第31話 お泊り②
朝食を食べた後、とりあえず約束を果たそう!という事でシンセのある部屋に美樹を案内した。
美樹が見たがってるシンセは、ガボールのリーダー大室氏が楽器メーカーと組んで制作したシリーズで、操作がわかりやすい他、ライブやCDで使われた音源に近しい音も初期登録されている。ファンにはおなじみのシンセだ。
「わぁ~ あたりまえだけどライブで見てた機材と同じですね!!
触ってもいいですか?」
「いいよ。電源入れてあるから音も出るよ」
初期型は高校時代に大室さんに憧れてバイトして買ったので凄く思い入れがある。このシンセを買えばライブのあの音が!!!と思って買ったものの実際は舞台袖の高価な音源をコントロールしていただけで。。。
でも当時はかなり色々音色いじったり曲作ったり頑張ったなぁ~
その他のシンセは社会人になってから中古品を大人買いした。人気のシンセという事で数が出回っているうえに旧型という事で結構安く売られているのだ。
ということで、この部屋には買いあさったシンセが5台積まれている。
ライブのセットと同じとまではいかないけどこれだけあると壮観だ
美樹が目を輝かせながらシンセを触ってる。
「このダイヤルで音色変えられるよ」
と音色を変えてみる。ストリングス系の音に代わる
「おぉーーーー 他の音も出してよいですか?」
「もちろん!」
こうやって機材触るのって楽しいんだよな〜
美樹がシンセを触っているので、PCの電源を入れDAWのソフトを起動し演奏をスタートするとシンセや音源ユニットからガボールの楽曲が流れ出す。
「わぁ〜曲データ作ったんですか?」
「うん あんまり上手くはないけど前に作ったんだ。もらったのとかもあるし
数だけなら結構あるよ」
「いいですね、色々聞かせて下さい!」
その後は過去に作ったり貰ったりした曲データを流し、時々美樹と歌を歌ったりとちょっとご近所迷惑を気にしつつ楽しんだ。
そしてあっという間に11時。
「あ、昼って食材どうする?何か買いに行く?」
「はい、出来ればスーパーとか行きたいです」
「じゃお散歩ついでに買い物行こうか?」
という事で駅前のスーパーまでお出かけ。
何だか新婚さんみたいに手を繋いで出かけてみました。
スーパーでは、昼食と夕飯の食材を購入。
美樹が作ってくれるということで買い物代だけ出して購入する食材はお任せ。
この日のためにお母さんに習ってきたって言ってたけど何を作ってくれるんだろ。
買い物を済ませマンションに戻ると、美樹は自宅から持ってきたというかわいらしいエプロンを付けキッチンで料理開始。
俺はテレビを見ながら時折その後姿を眺める。
美樹がキッチンで料理している姿とか初めてだし、それも自分の家で自分のために料理作ってるとか何だか不思議な気分だ。
「広木さん出来ました!!」
「おいしそう~」
チキンライスにふんわり卵のかかったオムライス。
そして卵の上には定番?で"LOVE"と書かれている。
「こういう如何にもな料理 恋人が出来たら作ってみたかったんです!」
「ちょっと照れるね・・・」
「言わないでください。私も結構恥ずかしいんです♡」
と顔を赤くしてうつむく美樹・・・やっぱり可愛いw
卵の具合もちょうどよくお世辞抜きに美味しい。
「美樹 凄く美味しよ!」
「あ ありがとうございます。広木さんに褒められるようがんばりました」
愛おしくて頭を撫でてしまった。
何だかうっとりした顔してる。気持ちいいのかこれ?
でもその仕草もまた可愛い。
駄目だ、、、、何だか美樹と付き合うようになってからキャラが崩壊してきた気がする。。。
食事の後は、二人で本読んだりゲームしたり動画を見たりとまったりと過ごした。今は二人でいることが何だか幸せな気分になれる。
ちなみに美樹は普段おっとりしたタイプなのに格闘ゲームやシューティングゲームがやたらと上手かった。俺全敗なんだけど。。。
そして気が付けはもう夕方。
二人でソファに並んで座り動画を見ていると肩に美樹が寄りかかってきた。
「美樹? 疲れた?」
「大丈夫です。何だか私 今すごく幸せな気分なんです。」
と潤んだ瞳で俺を見つめてきた。
俺はそんな美樹を見つめ黙ってキスをした。
頬を赤くした美樹が俺を見つめている。
「美樹 好きだ。まだ付き合い始めてそれ程立ってないけど、
俺と結婚して欲しい。
美樹と一緒にいると心が安らぐんだ。
俺の隣にこれからもずっと居て欲しいんだ」
「・・・私 人見知りだし、引きこもり体質だし、嫉妬深いし、
色々面倒ですよ・・・」
「それでもいい。それも含めて美樹が好きになったんだ」
「・・・私 告白してもらって付き合い始めたけど不安だったんです。
広木さんモテるって聞いてたし、
もっと素敵な人とも付き合えるんじゃないかって。
でも・・・ありがとうございます。
素敵な奥さんになれる様私も頑張ります」
美樹は少し涙ぐんでた。
その顔もまた綺麗だった。
そして、その夜俺たちはお互いの想いを告げ1つになった。。。
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