第37話 顔合わせ③ -箱根の旅路-

「これに乗るの?」

「そ 兄貴は車が趣味で何台か持ってるんだけど、某漫画の影響で買ったんだよね

  流石に安全運転で走るけど美樹も読んでたでしょ? 頭○字D」

「うん!あの車乗れると思うとちょっとテンション上がりますね!!」


[AE86]某漫画で人気が再燃したTOYOTAの自動車。

兄貴も普段は落ち着いたセダンや会社の商用バン乗ることが多いけど春香さんとのドライブは、このAE86やオープンタイプのロードスターとかに乗っている。

まぁ田舎なので駐車スペースは十分あるのです。

兄貴の小遣いは税金とか維持管理費で消えてるみたいだけどね。


ということでアニメや漫画も好きな美樹のため、セダンではなく敢えてAE86を借りてみました。

86に乗り込み、颯爽とダウンヒル!というほどのドライビングテクニックは無いので、安全運転にて、まずは彫刻の森美術館を目指す。

屋外を中心に様々な彫刻が展示された美術館だ。

芝生も奇麗なので、今日みたいに天気のいい日はきっと気持ちいいはず!


ということで、彫刻の森美術館。

休日ということでそれなりに混んでいるようだが、館内は広いので全く問題なし。チケットを買い二人で館内を散策。

彫刻は実際に触れることが出来るものが多々あり、美大を出ている美樹も興味深く見ていた。


「ここ興味はあったんですが、来るのは初めてなんです。素敵なところですね」

「気に入ってもらってよかったw

  前に一度来たんだけど、公園的な要素もあるからゆっくり見て回れるし飽き

  ないんだよね」


休憩を挟みながらゆっくり2時間。散策と作品を堪能した。

再度車に乗り、小涌谷を経由し芦ノ湖方面へ


芦ノ湖湖畔

時間的に日差しもだいぶ弱まってきた。

観光船と沈む夕日を眺めながらぼんやりとベンチに佇む。

疲れたのか美樹が俺の肩にもたれかかってきた。

そっと頭を撫でてあげる。


「何だか幸せですw」

「俺もw」

・・・なり糖分高めの空気になってきたが、夕飯の時間もあるので、

30分ばかり まったりした後、帰路についた。


来た道とは違うルートで旅館に戻るとちょうど夕飯の時間帯だった(渋滞に巻き込まれず助かった)

部屋で待っていると、山菜や焼き魚をメインとしたいわゆる懐石料理が運ばれてきた。


「わぁ~ 美味しそう♪」

「本当だね。懐石料理とか久々かも」

「写真撮っていいですかね?」

「うん 遠慮せずにどうぞ!」


ちなみに写真は、香澄さんとかなめさんに送ったとの事。

食事時ということでメチャクチャ羨ましがられた模様・・・

食事は仲居さんが料理の説明をしてくれたあと、1品ずつ味わいながら美味しく頂いた。また二人ともお酒はあまり強くはないんだけど、料理に合うということで軽く日本酒も頂いた。

『満足 満足!』

食事が終わると部屋に布団が用意され、あとはお風呂に入って寝るだけとなった。


「あのさ美樹」

「なんですか?」

「この部屋って内風呂で温泉ついてるだろ」

「はい 眺めも良いですし、凄くいいお部屋ですよね」

「一緒に入らないか?」

「・・・ふぇ?い 一緒にって、お お風呂ですか?」

「こういう機会ってあんまりないし。ダメかな?」

「ひゃい そうですよね。

  もうじき夫婦になるわけだし一緒にお風呂入るのも当たり前なんでふよね」

「当たり前ってわけではないけど、入ってくれると嬉しいかな」

「わ わかりました。入りましょう」

「ありがとう じゃぁ先に入ってるからあとから来てね」


と脱衣所へ向かった。

顔真っ赤にして、照れまくってる(可愛いw)


温泉はベランダに作られており付近の山々を一望できるようになっている。

辺りも暗く夜空の星も良く見える。


「う~ん 温泉も気持ちいいし、景色もきれいだし、最高だねぇ~」

  と独り言を言いながら風呂を堪能していると、風呂の扉の開く音。

「おじゃましま~す」


と美樹がタオルで前を隠しながら頼りなさげに入ってきた。

食事の時に少し日本酒を飲んだせいか、ほんのり肌が上気しており


洗い場で軽く体を洗ったあと、俺の隣に入ってきた。もちろん温泉内はタオルなしですw


「あ あんまり見ないでください。。恥ずかしいです」

「ご ゴメン。何というか風呂場で見る美樹が新鮮というか 綺麗で・・・」


言ってる方も恥ずかしい。。。

しばし無言で夜空を眺めていると美樹が語りかけてきた。


「私、広木さんとお付き合い始めるまで、休みの日とかもあまり外出としな

  かったんです。

  だから、広木さんが水族館やプラネタリウム、素敵なレストランやカフェ

  に連れてってくれたのが凄く嬉しかった。 

  何だか自分がラノベのヒロインになったみたいで。

  でも、結婚するってことは与えて貰うだけじゃなくて、私も広木さんに何

  かしてあげられる様にならなくちゃ駄目だと思ったんです。

  素敵な奥さんって周りからも行ってもらえるように頑張りますので

  これからもよろしくお願いします」

「・・・俺もそんな大層な人間ではないよw

  美樹と知りあって、俺も充実した生活を出来るようになってきたんだ。

  だから、俺にとっては今でも素敵な奥さんだよ

  こちらこそ よろしくお願いします」


箱根の夜は過ぎていく・・・・

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