お嬢様計画を実行します!ー失敗は成功の元ですよー
次の日から奈々を観察するだけでなく情報をすこしでも集めるために動き始める。
「奈々ちゃん!!」
「うわ、急にびっくりした。なに?」
突然机の前から出てくる摩耶にビックリする奈々。
「突然ですがアンケートです!好きな食べ物は?」
「え?急になに?」
「好きな食べ物は?」
「言わなくても摩耶は分かって……アイツか?」
すぐに相馬が仕掛けたことが分かり相馬の方を見ると相馬はすぐ目線を逸らす。それを見た奈々が相馬の元に行く。
「何のつもり?」
「さ、さぁ?知らないなぁ」
「いい、摩耶から聞いたのかもしれないけどあんまり首を突っ込まないで」
「それはどうしてだ?」
「どうしてってそりゃ邪魔だからよ」
「邪魔?じゃあ聞くけどお前はどうなんだよ」
「私は……私は私の勝手よ!」
奈々は完全に怒ってしまいそのまま教室から出ていく。
「失敗してしまいましたか?」
「いや大成功だ」
しかし、相馬はこれは計画の内でありグッと親指を立てる。
廊下を歩く奈々に向かい側から環が来る。
「あら?奈々ちゃん、授業もうそろそろで始まるわよ」
「すみません。ちょっとお手洗いに」
「あら?調子悪いの?」
「いえただその……」
「保健室に行く?」
「だいじょ……はい」
あまり気分が乗らない奈々はそのまま環のあとについて行き保健室に行く。
「熱はないわね」
体温を測る環、奈々はあまり晴れない表情をする。
「どうしたの?何か悩み事?」
「大したことではないです」
「相談に乗るぞ、なんたって先生だから」
「はぁ……じゃあ内緒にしてもらえますか?」
「何でもいいなさい」
奈々は深呼吸したのち話し始める。
「実はお兄様から戻ってくるように言われてさらに親との復縁しそうなんです」
「まあそうだよね、ある程度事情は知ってるけどそこまで深刻化していたのね」
「別にこれは環先生のせいではありません、私が招いたことですので」
「復縁はまだいいのですが戻るのはちょっと嫌です」
「それはどうして?」
「私はお兄様とは違うところを見せたい、お兄様はとても素晴らしいですがいつも私を見下して物のように扱っていたんです」
「またそれは酷いね、そのお兄ちゃんを見返すために一人で来たのね」
「はい。摩耶は昔と変わった、あの子は自立してあの男を見つけた。羨ましかった」
「摩耶ちゃんの昔は分からないけど奈々ちゃんが言うならそうなのね。羨ましいか、正直私にとってアナタ達の世界はあまり分からないわ、けどひとつだけ言える。自分が見つけたもの、自分が目指したものは大切に守り続け大切にしていくものよ。一年生の時は半分しか私達の生徒と過ごしてないけどみんな優しかったでしょ、みんな私の自慢の生徒。ああでもまだ一年しか担当してないけどね、あはは」
「守り大切に……」
「そう、もちろん一番は相馬が大切だけどね」
「あの男、私は嫌いですけど」
「真っ向から言うのね」
「ああいやでも好きですよ、あっでも友達としてです」
慌てて言い直す奈々にニコニコしながら聞く環。
「私戻ります、すみませんありがとうございました」
「いえいえ生徒の手助けが出来たら先生の喜びです」
奈々は急いで教室に戻る、環は見送ったあとスーツの内ポケットからスマフォを取り出して録音を止める。
「ごめんね奈々ちゃん。これ相馬の計画だから怒るなら相馬に怒ってね」
全て相馬が計画したことだった。そしてメールを送り相馬から『Good』のスタンプが返ってくる、そして環は『ご愁傷さま』と返すと相馬は『\(^o^)/』と返ってきて軽く微笑む環だった。
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