第19話 🌻甘夏は清掃婦

甘夏は通された待合室でエドワードを待っていた。長テーブルがあり椅子が二、三個並べられた、殺風景な

四畳半ぐらいの部屋だった。


「待たせたな!甘夏」


後ろのドアが開きクリップブックを

小脇に抱えた背の高い

冷えた目をした男性を先頭に、

スーツを着て、マノライ国の

バッヂを付けた真面目そうな人達が

2、3人入ってきた。


ああ、日本で言う弁護士さんか?

なんかの契約をするんだなと

認識した。


「甘夏です。

よろしくお願いいたします。」


席を立ちカワンさんから習った礼の

とり方で挨拶をした。


しかし彼は

💥💢

長机の上に資料を投げつけ不機嫌

極まりない声で怒鳴りつけた。


《《お前の色仕掛けのせいで

我が国は戦火を招く所だった‼》》

「申しおくが殿下との関わりは

遠慮していただこう。


今、婚儀の1番大事な時なのだ

我が国の平和を築く為配下の者

王室、どれだけ大変だったか

わかるか?💥


しかも殿下が一番苦労されて

おられるのだそ・・・


どおしてくれるつもりなのだ‼💥💢」


「申し訳ありません。」

頭を上げろと言われないので

下向いたままである。

しかし何となくふに落ちない。


「あのあの‼ モシモシ!申し

上げたい事が山々あります‼」


日本は令和に突入したと言うのに

なんだこのあつかいは?

軍国主義の昭和初期か?


「良かろう、顔を上げて申して

見よ。」


顔を上げるとエドワードの怒りは

相当のようでイケメンの目は

釣り上がり顔は怒りで

赤くなっている。


「では失礼します。」


甘夏の目はクルクルと良く動き

澄んだ瞳で見られると

成程、心奪われてしまう程

可愛らしい。


「私は何も望みません。

お手配人、などされなければ

ノコノコ出て来たりしません。


私が何かしましたか?

妾も何番目か知りませんが

お、こ、と、わりデス‼

ご辞退致します。

貰い手は沢山ありまーす。


“あ“・・・そだそだそーだ。


誤解無きよう申し上げますが

男性経験はございません。

申し添えます。」


「あ、ああ、あそうなのだな‼

しかし妾では無いぞ!

第二夫人、第二夫人だ‼」


エドワードは甘夏の言葉に押され

慌てながら訂正した。



「どっちだって一緒です。

言い方が違うだけで内容は一緒‼」


甘夏は断る事をシッカリと伝えたい。


「いや、待遇が違うぞ

家も建つし使用人も沢山付く!

幅広い土地も用意されるし

第一夫人に男の子が、出来なければ

お前の産んだ男子が第一継承者と

なる。


後の夫人が産んだ子が歳上だとしても

第二夫人が優先される。」


ヤダヤダヤダヤダヤダ!

気持ちワル


甘夏の腕の鳥肌を見てエドワードは

唖然とした。

文句の一つ二つはあると思っていたが

まさか拒否られるとは思いも

しなかった。


「相談なんですが・・・

帰らせてもらえませんか?


