1-13.13話「ゴーディアンを捜せ」

 今回から、2クール前半のメインとなるダイゴとトロス・クルスの物語が始まる。山本優は、『ジ・アニメ』Vol.6(1980年5月号)内の特集記事で、この時期を「運命の胎動篇」と名付けている。九里一平にトロス・クルスとレッドノーズを登場させてもらい、「この先キビシイ試練に出会うだろうダイゴをできるだけのびやかに暴れさせよう」と考えていた。「もろウエスタンの調子が近代都市ヴィクトールタウンとどうまざりあったか、ちょっと心配でしたが、それなりの効果はあったものと思っています」と語っている。

 それではシナリオを参考に見ていこう。


13話「ゴーディアンを捜せ」 1979年12月30日


 脚本     :曽田博久

 演出     :林 好蘭

 作画監督   :杜 福安


あらすじ


 ホバーに乗ったエリアスとバルバダスが荒野を駆ける。毒魔大帝統が黙示録456ページに載っている殺し屋トロス・クルスを捜してゴーディアンの正体探しをさせるよう命じたのだ。

 一方、メカコンではダイゴ、ピーチィー、ダルフ、バリーがゴーディアンを知っているという子供の保護をアンノンジーに命じられていた。ゴーディアンの正体を秘密にしておきたいダイゴは気乗り薄だが、マドクターに先を越されるわけにはいかない。

 トロス・クルスを見つけたエリアスたちは、金で雇うことに成功する。トロスは荒野のサボテンの花を撃ち落とすとエリアスの髪飾りの上に挿し、「マドクターにも花の似合う女がいたとは驚きだな」と言い放つ。

 その頃ダイゴたちは荒野で子供をさらおうとしているならず者たちを見つけこらしめる。助けられた少年はヤシン(8才)と名乗り、ゴーディアンとは友達だという。ダイゴたちはゴーディアンが来るという翌朝までヤシンの家で待つことにする。ヤシンの村はマドクターに破壊され、生き残ったヤシン一人が暮らしていた。ダイゴはゴーディアンとは友人だというヤシンの話が本当とは思えず問い詰める。耐えかねて外に飛び出したヤシンは、すぐにトロス・クルスに捕まってしまう。トロスはヤシンと共にホバーで逃走した。それを見守っていたエリアスたちは、独自に行動を開始する。

 翌日、ヤシンと共にゴーディアンを捜すトロス・クルスの前に、追いついたダイゴが現れた。しかしトロスはヤシンがゴーディアン会いたさに嘘をついていたことを見抜き、金だけもらうつもりだった。対峙する二人の前にカニ形バトルピューター、「カニンカ」が現れ、ヤシンをさらってしまう。ヤシンを救出するためダイゴはゴーディアンで発進、ガービンでカニンカに組み付いた後に分離したデリンガーがヤシンの入ったポッドを引きはがし、最後は空中から突き落としたカニンカを錐もみしたガービンで突き破って倒す。ダイゴはゴーディアンの中からヤシンに話しかけ、ヤシンは大喜び。トロス・クルスだけが、ダイゴの行方を気にしていた。


解 説


 シナリオ冒頭は本編の展開とかなり違っている。アバンで孤独に涙ぐむヤシンのシーンはなく、12話の戦いの際、マドクターがゴーディアンに小型発信器を取り付けたが見つかってしまった顛末が語られている。毒魔殿のシーン、本編ではどさくさに紛れてクロリアスのいるカットが。毒魔大帝統もいつも通りアドリブで「太陽のすかし」と二回言っている。

 エリアスたちをびびらせようとサボテンの花を撃ち落とすトロス・クルスだが、シナリオでは普通のサボテン。この花をエリアスの髪に挿すシーンは本編の方が面白い。

 今回のバトルピューター、シナリオでは「カニンカ」となっているが、バルバダスは「カニメカ」と発言。「スーパーロボットマテリアル3」では正しく表記。

 シナリオでは本編とは違い、プロテッサーのキックボムで止めを刺している。ラストもヤシンの家を直しているダイゴたちで締め。


 今回の名言

 全てシナリオのみの台詞。

「どこどこ、教せえてェ、わたしゴーディアンにとっても憧れてんの」(ピーチィ)

「そういうミーちゃん、ハーちゃん的なコとは会ってくれないよ」(ヤシン)


「ヤシン、おじさんはゴーディアンの一の家来になりたいと思ってんだ」(トロス・クルス)


「へん!殺し屋が子供の人気者になりゃあ地球がひっくりかえらあ」(ダイゴ)

「地球はいつでもひっくり返ってる。地球は自転するもんだ」(トロス・クルス)


こぼれ話


 『冒険王』80年2月号、桜多吾作のコミカライズ4話はこの話。ゲストキャラが子どもであることもコミカライズしやすかったのでは。ヤシンのキャラデザは間に合わなかったようで桜多吾作オリジナル。ゴーディアンのメインキャラは幼児向けに可愛くなっているが、ゲストのトロス・クルスは九里一平のデザインそのままで、その落差もあり非常に格好いい。

 トロスを雇いに来るのはこちらではエリアスとサクシダー。エリアスがトロスに怒鳴るシーンで「エリアス様をなめるんじゃないよ」という台詞が「『ゴ』リアス」と誤植されており、エリアスの表情と相まって笑える。ちなみに、桜多吾作はエリアスの服装を九里一平の初期デザインに沿って描いており、コートの下のスーツが見えるスタイルで統一している。

 一方、ヤシン探しのメンバーはダイゴ、ピーチィ、ダルフの三人。ヤシンがダイゴにゴーディアンが来る方向を尋ねられ、サントーレの方角を指さすシーンはシナリオにあったが本編でカットされたもの。その後、ダイゴとトロスが銃口を向け合うが、ダイゴがトロスに気圧されるシーンはオリジナル。それを見たピーチィが飛び出すが、トロスのナイフに釘付けにされ、服が破れるサービスシーンがある。「ノーブラ」と思わずつぶやくダイゴにピーチィーは怒り、「みてないみてない」ととばっちりのダルフがかわいい。これもシナリオではダイゴがナイフで釘付けになっている。

 本編とは違い、カニンカへの止めはデリンガーの白光剣タイプの剣。「死んでもらいます」というダイゴの台詞もオリジナル。

 桜多吾作はラストシーンのナレーションでダイゴとトロスの因縁を匂わせているが、マンガで描かれることはなかった。

『メカコンぼうや……ダイゴ大滝になぜとなく好感をいだくトロスクルス……

この先かれがダイゴとゴーディアンにふかいかかわりをもとうとは……』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る