第16話 🌻 蝶欄
ん〜もう妾、妾嫌になる。
私はふつーの結婚する。
絶対この世界から抜けるんだか
らっ💥💢💥
ブツブツ呟きながら前を見る。
引っ抱えて来た食料も
1週間も、うろつけば、残りは
少し、どっかで食料調達しなければ!。
真っ直ぐ行けばマノライ国
右に曲がればナチリコ国
左は?コレなんて読むのだろう。
マノライ語とナチリコ語はレイに
習ったんだけど、この字分かんない。
不思議な字だなあ
棒線みたいな、折れ曲がったり
難しい。
きっとレイも難しいから、この国の
言語や文字を、教えて
くれなかったんだ。
「ん?なんだ?は?」
作務衣を引っ張る小さな手?
いつの間にか甘夏の横に体育座り
をする子供がいた。
「ねえねえ、お姉ちゃん
コッチにいくの?」
クリクリした目に丸坊主ホッペは
カサカサで泥がついていた。
洋服も決して上等とは言えず
Tシャツに長ズボンと言う出で立ち
だった。
「どーしたの?君は1人なの?」
「僕のお母さんコッチに連れて
行かれたんだ。
だから僕、毎日お母さんが連れて
行かれた時間に、此処で待ってるの。
もしかしたら帰って来るんじゃ
ないかって思って。」
小さな指が示す方向には森が
茂っていた。
男の子の服は、何日も着古した
ようで袖口も真っ黒に汚れていて
その汚れもカサカサに乾いた
ようだった。
「名前はなあに?」
甘夏が聞くと丸坊主を掻きながら
「蝶蘭」
「蝶蘭?君は男の子だよね。」
「違うよ、僕は女の子だよ。
七歳。」
「お、女の子?七歳?」
甘夏は空いた口が塞がらなかった。
どうみても4歳ぐらいの背格好
しかもどうみても男の子だ。
不思議な顔をして蝶蘭を見ていたのが
分かったのか、蝶蘭は下を向いて
しまった。
「ママが連れていかれる朝
僕の髪を丸坊主にしたの、
誰に聞かれても男の子って言うのよ
って。」
意味ありげな蝶蘭の話は七歳の女の子
が経験するには惨い気がしていた。
「ねえ、蝶蘭、私には
男の子って言ってもいいの?」
蝶蘭は頷いて
「お姉ちゃんは優しく見えたから
ママが言ってたよ。
目の澄んだ人に悪い人はいないって
だからお姉ちゃんには
話したんだー。」
「蝶蘭、家族は?
家まで送るよ。」
「家族?
僕は1人だよ。」
七歳の子が一人なんて・・・
蝶蘭の家に行くまで信用して
いなかった。
甘夏は蝶蘭の住処のあるナチリコ国
に入った。ソコにはマノライ国や
メリディアン国では見られなかった
貧困層な荒れた町があった。
行き交う人は怪しく
まともな商売しているようには
見えなかった。
「僕、何度も人買に捕まって
その度逃げ出したんだよ。」
明るく笑う蝶蘭は甘夏が経験した
以上の屈辱を味わったに違いない。
人々は目つきも悪く怖そうな人
ばかりいる。
母親が男の子にしなければ
ならない理由も納得した。
蝶蘭を置いて行けない。
こんな、危ない所に蝶蘭を置きざり
にした母親には何かやむおえない
理由があったのか?
蝶蘭をここに隠すため?
しかしなんの理由がある?
「蝶蘭、ここはあまりいい所じゃ
ないよ。
お母さんを待つより探す方を
選ばない?
ね。
ここは出よう甘夏と一緒に
行こう。」
「甘夏?お姉ちゃんの名前?」
「うん。
大事な物だけ持って行こう。」
・・・💦
蝶蘭は首を振った。
「ま、ママが、ママが、帰って
来た時僕がいないとクスンクスン
僕を・・・探すよおおぉぉー(๑o̴̶̷᷄﹏o̴̶̷̥᷅๑)
僕が居なかったらママはママは
どうなるのぉ
僕はママをこ・・こで…グスン
待つよぉぉぉぉぉぉー。」
うわあああーん、ママ、ママーママ
蝶蘭は汚れた手で顔を擦りながら
泣いた、ママーーママー
と叫びながら・・・
そんな蝶蘭を甘夏は抱きしめて
背中を優しく撫でた。
「蝶蘭、ママは甘夏が探して
あげる、甘夏を信じて
此処をでよう。
蝶蘭が、一人で住むには凄く、
危険だと思うよ。」
蝶蘭はずっと泣けずにいたのだろう。
甘夏にしがみついてずっと
泣いていた。
甘夏も蝶蘭を抱きしめて泣いた
あまりにも可哀想で、七歳の子が
どうやって生きて来たのか?。
「蝶蘭‼ ママもきっとあなたを
此処に置いて行った事を心配してるよ。
だから今は辛いけど甘夏の言う事を
聞いて‼
ね、
此処を甘夏と一緒に出よう。」
甘夏はアルバートの屋敷から
チョンボしてきた、僅かに残った
フルーツと
パンと水を蝶蘭の家で蝶蘭と
分け合って、食べた。
蝶蘭は久しぶりの食事だったらしく
ガツガツと食べていた。
アルバートの屋敷では、お腹はすく
思いをして🐴とバトルしたけど
蝶蘭のお腹の減り方に比べると
恥ずかしいぐらいだ。
辺りが薄暗くなった頃、蝶蘭の手を
引いて町を出た。
「蝶蘭、寂しいかも知れないけど
ママが言ったんだよね。
目の澄んだ人に悪い人はいない
って・・・」
蝶蘭は静かに顔を上げると
甘夏と目が合った。
「蝶蘭、もう1人にはしないよ。
甘夏が守ってあげる。
今迄良く頑張ったね。
偉いよ!蝶蘭。」
蝶蘭は又泣いていた。
どんなに心細かっただろうか、
甘夏も1人で過ごした夜
レイが来て相手をしてくれた、そん
な幼い頃を思い出していた。
蝶蘭は小さな手でギュッと握って
来た。甘夏も又蝶蘭が安心
するように握りかえした。
甘夏はマノライ国のカフェに
向けて足を進めた。
今はカワンさんヨンスンさんを
頼るしかない!
