1-38.38話「墜落衛星の謎」
今回は久々に録音台本が手元にあるが、「第38話」の「8」部分が上から張り直されている。この話数部分はスタンプで押印されているのだが、押し間違いなのか、37話と40話の放映順が入れ替わったことに関係があるのかは不明。
それでは本編を見ていこう。
38話「墜落衛星の謎」 1980年6月22日
脚本 :曽田博久
演出 :渡部英雄
作画監督 :松井栄
あらすじ
毒魔黙示録216章を読み上げるサクシダー。
「水星と天王星が獅子座の太陽にありし時、轟音と閃光が砂漠に落ちることありき、この星の王たらん者その砂漠を征くべし」
この予言を「マドクターの惑星征服を推進する物が砂漠にあると解釈できる」とした毒魔大帝統は、闘獣士サジーンをエリアスに出動させる。サジーンは竜巻を起こしながら砂漠を渡っていった。それに巻き込まれたのが訓練中のピーチィとアニタ。ピーチィーは服の中に入り込んだ謎の物体をサントーレへ持ち帰る。
謎の物体を見た花巻博士は昔の宇宙船か人工衛星の破片のようだと推測し、分析の結果、20年前に行方不明になった宇宙観測衛星SES77の破片だと断定。そして切断面から、大気中で燃え尽きることなく不時着したと推察した。興奮する花巻博士だが、誰もSES77のことを知らない。SES77は地球の危機を宇宙的視野で観測するため打ち上げられた。内部のマイクロフィルムにあるデータがマドクターの手に渡れば一巻の終わりだという説明で、ようやくダイゴたちも事の重大さを理解する。
バリーはピーチィーを隊長、アニタを副隊長とする捜索隊を結成し、自分は遊撃機動部隊の指揮を執る。ピーチィーはダイゴを隊長付の雑用係に任命するが、竜馬が自分の作戦に参加するよう横槍を入れる。
ピーチィやダルフと探索に出たダイゴだが、砂漠で謎の矢印を発見する。その先には竜馬がいた。竜馬は今朝の天気図を見て、砂嵐が起きたのはマドクターの仕業だと推測していた。竜馬の作戦は偽の監視衛星を作り、マドクターへの囮にするという物だ。この作戦にはダイゴが必要だと力説する竜馬に、対抗してダイゴにしだれかかるピーチィ。結局ダイゴは竹馬の友を取り、ピーチィはダルフと取り残されてしまった。
一方、エリアスは東の将軍トウマドック(32話準拠)を従え、衛星奪取に向かった。
竜馬はダイゴを花巻博士に作らせた偽衛星の中に忍ばせ、偽衛星がタウンに運ばれたら大暴れするという作戦を説明する。渋々従うダイゴ。
ピーチィーたちは砂丘で謎の物体の反応を見つけたが、マドクター兵と鉢合わせして交戦になってしまう。それを知った竜馬は作戦を変更。自分が偽衛星の中に隠れ、ダイゴをゴーディアンに向かわせる。
「おいも男。それにおいの作戦じゃ。オナゴを助けんことには、男が廃るぜよ」
交戦中のピーチィたちはプロテッサーが飛んできたのを見て大喜び。だが、プロテッサーは素通りしてしまう。その先に偽衛星があるのも知らず釣られるマドクター軍。バリーたちも後を追い、ピーチィーとアニタは取り残されてしまった。
偽衛星を守るふりをしてマドクターを引きつけるダイゴだが、サジーンが現れる。プロテッサーはサジーンの起こす竜巻に翻弄され苦戦。そのままサジーンは偽衛星を持ち帰ってしまう。心配して駆け寄るバリーたちに「これでいいのさ」とうなずくダイゴ。
取り残されたピーチィーたちは自力で衛星を見つけ出し、内部からマイクロフィルムを取り出すことに成功する。合流した花巻博士は早速解析を始めた。
偽衛星を持ち帰ったトウマドックはヴィクトールタウンの門で待っていたバラスに叱責される。20年前の物にしては文字が鮮やかすぎると看破したのだ。サジーンは火炎放射で偽衛星を焼き始め、中の竜馬は大慌て。ダイゴはデリンガーとガービンを呼び寄せ、脱出した竜馬を助けてから合体する。必殺白光剣で斬りかかるも、サジーンの火炎竜巻に跳ね返されるゴーディアン。竜馬のアドバイスで背後から斬りつけて倒す。
這々の体で引き上げてきた竜馬とダイゴに駆け寄るピーチィだが、二人は怒られると思い逃げ出してしまう。ピーチィは二人にお礼を言おうと思っていたのに伝わらなかった。
『二人の友情は、サントーレに降り注ぐ太陽の如く、大きく、重く、そして永遠の輝きを放っていた。』(伊武雅之)
解 説
今回の毒魔殿、スクリーンの上にある飾りの目が光っている。
