第3話 マノライ国に入国。

気が抜けたように歩く、

ふと周りを見れば誰も居ない。


トラクターも置いてあるし

農機具は日本にあるものより

優れている気がする。


そう言えば、コンビニを出て、

カラフルな原色の車とばかり

すれ違っていた。

どこから入ってきたのだろう。

入口が分かれば帰れるかもしれない!


トラクターも黄色や赤ばかり

グルリと見渡すも、

方向音痴になった様に分からない。


パカパカパカパカパカパカパカパカ

急に馬車の音に振り返る

ノッソリ土手から立ち上がった

甘夏に馬車は驚き

ヒヒヒ〜ンブファブファ

馬の嘶きと共に急停車、

ゴロゴロゴロゴロゴロゴロ

イッターイ

甘夏は、土手を転げ落ち畑に

投げ出された。


馬車から慌てて

細身の60歳くらいのオバサンと

馬車を走らせていたやはり

60過ぎたぐらいの、

ポッテリとしたオジサンが

降りてきた。


オバサンは

「大丈夫?あら﹏

怪我させてしまった わね。

ごめんね。」

そう言うと手を肩に回し、起こ

してくれた。

白いブラウスに黒のパンツ

ほのかにシナモンの香りがした。


「いや〜あ‼

すまんすまん、大丈夫かい。」


シルクハットのような

帽子を被り、ピッチピッチの

背広を着た人の良さそうな

なおじさんも、慌てて土手を

駆け下りてき た。


「はい、大丈夫です。

ボーッとしていたので、

気になさら

ないでください。大丈夫です。」



「あー大した事無くてよかった、

若い娘さんに

ケガさせたらどーすん の‼」


オバサンは、カカア殿下らしく

おじさんはちっちゃくなって、

帽子を取ってまた頭を下げた。


「ホント、ごめんよ。」


「あーああ、円盤ハ〇がバレちゃう

よ。」


「エッ」

クスクスクス

アハハハハ、おじさんの頭の

てっぺんが、まあるくなっていた。


「もうこの歳だ

嫁も、カワン、お前なんだから

気にしないよ。」



アハハハハと円盤ハ〇を

まあるくナデナデしながら

おじさんは笑い飛ばした。


カワンさんは、消毒し、

絆創膏を貼ってくれた。


「おーっと、もう3時だぞ

お茶にしょうか?」


「そうだね、一緒にどう?」


土手の先の広い場所に馬を繋ぎ


アップルティー、レモンティー

ダージリン、ハーブティー

どれにする?


「うわぁぁぁ、レモンティーを

お願いします。」



間違いない言語、3時のお茶、

ここはマラノイ国だと認識した。

マノライ国には、

国民に休憩時間

人と人の繋がりを作る為、

レイがお茶の時間を強制的に

決めていた。


マノライ国の住人の全ては、

いかなる時もお茶の時間を

定める。

しかし救急患者、

それに関わるものは例外とする。


知らない世界では無く

マノライ国だと言う事に、

ホッとした。


あー懐かしい。

子供の頃よく食べた焼き菓子の味

レモンティーも

大好きでレイに頼んで

よくいれてもらってた。


あー同じ味


「凄く美味しいです。」


「だろー‼

この味はカワンにしか出せない

んだよ。

いっぱい食べなさい。

今日は結婚式の菓子作りに行って

帰 る途中なんだよ。


俺達は菓子職人なんだ。

カワンの

ウエデイングケーキは評判

が 良くてね。」


おじさんは焼き菓子をニコニコしな

がら進めてくれた。


「ああ‼それでカワンさんから

甘い匂いがしたんですね。

凄く落ち着きました。」

フフフフ

カワンさんも、旦那さんもニコニコしてすすめてくれる。


「おや、そうなのかい?

自分じゃ分からないけどね。

ささ、いっぱい食べなさい。」



お言葉に甘えてたくさんのあった


焼き菓子をペロリと食べてしまった。


カワンさんも、オジサンも

その様子をニコニコニコニコしな

がら見ていた。


送るよと言われたが、

「直ぐそこですから。」

と断り二人に、お礼を言って別れた。



本当は心細く付いて行きたかった

のだけど甘夏に、帰る家は無い‼

不信がられるに決まっている。


また甘夏は来たと思われる方向に

足を進めた。






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