あらぬ噂が立ち嫁に行けなかったら

どーしてくれますかっ‼💥💢

責任とってくださいよっ‼💥💢💥」


「コレ、立場をわきまえろ‼」

後ろに立つていた男性が甘夏を諌めた。


エドワードが軽く右手を上げて

彼の言葉を止めた。


一礼をして1歩下がった彼は

甘夏を睨むと甘夏がニッコリする。


彼らは「 フゥ…」

と諦めたようなため息をはいた。


確かに殿下の気持ちはわかる。

可愛らしい上に逞しい。

三人は頭を抱えどーしたものかと

悩み出した。


甘夏はそんな三人を見て

「お手配人を、取り止めて家に

返してはもらえませんか?」


三人はビビった顔をして

《《それが出来るなら誰も苦労

しない‼

貴方を帰したらコッチは首が

飛ぶのだゾ💥💢💥》》


エドワードもハーツと深いため息を

吐いた。

とりあえず今日から雑用係として

働いて貰う。」


「ん?雑用係?とは?」


「トイレ、風呂場、草取りを

お願いします。

それから勿論お給料も出ます。

まいつき15日振り込みます。

正社員じゃなく、パート扱いです。

一般の清掃会社とのお仕事に

なるので、頑張って下さいね。


これをよく読んでサインを・・・・・・」


エドワードは一枚の紙を取り出し

甘夏の前に置いた。


なんの事は無い普通の雇用契約書



「それから部屋は私の隣です。

物置部屋でしたが、貴方と殿下を

見張るため病む負えません。


少し狭いですが、隣は私の部屋です

何かあれば直ぐ駆けつけます。

私は常に殿下と共におります。

殿下は貴方を尋ねて来たりは

出来ませんよ。」


「アハハハハ

それは何よりです。

ヤバそうですもん。アイツ⇊」



「コレ、口を慎みなさい‼」


「よい‼ 確かに否定出来ない所が

ある。」


「では、参りましょう。」




言われるままにエドワードに付いて

行くとジロジロと見られた。

エドワードはただでさえ目を引く

人物、しかも殿下付きの用人と

なれば注目度UP


甘夏の事は城の皆にとっては、

名を知られた人物。

エドワードと歩いていれば

素性は直ぐに知られてしまう。


妾様から第二夫人に飛び級したけど

全く嬉しくも無い‼


まるで見世物の様に好奇の目で見られ

益々レイが憎たらしくなる。

甘夏は呟く

コロ〇・・・コ〇スアーンニャロメ‼


部屋に着くと🔑を渡された。

「自分で掃除しなさい。


今日はゆっくり休んでください。

私は仕事があるからコレで・・・」


ニンマリと笑うとエドワードはスーツ

とした綺麗なものごしで品良く出て

行った。



ドアを開けた途端

「ゲホゲホゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...」

蜘蛛の巣、積み上がったホコリ

これが第二夫人の部屋かーい💥💢💥


中には掃除機‼

バケツ

ダスキ〇モップ見たいな物を渡された。

四畳半の狭い部屋

ジャラジャラしたホコリか

砂か分からない程の

逃げ出したくなる様な

汚ーい部屋だった。


どうゆっくりするんだぁー

甘夏はグルりと見渡し大声で叫ぶー


暫く、つつ立っていたが窓を開けた。

幸い南側の日当りがいい場所が

甘夏の物置部屋だ。

そりゃエドワードの

隣の部屋だけあって環境はいい。


窓の向こうには以前いた、妾部屋が

見えた。作りが派手なことは

今の夏歌にはケバくみえた。


「 •᷄ὤ•᷅ハァ💨💨始めるか‼」


掃除機をかける。ぶゆ〜んぶゆ〜ん

と時代遅れの音がする、しかも

重━━━━━い。


掃除機ぐらい新しいの出してよー

さっき最新式の見たぞ。

自動でコロコロ動いとったやん。

これは完璧なるイビリやん。

・・・

クッソオ〜いつか仕返ししてやる

ぶつくさぶつくさ言いながら

作業は進む。


要らないもの全部捨てると

ガランとした空間がうまれた。


ヘッ⇊‼ 気がついたが布団は?

着替えは?めしは?

テーブルは?

おぃぃぃ━


・・・夏だから良いけど

布団くらい、ナインカ━━━━━イ‼


拭き掃除を終えると辺りは真っ暗

いつの間にか夜やんけ!


真っ暗な外をみると、甘夏のお腹は

晩御飯を、思い出したようで

グ━━━━ギュルギュルグ━━━━

甘夏が思い出した事は、もうひとつ

腹減ったら寝るに限る‼

コレしか打つ手は無い‼

明日になれば何か食べ物があるだろう。


掃除で疲れた甘夏はグッスリと

眠った。

ふと鼻の辺りにレイの香水が

香った。

お凸に軽いキスを誰かが

しているのが分かる。

チュッチュ チュッチュッチュ━━ッ♥


そしてバチンと音がして

誰かにズルズル━━━━ズルズル━━

と引きづられる様な音がして・・・


「ゴラァ💢

近寄るなと言っただろう💢💢」


「黙れ💢

何も申すな‼」

と口喧嘩の声がした。


「ん?」

甘夏が目を覚ますと

お高そうなシングルベッドに‼

またまたお高そうな羽毛布団

金の燭台に高そうな家具一色


ツカツカツカとエドワードがやって

来て

「ま━━ったく‼しょうもない‼」

と不機嫌MAXで呟いた。


チラチラ甘夏を睨む様な目で見るので

「あのう~私化粧もしないし

服もこんな派手なの着ませんし

布団も無いなら知り合いに頼みますし

持って行って下さい‼」


そう言われエドワードも驚いたが

「布団も用意しなかったのは

こちらの落ち度だった。

しかし、コレでは他のメイドに

示しがつかぬ‼

全部引き上げて、取り替える!


悪く思わないでくれ‼」


しばらくして部屋はまたガラン

とした。


そして普通の布団が1組もちこまれた。




「エドワード、何の嫌がらせだ‼」

密偵から報告を受けたレイは

エドワードの顔を見ると喰ってかかった。


「それ相応の生活を身につけて

頂くだけだ‼何を勘違いしておる‼」


窓の外をフッとみてレイは、驚いた


甘夏はハシゴをかけ木の剪定を

している。


「エドワード何故あのような

力仕事をさせるのだ‼💢💢

甘夏は女なのだぞ‼」


「あれは、甘夏がヤリたいと申し出た

そうで、仕方なくやらせると

申請されております・・が

何か問題でも?。」



「💢💢他のメイドもあの様な

事をやらせるのか‼

俺は見たこと👉ないぞ‼


なぜに甘夏だけにやらせるのだ‼」


「御意!」

そう一言呟くとエドワードは

出て行った。


エドワードもなんやら不審な影を

感じていた。


「確かに、おかしい‼

布団も発注してあるのに

届かなかった。

ベッドも鏡も、キャンセル

されていた。

私のパソコンから発注したのに

キャンセルになっている。」


誰が?

手を下す奴がいるのか?

何の為だ?

甘夏が殿下のお気に入りだと

知ってる奴の仕業か?


もしかして、昨日の夕食も無かった

のか?

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