第38話 顔合わせ④ -さぁ帰ろう-

二人でお風呂に入った翌朝。

俺達は抱き合いながら1つの布団で寝ていた。


目を覚ますと俺の腕枕で気持ちよさそうに眠る美樹の顔がすぐ目の前にある。

『気持ちよさそうに寝てるな~』

もう少しこのままでいたい気もしたが、時計を見ると既に8時を過ぎていた。

『確か朝食は9時予約だったよな』

そのため、名残惜しいが美樹を起こすことにした。


「美樹。そろそろ朝食だから起きるよ」

「う~ん」


起きる気配なし。。。


「起きるよ~」


と寝覚めのキスをしてみた。


「んんーーー」


口を塞がれ一瞬驚いたのか、目を見開いた後、何故か俺に抱き着いてきた。


「おはようございます。旦那様♡」


何それ可愛すぎるw

と朝っぱらからイチャついた後、着替えて朝食を食べるために食堂に移動。

朝食はバイキング形式なのです。


「バイキングって目移りして、つい取りすぎちゃうんですよね」

「そうなんだよね。食べ過ぎ注意しないと・・・」


といいつつも二人してトレイに山盛りに盛り付けてしまった。。

食べきれるか少々不安だったけど、意外とさっぱりした味付けだったこともあり俺も美樹も完食。

更に別腹ということでスイーツのおかわりまでしてしまった。


食べ過ぎた~とお腹をさすりながらエントランス近くにある土産物店へ。

春香さんの実家が支店として営業している店だ。

会社への土産でも買うかなと店に入ると、


「あ、広木にぃー!とその奥さん?」


と元気な声


「ん? もしかして冬美ちゃん? 久しぶりだね」

「あ あのまだ奥さんではないのですが、こちらの方は?」


奥さんと言われて顔を赤くしてニヤける美樹


「あ、彼女冬美ちゃんって言って春香さんの妹さん

  でも冬美ちゃん駅前の本店で働いてなかったっけ?」

「うん。そうだったんだけど、今年の4月からここの店舗を任されてるんだよ。

  それはそうと奥さん予定の彼女さん。噂は聞いてるけど私にも紹介してよ」

「そうだな。彼女は早瀬美樹さん。都内のデザイン事務所で働いてて、

  俺と近々入籍予定だ。式上げるときは呼ぶから来てくれな!」

「美樹さんですね。よろしくお願いします。春香の妹の冬美です。

  それにしても広木にぃがこんな美人さん捕まえるとは・・・」


散々冷やかされた後、俺と美樹それぞれの会社向けのお土産、美樹のご両親へのお土産を選んでもらった。流石に若いながらに店舗を任されているだけあって、良さそうな商品を選んでくれた。


冬美と別れた後、朝風呂に入りすっきりした後、荷物をまとめ、旅館事務所にて父さん達に挨拶。


「じゃそろそろ行くから」

「あぁ美樹さんのご両親にもよろしくな」

「くれぐれも失礼の無いようにね

   後、これは相原家からの土産ということで渡してね」

とお土産を預かった。


まだ昼前で東京に帰るには早い時間だが、何故こんなに早い時間に帰るのかというと夕方に今度は美樹のご両親に会う約束をしているんだ。一度ご挨拶はしているが、やはり緊張する。


「今度は是非美樹さんのご両親も一緒に泊りに来てください」

「はい。両親も喜ぶと思います。」


美樹も随分気に入られたようだ。

来た時同様、春香さんが箱根湯本の駅前まで送ってくれた。


「じゃあ 広木君、美樹ちゃん。また遊びに来てね」

「今度はもっとゆっくり来るよ!」


ということで相原家への挨拶は終わった。

ロマンスカーにて新宿まで戻り、京王線で府中の早瀬宅へ。

荷物もあったので駅前からはタクシーに乗った。

『何だか緊張するな。。。』

家に到着し、美樹の後について玄関を入る。


「相原さん いらっしゃい。待ってたよ」

「お邪魔いたします」

「まぁあんまり硬くならないで、この先僕らとも家族になるわけだからね」


何だか先制して"家族"とか言われてしまったが、リビングに通されご両親と対面で座りあらためてご挨拶をさせていただいた。


「数か月前に"お付き合いさせていただきます"とご挨拶させていただいてから

  あまり日も経っていませんが、お嬢さんと結婚させていただきたいと思い

  あらためてご挨拶に伺わせていただきました。

  まだまだ未熟なところも多い若輩者ですが、よろしくおねがいします」

「・・・美樹を泣かせるようなことだけはしないでくれよ」

「はい もちろんです」

「何というか、前に家に来てくれた時に美樹や相原君を見てたらね

  意外とこういう日が来るのも近いのかなと思ったんだ。

  思った通りだったな。

  ただ、繰り返しになるが、美樹は可愛い一人娘だ。頼んだよ」

「はい。絶対幸せにします」


横で美樹とお母さんが涙ぐんでる。

いい御両親だよな。


「今日は、お祝いだし寿司の出前を取ってるんだ、ゆっくりしてってくれ」

「はい ご馳走になります」


実家や僕たちが買った箱根土産を渡し、美樹の小さい頃の話しや写真を見せてもらいながらの夕飯。

この人たちが、新しい家族になるんだなとあらためて思った。


「じゃあ 遅くまでお邪魔いたしました」

「広木さん また後でメールしますね」


夕飯の後、お父さんの晩酌に付き合っていたら結構遅い時間になってしまった。

昨日、今日と中々緊張するスケジュールだったけれど自分としては充実した二日間だった。

これも結婚への第1歩だ。。


さぁ帰ろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る