第9話🌻三人衆の嫁2

「殿下、いかがなされましたか?」


「お前達の、いや三人衆の嫁を呼んで

はくれぬか?

明日で良い。子供もいるしな、

城へ、明日の昼食に招待する。」


レイが馬に乗れる状態でない事は誰も

が知っていた。

下町の菓子屋の居候の娘にフラれたのだ。殿下のショックは可成大。


リラをそのまま無礼打ちにしても

有無も言わさず連れ帰り牢にいれても

誰も何も言えない。


それも出来ぬ程打ちひしがれていた。



だから皆もそっとしておいた。

一度怒り狂えば皇帝となられるお方だ

リラの身が危ない。


憔悴したレイを、


ヨンスンが馬車を出し

城へと送り届けた。

三人衆がボロッチイ汚れ、

くたびれた馬車を立派な馬で

警護しながら進む・・・

行き交う村の衆は何事かと興味津々


その夜。

チーズタップリの

新ジャガイモのグラタンを

ハフハフしながらほうばるリラは

「フフフおいしい〜」

つい日本語が飛び出る。


密偵をしていたカワンは、

直ぐ気付いた昔聞いた事がある。

菓子を持って行くと

必ず訳の分からない言葉で

言っていた。


「おいちい〜」って。


「リラ、何語?」

カワンはそれとなく軽いノリで聞いて

みた。


「あ、ヘヘッ自分語」


リラは屈託の無い笑顔を

かえしてくる。

カワンはリラに対して疑問を持っ

ようになった。


不思議な娘と思っていたが

何かひっかかる。

長年鍛えた密偵の血が騒いでいる。


「カワンさん、どーしたの?

食べないの?

ヨモギのパンも凄く美味しい。」


「あ💦、ああ、そうね。

ほらヤギの乳も飲みなさい。

甘くしてあるわよ。」

ヤギの乳は癖があり牛乳より少し

えぐみみたいな、にがいまでは行かない

癖がある。

温めて飲むにはお砂糖はかかせない。


大人はシンプルに好きな味なのかも

しれない。


「ヤッター‼

無邪気に笑うリラは刺客には

どうしても見えない、

しかもこっ酷く

殿下を追い返したぐらいだ。


来た時着ていた服も

今の若者と変わらない、

勘ぐる事は無い。


自分の勘も鈍ったのかと苦笑する。

ヨンスンと笑いながら会話するリラに

スープを勧めながら様子をうかがう。


何ら変わった様子は見られ無い。

ヨンスンもカワンの表情に気づき


「どうした?」


ハッとしたカワンは

エプロンの裾で手をふきながら、


「リラが沢山だべてくれるから

嬉しいんだよ。」


そう言って誤魔化していた。




一日が経ちマークの嫁エレンは

鏡の前にいた。

エレンはワインカラーの

ワンピースに、ミデイアムヘアー

赤い口紅をさすと

顔立ちがハッキリと浮かんでくる。


マークは久しぶりに

ドレスコードをした嫁を見て

美しいと思った。


チャーリーの嫁マリアも淡いピンクの

ハーフドレスを着ていた。

髪をフンワリ結い上げ

クルリンとした目に、

可愛らしい顔立ちは、

人目を引いていた事を思い出していた。


ジンの嫁ニーナも

オレンジのブラウスに白のパンツ

華奢な身体に良く似合うストレートの

ワンレンヘァーはサラサラと

光沢を出し美しい。


胸もそれなりに目立ち、

キリッとした美人。


ジンも久しぶりに、まともな化粧を

した妻をみてドキドキ、

妻が美人だったのを思い

出した。


三人衆は我が嫁を連れて

城へとあがる。

殿下の客人なので三人衆も

キチンとした、軍服でエスコートする。


嫁の呼ばれた理由が知りたい。


それとなく嫁に探りを入れるが

分からないの一言。


城へ着くと沢山ある客間の一室へと

案内する。

すると時を待たず

エドワードが嫁達を迎えにきた。

三人衆の役目はここで終わり

堅い扉が閉まると三人衆はお役御免!


