序 章
0-1.放送前夜
『闘士ゴーディアン』企画のきっかけは、ポピーのデザイナー村上克司が考案した三体のロボットを入れ子状に合体させるというアイディアである。当時氏はマトリョーシカを知らなかったので、形が似ているのは偶然だ。
「ゴーディアン」の名の由来だが、村上氏は英語で「守護者」を意味する「ガーディアン(Guardian)」と付けたかったが、庭師(Gardener)と間違われるという意見があり、一字変更した。と自著やマルサンのインタビュー動画で語っている。現在日本のウィキペディアでは"ゴーディアン"は"ゴルディアスの結び目"に由来しているという説明がされているが、村上氏の説明を信じるなら無関係である。なお、後年アメリカで発売されたゴーディアンの超合金は「Guardian」の名前で発売されている。
放送枠は決まっていたが、当時のタツノコプロダクションは『タイムボカンシリーズ ゼンダマン』『科学忍者隊ガッチャマンⅡ(F)』の二本柱が走っており、吉田竜夫社長死去後の人材流出も重なっていたため、落合正宗社長の『グリーン・ボックス』に制作を委託することになる。シリーズ構成として呼ばれたのはタツノコ作品に参加経験があり、『機動戦士ガンダム』を始めロボット作品の経験も豊富な山本優だった。山本優は音楽にこだわりたいと主張し、タツノコが紹介したのが山本正之だった。その後長きにわたる山本コンビの始まりである。(「fancybox'77 オリジナルアニメ黄金期の雄、中野に来る!!-山本 優ロングインタビュー」より)
山本優は脚本スタッフとしてベテランでタツノコにも縁のある山崎晴哉、同年代の友人曽田博久、『ガンダム』で組み、SF設定に強い松崎健一を選んだ(『アニメージュ』1980/5月号より)。
山本正之とタイムボカンシリーズで共作していた神保正明が作曲したBGMが録音されたのは1979/9/18。この際、OP『闘士ゴーディアン』は山本正之がストックしていた「シャークマン」という曲を流用したが、「ゴーディアン」という名前が使えないと言われ、歌手の塩見大治郎が「ガードン」「ダンケルジャン」と二回歌い直したエピソードが残っている。(『闘士ゴーディアン オリジナル・サウンドトラック』ブックレットより)
また、メカニック設定として本作でテロップデビューした河森正治に依頼が来たのも放送二ヶ月前だった。おそらく松崎健一の縁だろう(『スタジオぬえのデザイン・ノート』より)。
メインキャラクターデザインは九里一平が手がけたが、「多忙のためクリンナップを宮本貞雄に頼んだところ、かなり変わってしまった。納得のいってない仕事だ」と後年出た「九里一平 PAST&FUTURE」内のインタビューで語っている。
当初の設定については、2006年発売のDVD-BOX1巻に特典として収録された企画書によってある程度判明している。次項では企画書をメインに初期設定と放送版の違いを掘り下げたい。
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