1-3.3話「絶叫・赤い砂漠」
今回は山本優のシナリオを参考に3話の解説をしていきたい。
3話「絶叫・赤い砂漠」1979年10月21日
脚本 :山本優
演出 :寺田憲史
『アニメージュ』vol.17(79年11月号)では早川景二表記
作画監督 :小野茂
あらすじ
郊外のパトロールに出かけたピーチィは、
パトロールの片割れのダルフは、ガールフレンドのキャシーの住む牧場にいるという。牧場に向かった二人が見たのはマドクターの襲撃の跡だった。キャシーの父が大事にしていたヴィクトールタウンの設計図をマドクターに奪われたというのだ。設計図は紛失したと言われており、存在を知っていたのはキャシー父娘のみだった。負傷したダルフに頼まれ、ダイゴは赤い砂漠に向かう。
途中合流したロゼたちの情報で、マドクターのバトルピューター・ヘルアリゴンが向かっていることを知らされたダイゴは、早速ゴーディアンになって向かう。だがヘルアリゴンはあり地獄を作り、応援のメカコンたちを呑み込もうとする。そこにゴーディアンが到着。マドクターは毒魔黙示録13-Aに書かれた作戦で対抗する。ヘルアリゴンのムチで体の自由を奪い砂の中に引きずり込もうというのだ。ダイゴの苦闘を見ていられないサオリは、コンピューターの父に問いかける。しかし父は「ゴーディアンはやがてくる人類の生きるか死ぬかの瀬戸ぎわで使命を全うせねばならぬ」とダイゴへ課せられた運命を語り、「ダイゴは我が子であって我が子ではない」と冷たく言い放つのだった。
ダイゴが「チェンジアタック、デリンガー」と叫ぶと、ガービンの体内からデリンガーが分離し、剣でヘルアリゴンを倒すことができた。その直後、ゴーディアンに電流が走り、ダイゴは強制排出されてしまう。無理な戦闘にゴーディアンが拒否反応を示したらしい。ダルフの頼みを忘れていなかったダイゴは、再びマドクターの行方を追う。その途中、マドクターたちを退治したトロス・クルスに出くわした。彼は「縁があったらまた会おう」と言ってホバーで走り去る。そこに負傷を押して後を追ってきたダルフとキャシーがやってきた。残念ながら設計図は燃えかすになっていたが、キャシーは秘密を守ったことに納得していた。
その頃、設計図を入手し損なったバルバダスは、プロジェクトXの秘密を解読できなかったことに怒る毒魔大帝統に電撃でお仕置きされていた。
解説
演出の寺田憲史は脚本家としての実績が有名だが、この頃はまだ演出の仕事をしていた。
タイトルカット、1話・2話のホバーに乗るダイゴではなく、本編中のデリンガーのカットを使用。
『闘士ゴーディアン』のキーワードとして出てくるのが「メカロニ・ウエスタン」。メカを使った「マカロニ・ウエスタン」というイメージだが、今回はそのテーマを前面に出した回。トロス・クルスを演じるのはナレーターの伊武雅之。登場シーンに流れる曲も「オリジナル・サウンドトラック」のブックレットで映画『荒野の用心棒』テーマ曲へのオマージュが指摘されている。ダイゴとの因縁はまだ明かされてない。
トロスが酒場に入る際、ピーチィに「お嬢さま、お気をつけて」というのはシナリオにはない。
クロリアスのプログラマーとしての設定が本編で初めて生かされる。
毒魔黙示録、シナリオでは「BのA」と書かれているが本編では「13のA」。シナリオの誤植だろうか。この後、焦ってコンソールに拳をたたきつけて痛がるバルバダスはシナリオにはなし。脳筋ぶりが出てていいシーンだと思う。ちなみに、マドクターの本拠地の名称がこの回から「毒魔殿」で固定される。
ダイゴがゴーディアンで出撃するシーンでのサオリは包帯姿ではない。単純ミスと思われる。
これまでの父の声はサクシダー役の北村弘一の兼ね役だと思われるが、テロップへの表示はない。
あらすじではカットしたが、ダルフがダイゴを心配してケガを押して向かうシーンが印象深い。「プロジェクトX」の単語も初登場。まさか別の意味でメジャーになろうとは。
今回から河森正治がデザインを担当するマドクター側のメカ、バトルピューターが登場する。基本的に動物モチーフで、今回はアリジゴク。また、ガービンからデリンガーが分離して攻撃するというパターンも初披露。ただし、シナリオでは企画書での名前「デリンジャー」と書かれており、安原義人もそう発音しているように聞こえる。デリンガーが持っている剣には名前の設定がないが、形状はガービンの持つ「
ゴーディアンの拒否反応シーン、シナリオでは企画書にあった「パルス・ストーム」という説明があるが、本編ではこの名前は出てこない。
ラストのお仕置きシーン、たてかべ和也ということもあり、どことなくタイムボカンシリーズチック。見ていられなくて目を覆う幹部たちも人間臭い。
次回予告は2話の使い回し。一応予告に合うシーンをセレクトしている。
今回の名言
「マスター、アイスミルク、ダブル」(トロス・クルス)
脚本では「ガム抜きのアイスミルク」。これもこれで変だが、強いガンマンはミルクを飲むのがお約束なのだ。
こぼれ話
『ジ・アニメ』Vol.2(1980年1月号)には、アフレコ現場でのインタビューが収録されている。皆が口々に言っているのがアフレコ時に絵がないこと。特にサオリ役の高島雅羅は、マスクをつけて包帯姿の演技をしたのにオンエアを見たら包帯がなかったという失敗を語っており、この回の作画ミスを指しているのかもしれない。
実際のインタビュー収録時期は9話の前だと思われるので、他の内容はその時に改めて語りたい。
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