1-23.23話「暁の出撃」

 『ジ・アニメ』Vol.3(1980年2月号)の特集記事で今後のストーリー展開を聞かれた山本優は、「二人(ダイゴとトロス)の決着が付いた後、ヴィクトール・タウンを中心に、マドクターとの壮烈な占領戦が展開され、それが2~3クールの山場です」と語っている。

 今回から本格的なヴィクトールタウンでの攻防が始まる。前回作中で示された地図が頭に入っていると分かりやすいだろう。

 それではシナリオを参考に見ていこう。


23話「暁の出撃」 1980年3月9日


 脚本     :山崎晴哉

 演出     :川田武範

 作画監督   :多田康之

『アニメージュ』vol.22(80年4月号)では演出:山口秀憲 作画監督:小野順三


あらすじ


 第13地区を占領したマドクターとメカコンのにらみ合いは続く。資材を運んでいたダイゴとピーチィは、ピーチィーの幼なじみで、第12地区青年隊リーダーのポールと出会う。久しぶりの再会に盛り上がる二人にはぶられたダイゴは、近くにいたアメラグ好きの少年、ジョーと意気投合する。

 一方毒魔大帝統は、黙示録第79章の3に基づき、ヴィクトールタウン第12地区の占領を命じた。闘獣士デビルザイも完成している。バルバダスは13地区に向かうと見せて、一気に隣の12地区へ向かう作戦をとった。

 ポールと別れたダイゴたちは、第12地区で突如起こった爆発で異変を知る。ジョーの話によると、学校近くが襲われているという。二人はジョーを乗せて現地に急行した。

 ポールの指示で生徒たちは高台の太陽小学校に避難したが、そのままマドクターの人質になってしまう。これではメカコンも手出しが出来ない。小学校の敷地に入り込むことが出来たダイゴたちは、ジョーの案内で青年団のアジトに向かうことにする。アジトでポールたちと合流したダイゴたちは、バリーと連絡し、翌朝双方から突撃する作戦を立てる。バリーに連絡するための抜け道は、ジョーの提案で普段学校をサボってる時に使う道を利用することになった。

 ポールとジョーたちが抜け道を進んでいると、突如待ち伏せていたマドクター兵の襲撃を受ける。何者かに昏倒させられたジョーだが、朦朧とした意識で襲撃者の手に噛みついた。駆けつけたダイゴたちにジョーは助けられたが、ポールの姿はない。バリーへの連絡を引き受けたダイゴは、銃撃をものともせず脱出する。

 サントーレに戻ったダイゴがゴーディアンで出撃したのは翌朝だった。ゴーディアンはデビルザイを耳手裏剣(仮称)やマイティライボーで倒し、人質の子供たちはクリントたちの突撃で救出された。親との再会を喜ぶ子供たちの脇で一人たたずむポールに近づいたピーチィは、その手に包帯が巻かれているのに気づく。包帯の下にはジョーの歯形が。ポールは13地区で両親を人質に取られており、脅されてマドクターに情報を流したのだ。自殺しようとするポールの銃を電子ロープで奪い取ったダイゴは、生きて償いをするよう諭す。そんなダイゴの成長ぶりに胸をときめかすピーチィだった。


解 説


 シナリオでは第12地区は文教地区だという説明がバラスからあったが本編ではカット。前回の予告では触れられている。

 ダイゴとピーチィ、シナリオでは資材運搬用の大型輸送車に乗っているが、本編では普通のジープ。

 ジョー曰く、ダイゴの評判は「いいセンスしてるんだけど、肝心の所でミスっちゃう」という非常に安原キャラ的なもの。

 ポールの声優は二度目の石丸博也。ジョーの声優は不明。ジョーは学校をサボってきたため結果的に難を逃れたのだが、この説明は本編では省かれている。

 闘獣士は基本ヒト型なのだが、デビルザイは獣型でマドピューター的。シナリオでは「マドクス・デビルザイ」と表記されており、21話での指摘通り、闘獣士=マドクスと読ませたかったと思われる。このシーンでの毒魔大帝統の台詞、シナリオでは「必ずや太陽のすかしの実態に迫ってみせるぞーっ!」というのが本編ではカットされている。

 避難する生徒の中に何故か『おそ松くん』のハタ坊が。

 シナリオではバリーへの連絡へはクリントが同行するが、本編ではダイゴ一人。お陰でダイゴがスーパーマンに。その後、サントーレで怪我の手当を受けたダイゴは心配するロゼたちを振りきり「もうすぐ、夜が明ける!」と言い残しゴーディアンで出撃する。これがタイトル『暁の出撃』の由来であるが本編ではカットされている。「今回の名言」でのサオリの台詞はここでロゼたちに言ったもの。

 シナリオでは、バルバダスが襲撃時に鉄塔を次々に配置し、その間にスクリーンを貼って宣戦布告をする。この鉄塔を見て特訓時のマウンティホーンの原生林を思いだしたダイゴが、デビルザイ戦でプロテッサーのツンドラダッシュを使い攪乱するが、本編では出番なし。牽制としてガービンがホーガンアタックで鉄塔を倒すのもカットされている。

 マドピューターへの攻撃、フットミサイルを両足同時に放つ新規作画が。デビルザイ戦で耳手裏剣(仮称)が一瞬でマイティライボーに変形するのも新規作画。これらは全て本編のみの使用である。

 青年隊のアジトから偵察に出るダイゴのシーン、夜なのに昼間になっている。ラストのジョーの銃を取り上げるダイゴでも眉の塗りミスがありナイスガイに水を差している。

 ラスト、ダイゴを見直すピーチィの台詞、シナリオではバリー。


今回の名言


 「ヴィクトール・タウンでは、小さな子供まで死物狂いで戦っているそうです」サオリ(シナリオのみ)


こぼれ話


 今回の演出の川田武範は東映動画の仕事が多く、ゴーディアンではこの回のみの担当。作画監督の多田康之もこの回と28話のみ。偶然どちらもポールのゲスト回である。


 『ジ・アニメ』Vol.3(1980年2月号)の特集記事では、ゴーディアンの三体連動についても質問があり、山本優が「デリンガーとガービンはプロテッサーから出される感応波によって動かされている」と答えている。「構造的に動きづらいのでは」という質問には「今後の話の中で、ゴーディアンの大改造を行うことになっています。すでに改造後のメカ・デザインも出来ていますので、新しいゴーディアンに御期待下さい」と答えている。この「新しいゴーディアン」のお披露目は25話で果たされる。


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