1-8.8話「怒りの敵中突破」

 今回は珍しいことに手元にシナリオと録音台本が両方あるため、非常に確認しやすい。それでは早速本編へ。


8話「怒りの敵中突破」 1979年11月25日


 脚本     :曽田博久

 演出     :落合正宗

 作画監督   :杜福安

『アニメージュ』vol.18(79年12月号)では演出・康村正一、作画監督・宇田川一彦表記


あらすじ


 ゴーディアンの行方を追ってきたロゼたちは、マドクター隊員が倒れているのを見つけた。ついでにダイゴを追ってきたピーチィと鉢合わせしてしまう。男はカーペ・ヴィレッジの名を出すとこときれた。ヴィクトールタウンで見かけたことを思いだして問いただすピーチィだが、ロゼ達は逃げ出してしまう。

 その頃、ダイゴはゲンの墓の前で呆然とたたずんでいた。追いかけてきたロゼ達の説得にも耳を貸そうとせず立ち去ってしまう。サオリはダイゴの気持ちを思いながらもゴーディアンとダイゴを連れ戻すよう頼む。

 毒魔殿では、バラスがゴーディアンはカーペヴィレッジから動いていないと進言していた。下級のバラスが出しゃばることに不快感を露わにするクロリアス。毒魔大帝統は毒魔黙示録159ページに基づき、ムカデックによる大包囲作戦を指示する。クロリアスが立候補して出撃した。

 逃げ出したダイゴは逆にピーチィにあっさり捕まってしまう。手錠をはめられたダイゴは鍵を取ろうとするが、「ブラジャーの中」と言われて手出しできない。一方ピーチィは、覇気のないダイゴの姿に失望していた。

 ダイゴに頼れないと悟ったロゼたちは、自力で森に隠したゴーディアンを発見し、サオリに頼んでゴーディアンを誘導するがマドクターに見つかり囲まれてしまう。クロリアスは作戦コード515を発動する。小型のバトルピューターが連結してゴーディアンを包囲し、砲撃の雨を浴びせる。ダイゴはロゼ達のピンチを見て自分を取り戻し、いてもたまらず飛び出す。手錠も外してもらい早速嵌入、プロテッサーで敵中突破をかける。ダイゴに誘導されてデリンガーとガービンも続く。バトルピューターを攻撃していたロゼはダイゴを見失ってしまった。そのまま防衛に来たバリー達に合流する。

 クロリアスは作戦コード381を発動し、バトルピューターでプロテッサーに体当たり攻撃をかけるが、ことごとく倒されてしまう。続いて作戦コード894でバトルピューターを連結しムカデックを形成する。ダイゴはガービンに再嵌入し、デュークスクリューでムカデックを真っ二つに斬り捨てた。

 戦いが終わり、ダイゴはチョコマとロゼを手に乗せたまま独白する。

『そうなんだ、ゲン爺さん、俺はやっと分かったよ。人と人のきずなはたとえ死んでも消えはしない。俺の周りにはそんな固いきずながいくつもあるんだね。俺はその人達の為にも、この命あるかぎり戦う。ゲン爺さん、見ててくれ!』


解説


 ピーチィ、手錠のついた方の手を振ってたぞ。

 毒魔大帝統は毎回律儀に「太陽のすかし」と言っているが、7話も8話もこの台詞はシナリオ、台本に書いていない。村松康雄のキャラ造りだとしたら感心する。

 サオリが6話に続きゴーディアンを誘導する。これも脚本では自力で動かせず、トレーラーにゴーディアンを乗せている。そこにムカデックが攻めてきてダイゴがトレーラーに乗り込み脱出するという筋。本編で使われている「女とボロ車の扱いならお任せ」という台詞はそこにかかるわけで、これでは意味が通じまい。ここでダイゴがデリンガーとガービンに「俺のパルスが伝わったら走ってこい」と言っているが、シナリオにも録音台本にもない台詞。これはアドリブだろうか。後のゴーディアンのパワーアップを考えると興味深い。

 ムカデックとの戦闘シーン、「パワーにはパワー、ガービンで勝負だ」とゴーディアン内のダイゴが叫ぶシーンでクロリアスが映るという誤カットがあるが、録音台本ではガービンのカットが指定されていた。なお、シナリオでは戦闘シーンは簡潔にしか書かれていないので、絵コンテ以降の追加と思われる。デュークスクリューも仮名の「マイティ剣」で書かれている。

 ラストのダイゴの独白は、シナリオではサオリとの対話シーンになっている。その後メカコンに戻ってピーチィに再度逮捕されるシーンもカット。ここのバリー達の会話で、本気で逮捕したわけではないというのが窺える。

 次回予告、絵は6話の使い回しだが、いつものダイゴではなく毒魔大帝統自ら語る。BGMもマドクター用の曲を使用。

『ゴーディアンの出現以来、我がマドクターは度重なる痛手を受けてきた。今こそ奴を打ち砕く、強力なマドクター帝国が必要なのだ。次回、闘士ゴーディアン「恐るべしマドクター総統」。我がマドクターに栄光あれ』


こぼれ話


 ムカデックの設定画は、「河森正治デザイン・ワークス」(インプレス)に掲載されている。なかむらたかしの仕事ぶりをコメントで褒めているが、ムカデックのシーンに関わっていたかは分からない。

 今回の作画監督、杜福安はゴーディアン全編に渡って参加しているが、情報が全くない。ギディオン動画がスタッフに入っているので、関係者と思われる。『アニメージュ』では「朴 福安」となっているので、テロップが誤植の可能性もある。

 個人的に長年気になっているのが、台湾に同姓同名で中国漫画芸術家協会の理事をしておられる方がいらっしゃること。翻訳で得た情報ではディズニーの「リトル・マーメイド」等に関わっていた経歴があるようだ。年齢的にもゴーディアンに関わっていたとしてもおかしくない。詳報求む。

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