毒魔黙示録のシーン、文面が日本語。そもそも黙示録の文章が読める形式で書いてあることが初めて。もしかしてサクシダーは日本語が読めるから黙示録担当なのだろうか(そんなわけはない)。ちなみに録音台本では、「水星と太陽の天王星が獅子座にありし時」となっていた。シナリオではどうなっていたのか分からないが、占星術的には水星は知性、天王星は変化、チャンス、発見等の意味がある。獅子座が実際の夜空か占星術上の「ハウス」を差すのかは分からない。
録音台本では、衛星の破片が入ったのはピーチィーのブラジャー。子供には刺激が強すぎると思ったのだろうか。これを受けたダイゴの台詞もカット(今回の名言参照)。
花巻博士、録音台本では登場時のみ「チビヒゲ博士」で後はずっと「チビハゲ博士」。確かにそれでも間違ってはないが。
「SES77」、恐らく1977年に打ち上げられた衛星なのでこの名前だと思われる。録音台本では「SESワク」と誤記が混じっており、花巻博士役の緒方賢一も修正が大変だったろうと思う。この時に資料として映る衛星と実際に発見された衛星は形が違っているが、一部破壊され残った姿ということで良いのだろうか。
ダイゴにゲタをぶつける竜馬だが、いつも履いているブーツとは別に持ち歩いているのだろうか。
捜索隊メンバーにさりげなくアレン・ダレンが。それらしきモブは36話にもいたが、サントーレ隊にいることがここで正式に確認される。
トウマドック、29話では「ドンマドック」と呼ばれているが、以降この表記で呼ばれることが多いのでこちらが正式名称だと思われる。容姿は32話と同じだが、服のホルスターが省略されているので名前の意味がない。声優は増岡弘だと思われる。
ダイゴへの竜馬の台詞、録音台本では「おいも男 おいの作戦の責任と オナゴを助けるためには 躰を張ることもあるぜよ」とニュアンスが少し違っている。
プロテッサーが偽衛星のそばに着陸するシーン、背景で一瞬別の衛星になっているミスが。録音台本ではプロテッサーを追ってきたマドクターの空挺団員が偽衛星を発見してトウマドックに報告するのだが、本編では分かりにくい。
バリーが偽衛星に釣られたマドクターを追いかけるシーン、ピーチィーが「バリー」と呼び捨てにするが、録音台本では一緒に向かったダルフに呼びかけていた。本編でもダルフがいるのになぜ変更したのか不明。
サジーンが来たときのトウマドックのマントが塗り漏れで透明に。
ダイゴたちの作戦を知って出し抜かれたと悔しがるピーチィにロゼが声をかける(今回の名言参照)が、サントーレで孤立していた割には男心に詳しい。曽田博久の男性視点台詞の代弁のような気がする。
プロテッサーの隠れる岩の手前から奥へと移動するサジーンというシュールなカットがあるが、このシーンは録音台本に指定がない。本来ならサジーンを岩の影から見送るプロテッサーのシーンになると思われる。
ゴーディアン対サジーン、録音台本ではサジーンが噴き出す炎の竜巻をレザースクリューで跳ね返してからの必殺白光剣だった。
録音台本にはラストのナレーション指定はない。
エンドテロップ、福士秀樹を福「土」秀樹、伊武雅之を伊「藤」雅之と誤植。
次回予告は今回のシーンからカットを使用。全然間に合ってない。
今回の名言
「博士 それも厳密に言うなら ピーチィのでっかいブラジャーに感謝しなくっちゃ ウッシッシッ」(ダイゴ)
「あのね、何も言わないで守ってやったというのも男心の粋なとこなのよ。その上、男が男に惚れて戦う姿、これを分かってあげなくちゃ女の資格なしよ」(ロゼ)
こぼれ話
タイトル、「スーパーロボットマテリアル」では「墜落衛『生』の謎」と誤植。
今回のエピソードのヒントかも知れないのが、1977年に打ち上げられたソ連の人工衛星「コスモス954」が1978年に墜落した事故。原子炉を搭載したまま墜落し、残骸回収のために大規模な作戦が行われた。
『ジ・アニメ』Vol.9(1980年8月号)では由井プロデューサーがチビヒゲ博士とピーチィーについて知りたいという読者の質問に回答している。
チビヒゲ博士(ここでは花巻博士という文字は出ず)は大滝博士や角倉(正しくは門倉)博士と同じ科学者仲間の生き残りであること、ピーチィーは16歳で、普段はかわいい女性だが意地っ張りなところもある。ダイゴに心惹かれたりする面もある、素直な本当にいい子だ、と回答している。
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