気になりながらも、

それぞれの仕事へと向かう。


しばらく嫁達は近況報告

ワイワイペチャクチャお喋りは

止まらない。


するとドアが開きエドワードとは

違ったダンディな彼が現れた。


丸いテーブルにアップルティー

レモンティー

ピーチティーがそれぞれの前に

カッコイイ物腰で顔を見ながら


“どうぞ“


一杯一杯丁寧に置かれていった。


奥様たちは心でポワ〜ン♡ᴗ♡

毎日、家事、育児、親戚付き合い

髪を振り乱し、姑の言いつけを守り

良き母、良き妻、良き嫁

怒り声を張り上げながら家を守り


旦那は浮気に走り

然し見て見ぬ振り、家庭第一

そんな毎日を費やしてきた。


少しの優しさに揺れるのは


仕方無い事かも知れない。


嫁達は女として扱われたのは何年前

だったか?忘れてしまっていた。

女である事すら忘れていた。


まだまだ三十代女を捨てるには

早い年頃だ。


久しぶりのトキメキ

胸キュンも久しぶり

クラクラも久しぶり




久しぶりのイケメンに┣¨‡┣¨‡

三人衆が嫁を女と見ないように

嫁達も旦那を男と

見ていなかったのかも知れない。


ダンディな姿でテキパキ動く彼は

素敵、それに城には沢山の

男子がいる。


嫁達は、たまには3人で街に出て

目の保養をしようと話し合っていた。

女同士のお喋りは急加速




殿

ブアアアアーン バンバーン

けたたましい音と一緒に

1匹のラブラドールレトリバーと

元気の無いレイが現れた。

レイは赤い皇帝服を来てオレンジの

尖った靴を履いていた。


3人は立ち上がり胸に手を当て

足を1歩引いて深く礼をとった。


レイは三人衆の嫁を見て軽く頷き

座るようにと、手をあげた。


嫁達が座ると

「色々聞きたい事があり登城して

もらった。

子供もいて忙しいのにすまない。」


レイは嫁達の顔を見ながら詫びた。


・・・気になる‼

三人衆は硬く閉められたドアを覗き

に来たが・・・


何の話か不安なのは

嫁達も同じだった。

嫁達の回りを走り回る

ラブラドールレトリバーに奥様たちも、

犬のラプも興奮していた。



プワンプワンした肉付きにクルクル

お目目、ハッハッハの熱い吐息

お口から除く黒い唇


奥様たちは又興奮‼

可愛い━━━ゞ♥


3人の嫁達の手には、レイが送った

ブレスが光っていた。


マークの妻エレンが

「お招きありがとございます。

それに私達3人に殿下より

頂戴致しましたブレスレット誠に

ありがたく家宝にいたします。

それに菓子折りも

本当に御礼申し上げます。」


3人は立ち上がり深深と礼をした。



「奥方達には三人衆を常に城に

置き申し訳ない。


今日呼び立てたのは話を聞きたいからだ。


思う通りの意見を出してくれ。

言いにくくても構わない。

ちゃんと本当の事を話してくれ。」


三嫁は頷き、椅子に座ると

殿下の話に耳を傾けた。


レイは人払いをし、だだっ広い

部屋の中は三嫁とレイだけになった。


犬のラプはレイの足元で

ゴロンと横たわっていた。


「実は好きな娘が居る。

・・・承知のように婚約者のミリアンもいる。

どうしたものかと悩んでおるのだ。」


エレンは

「それは、お考え過ぎでは?

殿下は第5夫人まで娶られるでは

ありませんか?

それは、法で決まっておりますから

法に従われれば宜しいのでは?」


エレンはチョット不思議な顔を

しながら殿下に尋ねた。



レイは凄く困った顔をして


「いや彼女が、五人の一人は嫌だと

申すのだ

・・・それにミリアンが、可哀想だと・・・

だからその・・・無理らしい。

でも、俺は彼女がいいんだ。」



「そうしたら戦になりかねませんね。

ミリアン王女はお輿入れされると

聞き及びます!


彼女さんを何とか説得出来ませんか?」


「五人妻を持っと言ったら

スケベ親父

一番嫌いなタイプー‼とか言われた。」


「まあ、お気のお強い。」


「確かに女の方から言えば

私達も嫌です。


夫に女性がいるなら矢張り

穏やかではおられません。」

ジンの妻ニーナが口を開いた。


「殿方はあまり拘ら無くても

ミリアン王女様も後々多分

お辛くなられましょう。」


「私達も夫の浮気を知った時は

離婚と思いましたし。」

チャーリーの妻ジュリーも

伏目がちに呟いた。


「まあ、まあでも!夫と殿下とは

立場がちがいます・・・し

それにお世継は必要ですし・・・」


ガーンと項垂れる殿下を可哀想に

思えそれから先は口をつぐんだ。



「し・・・の後はなんだ?」

マークの妻エレンに視線を向けながら

レイは、深刻そうな顔をした。


エレンも気にはしつつ

「兎に角彼女さんは五人のウチの

一人は嫌なんですから、殿下の事を

お好きな事は間違いありませんわ」


パァァァ☀️レイの顔に生気が戻った。

「そうか‼そうだな!

なぜ気づかなかった。」


殿下は元気になった。

三嫁は、

( ̄▽ ̄;)ハハ(^ω^;)(´・∀・`)ハハハ

苦笑い😅


「殿下は彼女さんを諦められます

か?」


「分から無い。」













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