1-64.64話「愛のブリザード」

 今回、第1話以来サオリがゴーディアンのパイロットになる。バラスを失ったマドクター側の動きやついに稼働するアノー号、ダイゴにメッセージを送るイクスローム星人アダムⅢの伏線もある。

 タイトルの「愛のブリザード」はたおやかな姿とは裏腹に激しい決意を秘めたサオリのイメージだろうか。それでは見ていこう。


64話「愛のブリザード」 1980年12月21日


 脚本     :山本優

 演出     :秋山勝仁

 作画監督   :松井栄

『ジ・アニメ』vol.14(1981年1月号)では村中博美


あらすじ


 毒魔殿。エリアスは毒魔大帝統にドッグマンがゴーディアンに勝てなかった理由を責められていた。バラスを失って弱気になったサクシダーを叱りつけるエリアス。彼女はダイゴに対ドッグマン戦の代償が必ずあると予想していた。大帝統は地球脱出に備え後4日でアノー号を入手しろと命ずる。エリアスはナンマドックとトウマドック(32話準拠)にサントーレを攻撃し、ゴーディアンの動きを見張るよう命じた。

 サントーレでは、花巻博士がイクストロンをアノー号に注入する準備が整ったと報告していた。しかしダイゴの様子がおかしい。アノー号警備の交代のためゴーディアンに合体しようとしたダイゴはプロテッサーの手前で倒れてしまうが、気力を振り絞って合体する。ようやく外に出たものの、思うように動けず倒れてしまう。慌てるピーチィ。それを見たマドクター偵察部隊は報告のため引き上げる。

 ダルフの護衛で花巻博士がイクストロン注入に向かおうとしていた所に、ダイゴの異変を知らせにピーチィが駆け込んできた。慌てて飛び出したサオリの胸でダイゴは気を失ってしまう。

 ナンマドックたちの報告を受けた大帝統は、この機にゴーディアンを倒すよう命ずる。

 医務室に運び込まれたダイゴ。花巻博士は、ゴーディアンと同調するダイゴの反応細胞が負けたため起こった現象だと推察する。ドブロフは、ダイゴの細胞に活性パルスを与えようとするが、回復には三日間はかかるという見立てだ。

 サオリはイクストロン注入を延期しようというバリーに反対し、自分がゴーディアンに乗ると宣言する。適応者でないサオリがゴーディアンに乗ることは危険を伴うが、サオリは今までサントーレを守ってきた自分と、異常を隠して出撃したダイゴの気持ちは同じだと訴え、「今は敵にも味方にも、ゴーディアンが健在なことを示さねばならないのです」と説得する。

 サントーレ軍総出でアノー号を守る中、サオリはゴーディアンに嵌入する。一方、パルス注入を受けるダイゴは、夢うつつの中でイクストローム星人アダムⅢと会う。アダムⅢは、「人類のためアノー号を率いよ」とダイゴに呼びかける。

 ゴーディアンは白光剣を抜いてアノー号の前に立ちはだかるが、マドクターメカのフック付き鎖に掴まれ、引きずられてしまう。なすすべのないサオリ。

 そのころ、ようやく目を覚ましたダイゴの所にクリントがやってきた。サオリがゴーディアンに乗っていることをドブロフの言葉で察したダイゴは、クリントと共に飛び出す。

 指揮官のトウマドックは、ゴーディアンごと毒魔殿に引き込む腹づもりだ。追いついたダイゴとクリントは鎖を破壊し、サオリを救出する。バリーにサオリを託すと、ダイゴはゴーディアンに嵌入し白光剣とブリザードアタックでマドクターメカと戦艦を倒す。作戦失敗の報告を聞いたエリアスはくずおれた。

 花巻博士の作業は無事成功し、ついにアノー号にイクストロンの灯が点った。サオリは涙目でそれを見つめていた。


解 説


 今回のトウマドックの声はたてかべ和也、ナンマドックの声は増岡弘だろうか。2人ともホルスターが正しく描かれていない。

 前回の生活物資の不足については今回触れられていない。連携不足だろうか。

 今回アノー号とサントーレ基地が並ぶ俯瞰シーンがあるが、ほとんど同じ大きさ。

 マドクター偵察部隊の服装は41話で登場した「岩の迷彩服」。

 サオリのパイロットスーツ、前回は藤色だったのだが今回は小豆色。前回のは焦げてしまったのだろうか。

 当初ダルフは花巻博士に同行する予定だったのだが、アノー号護衛に加わっている。花巻博士の護衛役は代わったのだろうか。

 ダイゴの夢にはナオミ、竜馬、ゲンも登場。アダムⅢの声は伊武雅之と思われる。

 今回闘獣士は登場してないが、フック鎖を射出したマドクターメカは新規設定だろう。カテゴリーとしては「マドクラフト」なのかもしれない。噛み付き回転で鎖を切断したりと、久々にクリントが大活躍。

 ダイゴに再嵌入した後の戦闘は、短いながらも立ちヒザでの止めポーズ等、スーパーロボットらしい外連味がある。今回の作画は「村中博美 ギディオン動画」と日韓併記なのでここは村中博美の担当だろうか。

 今回もサオリはダメージを受けていたが、泉に浸かったのかラストは普通に戻っていた。


こぼれ話


 『アニメージュ』vol.31(1981年1月号)では巻頭で「81年 ザ・ファースト・カラフル・プレゼント」と冠して各アニメのおもちゃプレゼントを実施。『闘士ゴーディアン』からは「アニメキャラクター 闘士ゴーディアン ガービン」を5名、超合金の「ブラックゴーディアン」を1名にプレゼント。ダイゴが「ロマンを合身させたぜ!!」と喋っている。タツノコプロの81年カレンダープレゼントもあるが、表紙絵にゴーディアンはいない。

 「アニメキャラクター 闘士ゴーディアン ガービン」の写真にはクリントのおもちゃも一緒に映っている。このガービンは超合金とは別物のように見えるが詳細は不明。「ブラックゴーディアン」は超合金のブラックバージョン。アニメ雑誌の懸賞では超合金は子供向けとして敬遠されるので、対策としてブラックバージョンを製作したとデザイナーの村上克司は語っている。生産数が少ないためか、一時は幻のアイテム扱いだった。ちなみに、同じコンセプトで製作された「超合金ブラックゴッドシグマ」も同ページの景品として掲載されている。

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