1-7.7話「夕陽のカーペ・ヴィレッジ」

 今回から9話までは実質三部作。表テーマはゴーディアンのパワーアップとダイゴの成長、そして裏テーマはついに名前が付いて表舞台に立つ「ミスターX」ことバラスの下克上である。


7話 「夕陽のカーペ・ヴィレッジ」 1979年11月18日


 脚本     :山本優

 演出     :古川順康

『アニメージュ』vol.18(79年12月号)では落合正宗表記

 作画監督   :宇田川一彦


あらすじ


 ダイゴが無断でゴーディアンを出撃させたため、サントーレは大騒ぎ。ダイゴは自分が育ったカーペ・ヴィレッジに里帰りするため、ゴーディアンを使ったのだ。

 その頃、毒魔殿ではバルバダスをさしおき、ゴーディアンの動きを察知した指揮官バラスが毒魔大帝統の出撃命令を受けていた。毒魔黙示録75ページ(シナリオでは75のA)にある噴炎翼竜メカ(シナリオより)ボノラドンでカーペ・ヴィレッジに向かう。

 村には育ての親であるゲン爺さんが暮らしているが、買い物に出かけていて留守だった。フットボールチームのクオーターバックとして有名だったダイゴは早速大歓迎をうけ、パーティを開く騒ぎになる。

 だが、ボノラドンの襲撃で町は火の海に。駆けつけたダイゴはゲン爺さんが倒れているのを見つける。ゲンはホールに預けてあったダイゴのフットボールヘルメットを取りに行き、火災に巻き込まれたのだ。ゲンを家へと運ぶ途中で、ダイゴはゴーディアンや家族の秘密をなぜ隠していたのか問いただすが、ゲンは「父さんに頼まれた」「武器が物置に隠してある、その武器をわしだと思え」「きょうだい仲良く暮らせ」と言って事切れた。

 ゲンが言い残したとおり、物置にはゴーディアンの盾兼武器、シャインシェルドがあった。怒りに燃えて出撃したダイゴは、剣状に変形したデュークスクリューでボノラドンを貫く。

 ダイゴは、ゲンの十字架の上にヘルメットをかぶせ、悲しみにむせぶのだった。


解説


 予告タイトルは「夕日の誓い」。相変わらず使い回しのキャスト表で不便なことこの上ない。ゲン爺さん(シナリオでは『60位』と注釈あり)の声はたぶん増岡弘。回想シーンのダイゴは鈴木れい子だろう。

 ダイゴのポジション、シナリオではフルバック。

 今回からアイキャッチに安原義人の「ゴーディアン!」コールが入る。

 バラスが「ゴーディアンはまだか」と焦れるシーンはシナリオではゲンの亡くなる前の段落にあった。

 ダイゴの両親は宇宙船の事故で行方不明になっていると聞かされていたこともここで明かされる。

 シナリオでは、シャインシェルドの仮名は「マイティ剣」。

 ラストシーン、シナリオでは『スゥィート、スゥィート、ママァー』から始まる歌詞があり、(適度に歌詞を変えて、フィールドハラー調でどうぞ)と書かれているが、 残念ながら採用されてない。元歌があるのだろうか。本編はOPのバラード調アレンジが流れているので、当たらずとも遠からずか。

 今回はシナリオにない細かい描写が本編で増えている。冒頭、チョコマの知らせを髪を解かしながら聞くサオリだが、この仕草は絵コンテ以降の追加。サオリの心情描写に深みを与えている。

 また、ゲンが幼いダイゴとの日々を回想するシーンはシナリオに全くない。絵コンテ以降の追加だとすれば、台詞も考えたのか気になる。

 ゲンが亡くなった後、いたたまれず立ち上がって草をちぎって飛ばすダイゴのシーンもシナリオにはない。

 なかむらたかしが原画に入っているのはゴーディアンのパワーアップ回には心強い戦力だろう。しかし次回予告の絵は7話の使い回し。落ち込むダイゴと相まって暗雲が立ちこめる。


こぼれ話


 町に向かうダイゴは農場に置いてあったホバーに乗って向かうが、メカコンの使っているホバーそっくり。汎用機だろうか。

 『闘士ゴーディアン』は幼児向けとは思えないほどシビアな話を展開していくが、その第一のポイントがこの回。落合正宗の「戦争の悲惨さも描ければ」という言葉が思い出される。そう考えると演出名は『アニメージュ』の方が正しいのかもしれない。

 シャインシェルドは超合金ゴーディアンの武器として採用されることを考えると、この頃には超合金の企画がかなり進んでおり、武器を本編にも登場させようとしていたと思われる。

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