1-39.39話「流星群の来襲」

 『アニメージュ』vol.25(1980年7月号)の放送予定欄で山本優は今回の内容を、『ビッグ・カタストロフ(大異変)、イクストロン、プロジェクトXという謎のキーワードに関連しあう、ひとつの出来事としてみてください。』と紹介しているが、本編では更に不可解な出来事が起こるのだった。それでは見ていこう。


39話「流星群の来襲」 1980年6月29日


 脚本     :松崎健一

 演出     :紀裕行

 作画監督   :松井栄


あらすじ


 宇宙空間を内部に謎の光をたたえた小惑星が進んでいた。ウカペの近くを通った時、ウカペの表面を覆う光と小惑星内部の光が反応。小惑星は粉々に砕け散り、地球へ向けて落下を始めた。

 そんな事件も知らず、サントーレでは花巻博士が前回回収されたSES77の内部に当時の手がかりはないか調べるのに夢中。手伝おうとしたがつれなくされたダイゴはピーチィに捕まり、ズボンを脱ぐよう命じられる。破れたズボンを直すというのだ。

 毒魔殿では、サントーレの動きがないことにバラスがやきもきしていた。毒魔大帝統は毒魔黙示録237章をサクシダーに開かせる。

「天より光来たりて地の光と争う。そして天の光勝ちて天地を征する」

天の光を手に入れるため、大帝統はエリアスに双闘獣士ツインザーを出撃させた。

 ズボンの補修中に対話室に呼び出されたダイゴ。到着したときには既に花巻博士、アンノンジー、バリー、サオリが待っていた。花巻博士がSES77の内部で発見したデータの件で集められたのだ。京太郎は『これから見られることは他言無用だ』と前置きし、花巻博士が解説を始める。

 ソコネスの接近時、発見されなかったもう一つの衛星化した惑星が地球に向かっているというのだ。その影響で月とウカペのバランスが崩れ、ロシュの限界が起こった場合、月は破壊されて地球に落下する。その場合、ソコネス通過と同程度の被害があると考えられる。驚く一同。

『それはビッグ・カタストロフの第一段階』

京太郎が話を引き継いだ。

『本当のビッグ・カタストロフはその後にやってくる。それは静かな終末となろう。このデータから、未知の放射線をウカペと小惑星が出していることが確認されている。これこそプロジェクトXの鍵、イクストロンの正体であると同時に、ビッグ・カタストロフの前哨』

 京太郎は二日後小惑星が落下するまでに、マドクターの手に入らぬうちに痕跡をとどめぬまで破壊するようダイゴに命ずる。京太郎はさらに出撃しようとするダイゴを引き留め、『これはお前の命に関わることだ。覚悟してかかれ』と言い添える。

 花巻博士の解析で、流星はマイナータウンに落ちることが判明した。至急電を受けた市長は配備しているミサイルで迎撃すれば事足りると自信満々。

 エリアスはサイマドックに指揮を執らせ、陸上戦艦を出動させる。マイナータウンへ向かうゴーディアンと空挺部隊はナンマドック指揮の空挺部隊で足止めされる。バリーに先に行くよう急かされるダイゴだが、ツインザーが行く手を阻む。フットミサイルで攻撃するとツインザーは分離して二体で攻撃してきた。ツインザーの触手で身動きがとれないゴーディアン。

 その間にもマイナータウンに流星群は迫る。迎撃ミサイルも全く効かず、マイナータウンは一瞬で壊滅。その爆風を感じたダイゴはタウンの壊滅を悟る。ゴーディアンは「分身」したデリンガーとプロテッサーの剣で触手を切断、プロテッサーのツンドラダッシュで牽制して再合体、タウンに向かう。

 壊滅したタウンで、ダイゴは地面に落ちた隕石に気づき近づこうとする。しかし、ゴーディアンが隕石の中の謎の光に反応し、動けなくなってしまう。かつてヴィクトールタウンの地下でイクストロンに触れた時に似ているが、どこか違うとダイゴは感じていた。そこに追ってきたツインザーが到着。ゴーディアンを襲おうとするが、逆に謎の光に捕まり、爆発してしまう。隕石の中の光がイクストロンであることをダイゴは感じていた。隕石を破壊しようとするがなかなか近づけないダイゴに、京太郎の通信が入る。

