0-3.アニメ雑誌での紹介・初期スタッフ・声優

 ゴーディアン放送時には、既にアニメ雑誌の創刊が始まっていた。新番組の第一報は、『アニメージュ』Vol.16(1979年10月号)と『ジ・アニメ』Vol.1(1979年12月号)に掲載されている。また、コミカライズを連載する『冒険王』1979年11月号でも巻頭グラビア記事で紹介されているが、なぜかサクシダーとクロリアスが取り違えられている。

 『アニメージュ』は企画書ベースの紹介だが、ゴーディアン三体の名前は現行と同じ。1話のタイトルが「(仮題)荒野から来たすごいヤツ」となっている。

 『ジ・アニメ』は放送時期としては6話からのスタートになるが、永井昌嗣プロデューサーのインタビューが掲載されているのが貴重。

 「キャラクターのデッサンも、社内だけで行うと、リアルに描きすぎて、かえって面白味を失いがちになる」ということで宮本貞雄にデッサンを頼んだこと、実写に近い描写(第1話参照)など、新しい試みをしていることを語っている。

 また、ゴーディアンのデザインについて、第一校と第三校の比較を行っている。


 ここからは、1話からのOPに表記されているスタッフについて調べていきたい。

 プロデューサーの永井昌嗣はタツノコの子会社「アニメフレンド」に長年携わり、独立して「龍プロダクション」を作った時期。ゴーディアンの作画は韓国や台湾に依頼をしていた。

 監督の落合正宗は制作協力として表記される「グリーン・ボックス」に関わっていた。東映で長年ロボットアニメの制作現場に関わっていた経験を買われたのだろうか。

 音響監督の藤山房延(現・房伸)は吹替出身。アニメデビューが東映・タツノコ共作の『とびだせ!マシーン飛竜』で、本作は二作目。以降様々な作品を担当している。

 制作担当の四人。内間稔と大野実は読売広告社の先輩後輩の間柄。二人と対面したときのエピソードを、山本正之が「闘士ゴーディアン オリジナル・サウンドトラック」で語っている。

 横尾潔は長年タツノコ作品に携わってきたベテラン。由井正俊は若手スタッフで、この後タツノコ作品を中心に数多くのアニメを手がけていく。というわけで、読広・タツノコ双方で技術継承を行っていたことになる。

 美術の加藤清はアニメへの関わりは少なく、他には『チャージマン研!』『釣りキチ三平』等。

 録音スタジオの「シネビーム」は現存しないが、『未来少年コナン』の録音で行った宮崎駿の感想によると、裏手にお墓があったという(『出発点―1979~1996』)。

タツノコのスタッフだった企画の宮田知行は現在独立し、株式会社ジェー・シー・スタッフ代表。ゴーディアン後半ではプロデューサーも勤めることになる。原案の柳川茂もタツノコの企画室出身で、後に独立。脚本家として活躍する。

 OP『闘士ゴーディアン』ED『希望に向かって走れ』を歌う塩見大治郎はNHKの音楽番組『ステージ101』出身。代表曲の広島カープ球団歌・応援歌 『それ行けカープ 〜若き鯉たち〜』は1975年発売。他にもドラマ主題歌やアニソンのカバー(所謂パチソン)アルバムなどを歌っている。


 そしてレギュラー声優陣。

 ダイゴ大滝役の安原義人は、1972年の『科学忍者隊ガッチャマン』から数多くのタツノコ作品に出演。また、山本優が変名でシリーズ構成を手がけた『ブロッカー軍団IVマシーンブラスター』の主人公、飛鳥天平を演じていることから、スタッフ側から推薦があってもおかしくない。ただし安原のロボットアニメでの役柄はニヒルなナンバー2系が多く、熱血直情なダイゴはタツノコのロボットアニメ『ゴワッパー5ゴーダム』で演じた津波豪の流れを汲んでいると見るべきか。

 井上瑶演じるピーチィは当たり役の『機動戦士ガンダム』セイラ・マスとは違い、跳ねっ返りのお転婆娘。井上は『一発寛太くん』等でタツノコ作品に関わっていた。2003年逝去。

 バリー・ホーク役の納谷六朗は同日スタートの『ガッチャマンF』ではナレーターを務めており、タツノコ作品に二作同時に関わることになった。2014年逝去。

 朴訥なダルフ役の鈴木清信、激情家なエリアス役の加川三起(現・鳳芳野)は、放送時間移動後の前枠に来た『宇宙戦士バルディオス』では正反対の役柄を演じているのが面白い。

 アンノンジー(恐らく「安穏な爺さん」のもじり)役の増岡弘は、藤山房延が音響監督を務めた『とびだせ!マシーン飛竜』でオッカナビッチを演じたことからの起用かもしれない。山本優作品では後に『亜空大作戦スラングル』でマジシャンを演じる。2020年逝去。

 サオリ役の高島雅羅は声優デビューから間がないとは思えない演技である。

 ロゼ役の吉田理保子は当時の時点でも売れっ子。安原とは同時期に『宇宙大帝ゴッドシグマ』でも共演していた。

 チョコマ役の鈴木れい子は『とびだせ!マシーン飛竜』で似たような役回りの岬チュウ太役を演じていた縁での起用だろうか。

 毒魔大帝統(テロップでは「ド『グ』マ大帝」と誤植)役の村松康雄とタツノコ作品との関わりは『アニメンタリー 決断』から。2024年逝去。

 サクシダー役の北村弘一(テロップでは「北村弘」と誤植)は納谷六朗と同じマウスプロモーション所属で2007年に逝去。老人声に定評があり、サクシダーが40才に見えないのもそのせいかもしれない。

 バルバダス(企画書での名前はバルバ『タ』ス)役のたてかべ和也はタツノコ作品に欠かせない声優。2015年逝去。

 クロリアス役の黒部鉄(現・屋良有作)はタツノコ作品にはゲストで何度か出演しているが、本格的なレギュラーは初めて。本作では中盤から演じるキャラが代表作となる。

 2話から登場する「ミスターX」という仮名キャラを演じた西村知道は、山本優が変名で関わった『超魔術合体ロボギンガイザー』に荒波トラジロー役で出ており、その縁かもしれない。

 隊員役の福士秀樹は声優デビュー直後。現在はナレーションメインで活躍している。

 ナレーションとしてクレジットされるが、兼役で後2役重要キャラを演じることになる伊武雅之(現・伊武雅刀)。氏に改名を勧めたのは占い師でもあった井上瑶。また、氏の声優を見限るきっかけになった原因の一つが『ゴーディアン』の仕事ではないかという説がある。しかし、確たる証拠はない。

 

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