドワードは最初こそ泣いて泣いて

いたが、

「若様、いい事を教えます。

打たれる前に、打つか、逃げるか

すればいいんです。」

カワンが耳打ちすると、エドワード

はニッコリ笑った。


「そうだ‼”

そうか‼

打たれる前に打てば良いんだ‼」


それからエドワードはメキメキ

頭角を表し腕を上げて来た。


乗馬はエドワードの父親が遠出に

良く連れて行っていたので

問題は無くクリア。


護衛兵のおかげでエドワードは

同い年頃の子を打ち負かし

勝利を上げた。





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