『退くなダイゴ、エネルギー放出を全開にしろ。ゴーディアンのエネルギー源は、純粋培養したイクストロンだ。隕石中の不純イクストロンが成長していない今なら勝てる。精神を集中しろ』

「人のことだと思って、くそっ、今に見てろ」と発憤したダイゴは、反応に逆らいながら隕石に近づき、破壊しようとするがはじき飛ばされてしまう。体が鉛のように動かない。気がつくと隕石は消え失せており、バリーの部隊が到着したところだった。


解 説


 松崎健一はかなりハードなSF設定を作っているのは分かるのだが、残念ながら演出と作画の理解度が追いついていない気がする。伊武雅之のナレーションが必要だったのではなかろうか。

 花巻博士の助手としてガイゼット(聞き取りなので間違っている可能性あり)という褐色肌の青年が登場。

 前回以来竜馬はすっかりピーチィー恐怖症に。

 毒魔大帝統が久々に「太陽のすかし」と挨拶。

 ピーチィーの裁縫はあまりうまくないようで、ダイゴは服に針が縫い込まれたとぼやいている。

 対話室のシーン、花巻博士の服が背広から白衣に途中で変わってしまうミスが。京太郎の台詞が相変わらず聞き取りづらいが、ヘッドホンをするとかなり聞き取りやすくなる。今回の京太郎の声は北村弘一だと思われる。『それは静かな終末となろう』と語っているが、第2のビッグ・カタストロフについてかなり正確に予測していたことが分かる。

 「双闘獣士」ツインザーの表記は私の推測。合体している時の足は2本だが、分離するとそれぞれ2本になるというよく分からない作り。出撃前のシーンでは頭が一つなのは合体前の闘獣士なのか作画ミスなのか不明。

 今回のサイマドックの声は増岡弘だと思われる。ホルスターは描いてあるが制服の色がカーキ系。ナンマドックの声はたてかべ和也だと思われるが、ホルスターは確認できず。

 今回の「分身」シーンはガービンが開かずにデリンガーとプロテッサーが突如出現。ダイゴいつの間にこんな技を(おそらく演出ミス)。プロテッサーのツンドラダッシュも、複数のゴーディアン・ボムを乱射するという初めての描写。シナリオにそう書いてあったとは思えない。再度合体する時もハッチは開かず。エリアスも「味な真似を」と驚いている場合ではない。

 ここ数回、ゴーディアン内部のダイゴの背景が青と赤両方あるが、意図があるのだろうか。

 隕石に近づいた時のゴーディアンの反応はパルストームの激しいものだと思うが、シナリオがないので詳細は不明。この後ダイゴは「親父から通信があるなんて初めてだぜ」と言っているが、21話特訓時の父の声は回想ということだろうか。

 エンドテロップ、伊武雅之は治ったが福「土」秀樹は治らず。

 次回予告は過去回の使い回しのようだ。そもそもタイトルの「巨砲」が1カットもない。


こぼれ話


 『ジ・アニメ』Vol.8(1980年7月号)のモノクロ3ページ特集記事では、サントーレ側人物配置、マドクターVタウン占領軍組織が1ページずつ図式表で紹介されている。

 サントーレ側は40話以降に加わるキャラクターの名前も見える。陸艇隊にはダルフとアレン・ダレ「シ」と誤植されているが、アレン・ダレンがいる。本編ではダルフは空挺でも活躍しているが、所属は陸艇のようだ。花巻博士はこの表でも「ヒゲチビ博士」である。

 マドクター側、「四大門将軍」はこの記事では「トウマドック・ナンマドック・サイマドック・ホクマドック」となっている。また、「外事部隊」という対外部署や、マドクターの兵士たちに「家族区」があることもここで明かされている。

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