第七話 仕合相手の確認

 『まい』は書店の階段を昇って行く。今から逢うのは同性の男だというのに、どきどき感が禁じ得ない。『まい』はきょろきょろ雑誌コーナーを彷徨う。ふと目をやった先にそれらしきターゲット発見。 モンタージュと一致することを確認!『まい』はそろっとその男性に近づく。

「あのー、『文由』さんですか?」

「はい。もしかして『まい』さん?」

「そうです。よかった~」

将人のグラミー賞並の名演技が炸裂する。

「すぐわかりました?って、おれしか居ないね」

「そうですね」

乙女っぽく愛想笑い。

「じゃぁ、映画の時間もあるから早速向かう?」

「そうですね」

二人は書店を後にする。


「『文由』さん、お仕事は?」

「うーん、まぁIT系?」

 ITにも色々あるが、電線を設置するのもある意味IT系の仕事か。

「えー、すごい!もうお仕事長いんですか?」

「まぁね」

「大変でしょ?お仕事」

「なんにしても仕事は大変だよ。『まい』ちゃんは?」

「学生です」

「大学生?」

「まぁ、そんなところです」

 適当にごまかす。

「恋愛ものはよく観るの?映画とか、ドラマとか」

<キター!恋バナの流れ>

「ええ、良く観ますよ」

「印象に残ってる映画とかあるの?」

「うーん、どうですかねぇ。一口で恋愛ものでもいろいろあるので」

かわい子ぶって顎に手を当てながら答える。

「あ、そうだ」

「どうしたの?」

危うく「ファミコンマート」を通り過ぎそうになった。

「ちょっとコンビニ寄りませんか?」

「ああ、いいけど」

終に「仕合」開始のゴングが響き渡る。

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