自分1人ならどうにでもなるが
蝶蘭がいる。
学校にも行かせてあげたい。
母親も見つけてあげたい。
今は頼れる人に頼らなければ
蝶蘭を飢えさせる訳にもいかない。
野宿をして、パン屋さんから
パンの耳を沢山貰った。
アルバートの昼飯より
ここのパンのみみは分厚くて
美味かった。
パンの耳を見る度、豆を食わせて
くれなかったアルバート家の
🐴を思い出す💭ムカムカ
蝶蘭が疲れた時はおんぶした。
蝶蘭はグズることもせず
夜は肩を揉んでくれたりもした。
野菜売り場で、要らないレタス
の葉、干からびかけた人参
熟れすぎた果物とかを貰って
食いつないで4週間、マノライ国
が見えて来た。
この山を超すとマノライ国だ。
小さな蝶蘭をおぶり山道を登る
山の下には暖かな灯りが灯っていた。
レイの納める国だ。
マノライ国だ。
よいしょっ蝶蘭のお尻をかかえ、
足を踏ん張り弾みを付けて
蝶蘭をおぶり直す。
この山道を下に行けば、ヨンスン
さんの、ヨウイショッ、と
カフェが見えるはずだ。
山道を降りると安心したのか
足の靴擦れが痛くなった。
イタッ足からは血が滲み出ていた。
一生懸命で痛みにも気付かなかった。
靴を脱ぎ捨て前に進む。
一歩踏み出せば一歩近づく
ヨイショッポンポン
蝶蘭をおぶりながら、ヨンスン
さんやカワンさんに会える
そう思えば嬉しくなった。
やがて外は白み始め、🦃の
コケコッコーグックグルグルグー
の泣き越えが山肌にコダマし始めた。
柔らかい牧草やシロツメクサ
を見た途端蝶蘭を下ろし
牧草を引きちぎり蝶蘭にかけ
寝床を作ってあげた。
若草の匂いとシロツメクサの
花の香りに包まれて
甘夏も少し眠ってしまった。
一晩中坂蝶蘭をおぶり歩いたせいか
体力も限界だった。
💤💤 zzZZZZ ポンポン
ポンポン、ポンポン
「甘夏、甘夏」
ポンポン、ポンポン、ポンポン
ん?蝶蘭の👂小さい声で目が覚める。
「甘夏、変な人がいるよ
羊を詰めてる!」
「ん?羊をつめてる?」
ガバッ‼
蝶蘭に起こされ目をまさぐる。
薄らと白む景色の中に、あの人攫いの
2人がいた。
途端にバッと目が覚める。
シッ‼
「蝶蘭、動いちゃダメだよ!
アイツら人攫いだから‼」
「うん、分かった。」
小さな蝶蘭は甘夏の腕にしがみつき
顔を甘夏の背中に埋めた。
緑のクローバの茎は
20センチ程伸びてジッとして寝て
いたら気付か無いだろう。
後一匹荷台に詰める時、
見覚えのあるトラックが走ってきた
咄嗟にヨンスンさんの軽トラだ‼
と分かった。
今よ蝶蘭
ドロボウ〜ドロボ📣
蝶蘭と大声で叫ぶ
その声にビックリした羊が大暴れ
盗賊もハッとしてバタバタし始め
羊はパカパカ盗賊に体当たりをして
逃げ出した。
途端盗賊はコッチに走って来たが
ヨンスンさんに気づくと又
バタバタと走って逃げて行った。
「ヨンスンさーん、カワンさーん」
その声に気付いたカワンさんが
「リラ‼ ? リーラ」
と叫んでいる。
良かった気付いて貰えた‼
甘夏も足の痛みも忘れ飛び出した。
なんだか分からない蝶蘭はただ
立ち尽くしていた。
カワンさんに飛びつくと
安心したのか感情が湧き立ち
涙がブアッと溢れてうわーん😭💦
と泣けて来た。
頭を撫でてくれていた2人は
立ち尽くしている蝶蘭を見て
「あの子は?」
と聞いてきた。
甘夏は「蝶蘭、蝶蘭おいでー」
と手招きした。
蝶蘭は小さい体で一歩一歩、自信
の無い足取りで近づいてきた。
なかなか下を向いて頭を上げず
甘夏の背中に、隠れてしまった。
もしかして人見知りってやつか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます