第7話 嵐の前の静けさ(ヒヨリ視点)
「「あ、あの」」
ショウマとコハルの声が被る。二人は顔を合わせてニヘラと笑い、コハルが話し出した。
「私たちも帰ろうか!お昼ご飯も食べなきゃだしね」
「そうだよ!続きは部活の時間とかでどう?」
ショウマがミオの方を見ながら付け加える。
「・・・・・・わしは良いと思う」
ヒヨリが声を上げる。みんな、珍しいことが起こったと一斉に彼女の方を見た。
「わ、私も!良いと思う!!」
遠慮がちな言い方に見合わない声量でリコも同調した。
「そう?じゃあ、後輩には連絡しとくね。グルで良い?」
「うん」
「もちろん」
みんな口々に賛同した。もうここに他人の意見を否定する人はいなかった。
「忘れ物はない?」
ミオが部屋を出る時の定型文を口にした。
「大丈夫!」
リコはそう言ったが、ヒヨリには気になることがあった。
「ユイっちのスマホは?」
まあ、元々ミオが持っていたのだからそのまま持って帰るだろう。忘れているだけだろうから教えてあげよう、ただそれだけのつもりだったのに場が静まり返ってしまったことにヒヨリは驚きを隠さずにはいられなかった。
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