第199話 遺伝と戦うなずな

 朝、目を覚ますと、何かお腹のあたりに圧迫感があった。

 なんだこれは、金縛りか!?


 と思ったらなぜか柑奈ちゃんが私の上に乗っかっていた。

 なんだこの展開は……。

 何かのPCゲームか?


「おはよう柑奈ちゃん」

「おはよう姉さん」


「えっと、何してるのかな?」

「胸を揉んでた」


「そうなの!? というかなぜ……」

「なんとなく」


「なんとなくなの!?」


 私の胸もお安くなったものである。


「もみもみ」

「まだやるの?」


 こうなったら私もやられっぱなしというわけにもいくまい。

 ということで揉み返す。


「きゃ~!」

「痛っ!!」


 なぜかビンタを頂きました。

 理不尽だ……。




 リビングで朝食を食べる私。

 お母さんが不思議そうな表情で私を見る。


「えっと、何があったのなずなちゃん」

「胸を揉まれたから揉み返したらこれです」

「あら~。それは柑奈ちゃんが悪いわね」


 よかった、お母さんは私の感覚とずれてない。


「だってどうしようもなく揉みたくなることがあるんだもん」

「それはヤバいね」


 柑奈ちゃんは欲求不満かなにかかい?


「この中で私だけに無いものだから」

「無いものは手にいれたくなるものなのかな?」


 別に柑奈ちゃんには必要ないものだと思うけどなぁ。

 ちっちゃい方がかわいいよ。


「私の揉む?」


 なぜかお母さんがそんな提案をする。

 揉んだところで柑奈ちゃんの胸が大きくなるものではないけどね。


「姉さんの方がいい」

「そう言いながら揉むのね……」


 興味なさそうなフリをしながらばっちりとお母さんの胸を揉む柑奈ちゃん。


「お母さんもなかなかだと思うよ」

「なんでそんな上から目線なの?」


 本当にそう思う。


「小さいのもいいと思うけどね」


 そんなことを言いながら私は小さな胸の突起物をツンツンする。


「ツンツンしないで」

「はい」


 怒られちった♪


「そういえば彩香ちゃんの胸も揉み心地いいんだよね」

「ほう」


 柑奈ちゃんが興味ありありで食らいつく。

 いつの間にこんな子になったのやら。

 さすが私の妹である。


「なんというかね、揉まれるためにそこにあるみたいな」

「なんでそんなことわかるの?」


「え、ああ、まあ、揉んだことあるから」

「どういう状況なの……」


 やべぇ、そんな状況がちょっと当たり前に思ってしまっている自分がいた。

 とりあえず話を逸らしておくことにしよう。


「まあ、柑奈ちゃんもこれから大きくなるよ」

「そうかな……」


「ひまわりちゃんだって小さいでしょ? まだまだこれからなんだって」

「そうかもしれないけど、ひまわりちゃんはお母さんが……」


 柑奈ちゃん、それは紅葉さんに失礼というものだよ。

 それに誤解でもある。


「柑奈ちゃん、紅葉さんはね、けっこうすごいよ」

「え?」


「そもそもそんなに小さくないし、脱いだらもっとすごいよ」

「なんで知ってるの?」


 しまった!

 またしまった!


「え、いや~。あはははは……」

「……」


 やっちまった。

 気まずいぜ……。


「やることやってるんだね。姉さん」

「誤解を生む言い方!?」


 ちょっと水着姿や下着姿を見たことあるだけでやましいことはしていないからね。


「まあ、そんなに大きくなりたいなら揉むと良いって言うし、私が揉んであげる」

「あれ絶対嘘だよ」

「私もそう思う。むしろ小さくなりそう」


 知らんけど。


「というわけで揉むね」

「うん。って、なんで!?」


「私が揉みたいからだよ」

「そんなことしたら小さくなるじゃん!」


「柑奈ちゃんは小さい方がいいんだよ」

「嫌だよ!? 私だけ小さいなんて!」


「だ~め! ほっといたら大きくなっちゃうかもだし。災いの芽は早めに摘んでおかないと」

「どういうこと!?」


「私とお母さんを見ればわかるでしょ? 遺伝的に柑奈ちゃんは大きくなっちゃう可能性大なんだよ」

「素晴らしいことだよ」


「柑奈ちゃんは小さい方がいいんだよ」

「それさっき聞いたから」


「というわけで揉みま~す」

「キャ~!!」


「痛っ!!」


 思いっきりビンタされました。

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