1-24.24話「自由と正義の旗の下(もと)に」

 『アニメージュ』vol.22(80年4月号)の放送予定欄で山本優は、マドクターの攻撃が激しさを増す中、「この攻防戦のなかで、それぞれの人間がどうやって生きていくかも、ぜひ、みなさんに注目していただきたい」と前置きして今後のあらすじを語っている(一部勘違いが見られるが)。24話については、「知事一家の三人三様の生き方に注目して下さい」と紹介している。

 それではシナリオを参考に見ていこう。


24話「自由と正義の旗の下(もと)に」 1980年3月16日


 脚本     :山崎晴哉

 演出     :古川順康

 作画監督   :杜福安


あらすじ


 エリアスが闘獣士マドクス・コンドリアスの製造を続けている中、毒魔大帝統は黙示録125の3に基づき、市中央を占拠する作戦を指示する。中央部と12・13地区に挟まれた南半分を占領するのが目的だ。

 メカコンは12・13地区を囲む地区の境界に橋頭堡を築いてマドクターと攻防を続けていた。しかし本部に伝令に行ったダイゴが戻ってこない。バリーはピーチィを迎えに行かせた。

 その頃ダイゴはサントーレに戻り、ゴーディアンを出撃させない京太郎に詰め寄っていた。京太郎は「軽々しく動いて、もし敵に裏をかかれたら何とする」と言い、敵の主力が出るまでゴーディアンを温存すべきだとダイゴを諭す。そこにチョコマからの情報が。タウンの西側からマドクターのかすかな反応があるというのだ。

 タウンに戻ったダイゴは、逃げ出そうとする市民たちに行く手を遮られる。そこにダイゴを探すピーチィーが。ダイゴはピーチィーにマドクターがどこを襲うと考えるか尋ね、ピーチィーは市庁舎のヴィクトール・ハウスを挙げた。

 ヴィクトール・ハウスにはロビンソン知事とメリー夫人、娘でピーチィの友人のジェリーが住んでいる。ロビンソンは有力な政治家の娘であるメリーの尻に敷かれているともっぱらの評判だ。ダイゴたちが来た時にも住民の避難命令を出すようメリーに責められていた。

 その時、突然TVニュースを放送中のアナウンサーが撃たれる。マドクターが西側の地下から第2地区に進撃したのだ。TVに映ったバラスは報道局占拠を宣言し、人質の官僚を盾にして全住民をタウンから退去させるようロビンソンに迫る。猶予は一時間。ダイゴはメカコンが総攻撃をかけるためにも避難命令を出すようロビンソンに頼むが、ロビンソンは京太郎の『人間あっての都市、人間のいない都市は無意味な廃墟に過ぎぬ』という言葉をダイゴに伝える。しかし待ちきれないメリーとジェリーは避難しようとハウスを出て行く。追いかけたロビンソンは潜入していたマドクターに捕らわれてしまった。

 バラスは市長と休戦協定を結んだと宣言し、TVで市民に退去命令を出すようロビンソンに命ずる。しかしロビンソンは命令に逆らい、自由と正義を守るため戦おうと宣言する。ロビンソンはその場で処刑されたが、その遺志はダイゴを初めとした市民たちに伝わった。

 ダイゴはゴーディアンで出撃しながら独白する。(姉さん、今俺ははっきり分かった。ヴィクトールタウンを守るってことは、市民と共に守るってことだってな)

 ヴィクトールタウンを守ろうと戦う市民たち。その中にはジェリーの姿もある。バリーたちも市庁舎のマドクターを追い払うため進撃する。出撃したゴーディアンは、コンドリアスの放つ光弾をデリンガーの鎖玉で切り払い、赤光剣でコンドリアスを一刀両断する。劣勢に立ったマドクターは第2地区に退却した。払暁(朝焼け)の中、市庁舎にヴィクトールタウンの旗が翻る。だがマドクターの目論見は成功し、ヴィクトールタウン南半分はマドクターの勢力下に落ちた。


解 説


 タイトル、前回の予告では「自由と正義の旗の下(した)に」とルビが振ってあったが、安原義人は「もと」と朗読。今回のタイトルではルビが直されている。

 今回のシナリオには冒頭に戦況図が二枚付属。本編で使われている物と違うのは番号がないこととタウンの形状。タウンの地区配置も22話と比べると中央部の番号が変わっている。これが完全版と見て良いだろう。

 ゴーディアンでは珍しく解説のテロップ多用。これはシナリオに指定があった。ただしルビがないので子供には優しくない。

 対話室での京太郎の台詞、シナリオでは「斗いにはやって、かんじんの主力に当たれなかった時は何とする、ダイゴ」となっていた。

 今回メカコン空挺部隊が初登場。空の戦闘がゴーディアンの専売特許ではなくなる。

 ヴィクトール・ハウス内にはタウンのマーク旗がかかっているとシナリオにはあったが、本編ではなし。ラストに翻る旗も青一色。マークの設定が間に合わなかったと思われるが残念だ。

 知事の娘ジェリーだが、シナリオでは「ジュリー」。アフレコ台本のミスか見間違いかは分からない。ロビンソン知事の声は恐らく増岡宏、メリーは恐らく加川三起、ジェリーは恐らく吉田理保子。

 バラスの脅迫を聞いてメリーが知事を責めるシーン、シナリオではジェリー。

 ダイゴに京太郎の言葉を伝えるシーン、ロビンソンはシナリオでは欧米読みで「京太郎・大滝」と呼んでいるが本編では「大滝京太郎」と日本読み。

 ロビンソンがマドクターに殺されるシーン、シナリオでは「今回の名言」に記した台詞を残して息絶えるが、本編ではカット。残念だ。

 今回は後半の市民蜂起以降の戦闘にハーモニーが多用されており、作画に割く余力がなかったことを伺わせる。

 デリンガーの鎖玉は本編で初登場。ただし使われるのはこの回のみ。マイティライボーから出してないので形状も違っているかもしれない。21話のシナリオで登場していることから、設定自体はあったと思われる。シナリオでは「ブリザード・アタック」と叫んで使っているのは21話と同じ。

 「必殺赤光剣」、22話では「セキコウケン」と読まれていたが、今回はシナリオに「シャクコウ」とルビがあり正しく読まれた。これまでのゴーディアン本編の中ではシナリオ通り戦っている方である。


今回の名言


 「ヴィクトールタウンに……栄光あれ」(ロビンソン)シナリオのみ


こぼれ話


 デリンガーの「赤光剣」という名称は、後年のムック(例 1997年刊行『スーパーロボット画報』竹書房 1999年刊行『スーパーロボットマテリアル(タツノコプロ編)』銀河出版 2000年刊行『スーパーロボットジェネレーションデータベース01 覚醒編』メディアワークス)で「灼光剣」と書かれたことから、孫引きした記事でも誤って書かれることが多かった。「白光剣」「緑光剣」と色の名前が続いているなら「灼光剣」だけ違うのはおかしいと気づきそうなものだが。ちなみに私が「赤光」と読めるのは斎藤茂吉の歌集のお陰である。

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