第五話 仕合のシミュレーション

約束の日、「芳文」は「気の国や書店」新宿店の玄関前で「まい」の到着を今か今かと待ちわびている。

一方、女性陣(正確には女子1、男子1のミックスチーム)も新宿に向かっている。本日の「芳文」のお相手である「まい」こと将人は、双子の姉である現役キャバクラ嬢「ゆい」の指導の下、ばっちり女装している。 将人の顔立ちが元々フェミニンな所もあり、多少化粧すれば余裕で女子になりきれる。しかも、結構な美女に変身している。双子なのだから当然「ゆい」似になる事は否めない。トーク上のイメージでは、少しカワイイ系を醸し出しているのでこの位で丁度いいのだろう。


「いい、将人。いや、「まい」。まぁどっちでもいいか。今日のミッションを

伝えるわ。それは「芳文」って言う私の店のお客さんにお灸を据える事なの」

「ふむふむ。この前言ってた二股かけている奴だろ?」

「そう。まぁね。彼と新宿の「気の国や書店」で13:00の待ち合わせになってるわ。男言葉はNGよ」

「わかったわ」

将人もそれなりに「まい」になりきりつつある。

「それで、合流したら映画を見に行く事になってるんだけど、それは言ったわよね?」

「歌舞伎町の『TOTOOシネマ館』よ。そこに二人で向かうの」

「ええ」

「そんで、映画館近くのコンビニに寄って欲しいの。『ファミコンマート』ね。そこにあたしが先回りしてあなたたちと偶然会ったことにする訳よ」

「ふむふむ。それで二股を掛けている現場に偶然居合わせたって事にするのね」

「Yes!そこで私が「芳文」さんに問い詰めるからあなたも便乗してけしかけて」

「わかったわ」

「二股発覚現場の場面はアドリブだから、頑張ってちょうだい」

「OK」

電車は丁度JR新宿駅に到着した。

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