第2話 しばしの別れ。

そう私甘夏は、平行世界の入口に

あの鏡があるから宿舎には入らない。まだまだレイといたい。


それから何年か、たった夜だった。


「甘夏、起きて大事な話があるんだ。」

ん?・・・

まだ眠たかった私は夜中のレイの

訪問に目が覚めた。


ただならぬ気配がしたからだ。


「どうしたのレイ‼」


「甘夏、良く聞いて、暫く会えなく

なった。


マラノイ国に反乱軍が入って来たと

報告が上がってきた。

かなりの人数なんだ、いいかい

俺が帰ったら、鏡を割るんだよ。

いいね‼


君に危害がないように、

分かったね。」


「嫌よ!、イヤイヤ

鏡を、割ったらどうやって合うの?

お別れなの?」


「落ち着いて、甘夏、

絶対、又会えるから僕を信じて、」


イヤアアァァァァアアアァァァァアアア!!!!

嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌

「私、レイが好き‼

レイのお嫁さんになるんだから

決めてるんだから。

嫌いなマナーの検定だって

一級取れたんだからね‼」


「甘夏、ありがとう。|||▽|||

でも生命狙われてるから

必ず迎えにくる。

約束するから、

僕の妻になるなら尚更だ

鏡は割るんだ


俺を信じて・・・。」


ぐずる甘夏をなだめ、なだめ、

2人で鏡のある離れに行き


レイは抱きしめて

必ず迎えにくる。

素敵なレディになっているんだぞ


軽く唇にレイがキスしてきた。


「君を守るには、こうするのが

一番安全なんだよ。」


甘夏はグスッグスッ泣きながら

頷き、離れるレイの手を又掴もうと

したがレイの手は掴めなかった。


レイが鏡を通り、居なくなった、

今追いかければ、間に合う。


鏡に入ろうとしたら鉄の刃で

塞がれていた。



「あ、あああ、」


レイは多少甘夏を傷つけても

コチラの世界から引き離す決心は

固かった。


「あ・・・レイは本気なんだ。・・・」


甘夏は、レイに言われた通り

泣きながら鏡を割っていた。


いつの間にか、泣き寝入り

していて目が冷めたら鏡が跡形も

無く消えていた。



甘夏13歳

レイ19歳

レイはもう立派な青年だった。

甘夏はそれが心配だったんだ

もう、お嫁さんが来てもおかしく

無い年齢なのだから。


別れの日、泣きじゃくる甘夏に

レイは自分の首にかけていた金色の

薄いけれど頑丈な鎖に

レイの鎖骨の間を華やかに飾る

鷹の羽を型どったネックレスを、

甘夏の首にかけた。


俺も同じものを持っている。

いつも甘夏を想いながら過すよ。


まだ子供の甘夏には分からないかも

しれないが、

「愛しているよ。」

二人のいつ会えるとも分からない

いや、もう会えぬかもしれない

切ない別れは

9月13日、十五夜の大きな満月の

夜だった。




あれから 10年が過ぎた。

甘夏は、大学を卒業し、可愛らしくて

賢い娘に育っていた。


東京にマンションを持ち、

今日は祖母の法事の為、

1時間ばかりの実家へと

帰省中だった。


助手席には

ラブラドール・レトリーバーの

ジュディ。♀

1人で住むには

寂し過ぎるマンション

今年ペット可能の

マンションに移りジュディとの

生活を堪能している。


コンビニに寄り軽い昼食をとり、

ジュディも大好きな唐揚げと

ドックフードに舌鼓を打った。


後ろの座席にはたくさんの

お菓子を積んでいた。


暫くウトウト

運転に疲れた甘夏は、コンビニの

傍にある大きな木陰でクーラを

付けながら暫し休憩を取った。


いつもの様に、

ジュディと抱き合って眠って

しまった。


何だか車がグルグル、グルグル

回った気がした。


随分長い時間眠っていた気がする。


目が覚めた場所は桜が生い茂り

寝転んていた場所には

タンポポが可愛らしく揺れて、

シロツメグサが一面に咲いていた。


「うっ、頭痛い。」


ハッ!ジュディ?ジュディ?ジュディ?

ソコには車も消え、愛しいジュディの姿も消えていた。


眠っている間に大変な事が

起きてしまったのか?

なのに、ノンビリ寝ちゃった?


「ありえない。」


ガンガンと

照りつける太陽は消えて

季節は後退して春

しかも高速道路を抜けた筈なのに

目の前に、広がる農村地帯。


山々はたかく、

中国を思わせる風景

畑には収穫を迎えた

ダイコン、ニンジンしかし

日本で見る実物とは

色が違う。


人参は、赤、黄色、紫、

ダイコンも、赤、白、黄色

チュウリップの歌でもながれそう


引いた、引いた野菜の根っこ

な〜らんだ、な〜らんだ

赤、白、黄色

どのやーさいみてもきれいだな‼

ってか、

はァ!どうすっぺ‼


23歳になっても、

未だ見えないものが見えて

しまうものなのか?。


平行世界への入口は

ネットで言われてる

エレベーターでもなく、

飽きたと書いた紙でもなく、

電車に乗って行くでも無い。


甘夏には

空が敗れたような穴が見え、

丸い渦のような物が突如現れ

消えて行く

だけど急に平行世界に

入れるとは知らなかった。


「あーやられたー

花があるなら妖精か?」

辺りを見回すと

ティンカーベルのような妖精は

居なく

おじさんか?いや違う

ステテコを履いた小さな

オジサンもいない。



日本とはまったくちがう。

ジュディは日本に居るんだろうか?

このワールドにいるんだろうか?

ただただジュディの事が気になった。

自分と知り合ったばかりに・・・


「ジューディ━━━━━

ジュ━━━━━ディ‼


ジューディ━━━━━‼」



シ━━━━━━━━━━━━ン。


仕方なく農道をトボトボあるく

先ずはジュディを探さなくては!




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