第4話 カワンと、ヨンスン
パカパカパカパカパカパカ
カワンは、ずーっと考えていた。
「ねえ、あの子どっかで見た事
有るんだけど、何処だったっけ?」
「ん━━━━━━ん。
俺も、カワンの焼いた
焼き菓子をめちゃく ちゃ
好きだった子、
殿下が 連れ回ってた
ちっちゃい子がいた な。
あんなに溢れる程の笑顔で
あのちっちゃい子も
パクパク食べてたよな、
なんだかあ
の女の子を思いだし たよ。」
「そうそう。
私の焼き菓子作りを良く
見に来て
いたよね。
レモンティーが大好きで
〃このお菓子には
ぜ〜ったいレモンティー〃
なんて叫んでいたよね。
「そうそう、その後日、殿下が生命
を狙われたと聞いて俺達は、すっ
飛んで行ったよな。」
「そうだったね。
あの日は子供が熱出して看病した
私にも移っちまって、
あんたが看病で休んだ日だった
よ。」
「その後、毎日連れ回して居たのに
パッタリ見なくなって、
何処の貴族の娘かも分からずじまい
だ ったね。」
「 あの子が殿下の危機を救ったと
言われ
誰の娘かと不思議がられこぞって
あの子探しが始まった。
あの子探しが始まった頃
殿下も連れ回さない様になったっ
け・・。」
「噂じゃ、まだ反乱軍が探し回
ってると聞いたぞ。
じゃあ又戦がいつ起こっても
不思議じゃないじゃないか!」
「エッ、それじゃ・・・あぶないね。
街にはゴロつきがたむろしてる
はず。
反乱軍はウロウロしてる娘を
捕まえて、遊び者にすると
聞いたよ。」
ヒヒヒ〜ン
うおりやあああああああ
パシーンパシーンと手綱を引いて
Uターンした。
甘夏を探しに戻った。
甘夏と別れた場所に着いたが
甘夏は居なかった。
近くの家、家を聞いて回ったが
それらしい娘は住んでいなかった。
その頃甘夏は市場に来ていた。
台湾の屋台を思わせるような店が、
ずらりと軒を並べ、ホカホカ饅頭、
鳥の丸焼き、焼き魚の店、色々目移りするくらい美味しそうだった。
少し端になると酔っ払いも何人もいて
危なそうな場所もあった。
しかしお腹も空いたし、喉も乾いていた。
お金もないし、ただ水を探して回った。
疲れ果てブロック塀の横に座り
休む事にして座り込み、足を撫でた。
随分歩いたし、ジュディは見つ
からないし、どうしよう。
「兄貴、あの子」
背の低い、テカテカした男が目で
合図した。
「オー、可愛い子だな!
高く売れそうじゃないか!」
二人は、甘夏に目をつけた。
背の高い、割とイケメンな男が
声をかける。
「どーしたの?
もしかしたらお腹すいてる?」
優しい声につい油断した甘夏は、
「はい‼ ペコペコです。」
すると小さい男が肉まんを2個持って現れた。
「じやあ兄貴、これあげましょうよ、
俺達は、酒飲みに行くから、」
そう言って、二人は甘夏に肉まんを渡し立ち去った。
実は立ち去る振りをして曲がり角で
様子を見ていた。
甘夏は、二人に敬遠していたが
居なくなったのでガツガツガツと2個丸ごと食べてしまった。
甘夏は食べ終わるとポテッ
深い眠りに落ちて行った。
「どうだ?」
「おい、おい、」
体を揺すってみる。
「兄貴、イチコロです。
ボカッ‼ほら、起きませんぜ。」
ヒヒヒ〜
兄貴上玉です。
色は白いし、可愛いし、俺
我慢出来そうにないですぜ‼」
ゴロンと寝転がる甘夏を上から見下ろし男達はいやらしい顔をして、ニヤニヤしていた。
「馬鹿野郎、順番があるだろ
順番が、ゴチン、;'.、グハッ」
ボコボコ
「分かりやしたってばー」
「 痛いっすよ、」
ドタドタドタ
何人かの警官が走ってくる。
「全員、動くな!
第一師団だ、取り締まりに来た
違反している奴は
極刑に、する。」
あー逃げろー逃げろー
取締りだー‼
ドタバタドタバタ
土埃がモクモクと上がり一面真っ黒になる。
回りはバタバタと何軒か店を放り出し
逃げ去った。
突然の騒ぎに二人もバタバタと甘夏を縛り素早く軽トラに載せ、連れ去った。
こんな事は日常茶飯事
手慣れている。
捕まった奴は運が悪い。
「兄貴、隣のザブランダ国迄逃げて
そこで売りさばきましょう。
高く売れますよ。上玉ですし。
早朝着けば、人買いが集まってます
今出れば間に合いますよ。
2000ペインにはなりますぜ。
ただ、ヤってる暇はありやせん。」
そう言いながら口惜しそうに軽トラ
の荷台に甘夏をゴロンと乗せて走ら せた。
ガタンゴトンゴトンゴトン
頭を何かにぶっけた痛さで目が覚めた。
口には猿轡、手足はロープで縛られている。
「あ、しまった。
人買いに捕まった。」
運転席を覗くと、背の高い男はウイスキー片手に飲んだくれて背の小さい男は必死に運転していた。
あー
「多分売られるな〜」
臓器売買
お風呂
奴隷
のうちのどれだろうか?
どれも嫌だなぁ﹏W‼
ガタゴトガタゴト
山を登り出した。身体が軽トラの下の方に転げてしまった。
登り坂道だから斜めになった時が
荷台と道との差が近い。
逃げるなら今だ‼
足をクネクネして、逃げる準備をする。
顎を上げて見ると左右下には牧草が生い茂って青々としている。
急に坂道になったのを見計らい、
「せぇのおー」
縛られた足をそろえて
両足で弾みを付けて飛び降りた。
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
体は下に、下に落ちていく。
目が回る程転げ落ちた。
手にはベッタリと赤い血が着いている。
吐き気が襲って来た所で
気を失った。
「大丈夫かねえー」
「あの時連れて帰れば良かったな〃」
「ホントだよ
頭の血が止まったから良かった
よ。」
そんな声が聞こえてくる。
・・・・・・・・・、助かったの‼
イテ、足を動かす時ズキッ‼
手をあげようとするとズキズキ
腕には点滴が下がっている。
誰に助けて貰ったんだろう。
「取り敢えず寝るか。」
生きてる事に安心したのか甘夏は又
眠りについた。
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