第5話 悪夢のような日々(ヒヨリ視点)
ヒヨリが昼休みやけに慌てた顔をしたミオに呼び出され放送室に行ってみると、リコとミオが待っていた。
要件はミオが担任から渡されたという封筒に入っていたユイナのスマートフォン。
「それでね、ユイナ、今日休みなんだって」
ミオはきっと「自殺した少女」というのがユイナだと言いたいのだろう。
「とりあえず、便箋・・・・・・読んでみない?」
コハルが遠慮がちに発言する。
「・・・・・・そうだね」
ミオはそう言って取り出すと、横書き用に線が引かれた淡い空色に花柄の便箋を取り出した。小さい特徴的な丸文字がシャープペンで書かれていた。明らかにユイナの字だった。
「と、とりあえず、読みあげるね」
少し動揺した様子でそう言ったミオの手は僅かに震えていた。
内容をまとめると、【みんなへの遺書はスマホの中に入ってるから〜】といった感じ。
「とりあえず、電源つけてみようぜ」
ソウタが言った。
電源がつくまでの間の精々一分くらいは異常に長く感じられた。突然のことにみんなの頭が真っ白になっているのが丸わかりだ。
見兼ねたソウタが沈黙を破る。
「・・・・・・で、どうするよ?」
みんな黙っている。ソウタの苛立ちが伝わって空気が少しピリピリしている。
周りの目を気にして誰も発言しようとしない。演劇部は仲が良いから今までこういったことは起きなかったのに。
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