1-40.40話「巨砲を叩きつぶせ」

 今回は本来37話として放送されるはずだった回。それを念頭に見ていくと色々気づきがある。手元の録音台本を参考に見ていこう。


40話「巨砲を叩きつぶせ」 1980年7月6日


 脚本     :山崎晴哉

 演出     :秋山勝仁

 作画監督   :杜福安


あらすじ


 サントーレの岩石に通常よりも硬い物質が混じっていると知ったマドクターは、エリアスのもと巨砲を完成させる。威力は十分だが射程処理が短いのが弱点だ。毒魔大帝統は毒魔黙示録42章の19に基づき、カモフラージュ作戦を命ずる。

 マドクター部隊の襲撃に出撃するゴーディアンたち。サントーレで戦況を見守っていた竜馬は、別方向にレーダー光点があることに気づく。マドクター部隊は囮で、ナンマドック率いる巨砲が待機していたのだ。ナンマドックは反撃されないよう、巨砲に捕虜を乗せていた。捕虜に家族の顔を見つけ動揺する砦の市民たち。サオリは必死に皆を制する。

 巨砲でさらに攻撃を続けるマドクターだが、突如砲撃が止み、白旗が揚がった。ナンマドックはアンノンジーに、「明日の夜明けまでに全員退去せよ、さもなくば人質は全員処刑する」と通告する。毒魔大帝統の真の作戦は、市民たちに恐怖を与え内部よりサントーレを崩壊させることだった。だが竜馬には策があった。

 その夜、見張りのマドクター兵の所に、チョコマとジョーが「チビッコ・キャラバン」と称して酒を売りにやってきた。ウイスキーを飲んで酔っ払ったマドクター兵をサントーレにお持ち帰り。マドクター兵の服を身につけたダイゴたちがすり替わるという作戦だ。

 一方、サントーレでは通告を受けて出て行こうとする者たちで騒然となっていた。竜馬はあえて引き留めず出て行かせる。これも作戦のうちなのだ。

 マドクター兵の服を身につけたダイゴたちは交代した見張り兵を倒して無事潜入に成功する。人質たちはクリントがサントーレまで案内する。ナンマドックはサントーレの市民たちが出ていくのを見て安心し、兵士たちは酒盛りをしていた。機関室に時限爆弾を仕掛けた三人は脱出し、砲塔は見事爆破される。喜ぶ人質たち。だが、その下に埋もれていた本体が姿を現した。闘獣士アリダスだ。アリクイ型で口の先がミサイル砲になっている。

 巨砲を背中に積んでいたアリダスは砲塔の残骸を振り落とすと巨体でゴーディアンを苦しめる。ゴーディアンはシャインシェルドでミサイル弾をはじき返すとデューク・スクリューで鎖の付いた手を斬りおとす。アリダスは残りの手で反撃しゴーディアンの右足に穴を開けるが、最後はデリンガーにブリザード・アタック、マグナムバンチ、必殺赤光剣のコンビネーションで倒された。

 人質になった家族と再会して喜ぶ市民たち。ダイゴは竜馬を軍師として認めると褒めたが、竜馬は「メカコンと市民の協力があったからじゃ」と謙遜するのだった。


解 説


 37話で毒魔大帝統が人質を全員エリアスと交換せよと言った展開と矛盾しているが、本来37話と40話が逆だったことを考えると仕方ない。

 毒魔殿、カモフラージュ作戦を命ずるのは録音台本ではバラス。

 ダイゴたち出撃前の食堂シーン、食べていたのは「鳥焼き」と録音台本に書いてある。竜馬が箸を使っているのは指示がないので絵コンテ以降の判断だと思われる。

 ゴーディアン、36話以来人面岩の目から出撃する。出撃後目の出口が閉まることも確認できる。しかし、『ジ・アニメ』Vol.12(1980年11月号)の特集を見る限り、人面岩は飾りで何も設置されていない。

 ナンマドック、長すぎて録音台本では「ナンマ」と略される。今回の声優はたてかべ和也だろうか。ホルスターは確認できず。

 ポールが久しぶりに登場するが、今回もメカコンに抗議する役回り。その後少年隊と一緒にマドクター兵のお持ち帰りで活躍する。

 ジョーのデザインが前と違っていて背が高すぎる。設定の共有ができていなかったのだろう。録音台本では、ポールがアンノンジーに抗議するシーンで両親を心配する台詞があり、両親はサントーレに避難できなかったことが分かる。

 竜馬の台詞、録音台本では「わしにいい手があるぜよ」とあるのを本編では「おいによか策があるぜよ」と直している。竜馬の台詞はこういった直しが全般に入っているが、古谷徹の手によるものかは不明。

 マドクター兵がチビッコ・キャラバンを歓迎したのは、ナンマドックがアルコール禁止を言い渡したのが原因であることが本編でカットされた台詞から分かる。やはりマドクターの統制は厳しめだ。また、キャラバンのウイスキーは睡眠薬入りだったことがポールのカットされた台詞から分かる。本編で使われなかった理由は不明。

 すり替わりのシーン、ダイゴが扮したらしいマドクター兵が外に出た後に内部に残っているダイゴが。演出ミスかと思ったが、これはモブのメカコン隊員らしいことが録音台本で分かる。見張り兵が四人いるからだと思われるが、潜入作戦なら本編で出番のなかったブラスター・バックを連れて行けば良かったのに。

 人質救出作戦中、ポールがアンノンジーを責め立てる市民を諫める(今回の名言参照)が、これが本編で使われなかったため悪印象を覆すには至らなかった。

 ナンマドックが作戦が成功したと思ったからか、祝い酒が支給される。このメリハリがマドクターの統率力の高さの原因かも知れない。

 人質の中に緑ジャケルパンの配色の服を着た市民が。

 「アリダス」の名前、「アリクイ」の逆で「ダス」なのだろうか。

 いつも牽制でしか使われないデュークスクリューが珍しく闘獣士の腕を切り落とす。しかし今回の剣は独古型で、持ち手の両端に刃がある。オリジナルは片刃なので設定ミスだろう。

 録音台本ではアリダス戦の際、「シャインシェルド」を初期設定の「シャイアン・シェルド」と誤記。本編では発音せず「デューク・スクリュー」のみ。

 最後のナレーション、本編と録音台本では違っている。本編では「サントーレの人たちにも笑顔が生まれた」という部分、録音台本では「笑顔が生まれ 愛さえ育まれていく日があった」となっている。憶測だが、顔を見合わせるバリーとサオリにかかっていたのではないだろうか。

 次回予告は設定画に色を塗っただけと覚しき止め画とバンクのみ。それでも本編の内容に関係あるシーンを選んでいる。


今回の名言


「サントーレを守り、人質を救出するにはそれしかないと思ったから……みんなも誓ったじゃないか、メカコンに協力し、団結してサントーレを守ろうって!」(ポール)録音台本のみ


こぼれ話


 『アニメージュ』vol.25(1980年7月号)の放送予定欄では、37話から40話までの竜馬活躍篇とでもいうべき内容について山本優が語っている。

「正統派のバリーに対して一計をひねるところが彼のもち味」

「幼いころの遊び友達であるダイゴとの呼吸も奇妙にあって、そのコンビぶりも楽しさをそえてくれるはずです」

「サン・トーレがまたひとつにぎやかになったわけで、この男がダイゴと協力し合いながらどんな動きをみせていくか、あたたかく見守ってやってください」

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