第三話 二股発覚?
《キンコーン》
「ゆい」の携帯がLIKEの着信を知らせる。『文由』という相手からの表示になっている。
「「まい」ちゃん、じゃぁ今度映画でも行こうよ」とある。
<ははぁ「芳文」さん、さては裏垢の「まい」と間違ってキャバクラの方の「ゆい」の方に送信してるな。さて、どう返事をしようか。スルーするのもなぁ、そうだ!何も知らなかった事にしよう!>
「多分、メッセージの宛先が間違ってますよ」
芳文のスマホのメッセージ受信先の表示が『まい』ではなく『ゆい』からになっていることに気づいた。
「あれ?「ゆい」ちゃんからだ。何だろ?」
開封して上記のメッセージを一読すると、芳文の酔いが一気に覚めた。
<げ!間違って「ゆい」ちゃんに送ってる!「まい」ちゃんへのお誘いのメッセージが筒抜けだ!>
芳文は辺りをうろうろし始めて、急に恥ずかしくなった。
<ってことはさっきのメッセージが既読なのか。まぁトークの指南もしてもらったし、素直に返事をするか>
「酔ってたから間違っちゃった。なんかハズいな」
「そんな事ないよ。でも、いい感じじゃん。映画のお誘いまで行ったんだ」
「そう!なんか、とんとん拍子で怖いくらいだよ。「ゆい」ちゃんのアドバイスが効いたのかな」
<まぁ、そりゃ私が送ってるからね>
「逆に嬉しい!映画行けるといいね!」
「うん、俺頑張るよ」
この場の二人のトークは終了した。「ゆい」はこれまでの経緯を考えてみた。
<あれ?ってことは、芳文さんはお店に来て、私を指名するくせに私の裏垢の『まい』という、架空の女と付き合おうとしている事になるよね?お店じゃ鼻の下を伸ばして私と居るくせに。しかも、口説き方も聞いて来るし。待てよ?っていう事は、ある意味『私と私の架空人物に二股』掛けてるって事?微妙だけどそうなるのかぁ?ちょっとムカつくな。よーし、ここは一丁お灸を据えてやろう>
「ゆい」の心中に潜む「小悪魔」が目を覚ました。
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