第198話 病んだら運動……
自室でくつろいでいると、突然柑奈ちゃんがやってくる。
「姉さん! なんか心を病んでるって本当!?」
「いや、なんの話?」
突然どうしたんだろう。
もしかしたらあの呪いの件だろうか。
あれは結局本当だったのかな?
そんなわけないとは思うけど。
「姉さん! こういう時はとにかく運動だよ!」
「またそれなの……?」
いったいどこでそんな情報を入手してくるのだろうか。
もしかしてひまわりちゃんと一緒に動画を見ていたのかな?
「運動はすべてを解決する」
「なにかの宗教みたいで怖くなってきたよ」
みんながネットで情報操作されてるのかもしれない……。
「いっぱい走って、最後は白玉ぜんざい食べようね!」
「柑奈ちゃん、もしかして今日はそれが目的?」
「な、そんなわけないでしょ。そんなのいつでも食べれるし」
「確かに」
まあ、信じてあげましょう。
「さあ、早くいくよ! 白玉ぜんざい無くなっちゃう!」
「限定じゃないんだし、そうそう無くならないと思うよ?」
いつでも食べられるんだしね。
まあ、とりあえず走りに行くか。
信号のないルートがいいよね。
やっぱり川沿いがいいかな。
スマホでマップを確認する。
白玉ぜんざいを食べるというのなら、この神社をゴールにするのもありかな。
ここは休憩処でおぜんざいを出してるからね。
よし、では出発だ。
と、玄関を出て走ろうとすると、なぜか柑奈ちゃんがお庭の方へむかった。
「……柑奈ちゃん、なぜ自転車を出してるの?」
「え? 自転車に乗るからだけど?」
「走るんじゃなかったの?」
「私は別に病んでないから」
「走るの私だけってこと?」
「そうだね。大丈夫、ゆっくり漕ぐから」
「……」
もしかして私の妹は鬼畜なのだろうか。
「レッツゴー!」
「ちょっと、置いてかないで~!」
仕方ない、走るとしますか。
私の体力、侮らないでよね。
颯爽と走り出す私。
すぐに柑奈ちゃんに追いつき、前を走る。
行き先を決めてるのは私だからね。
ゆっくり走ってくれているので、私もそこまで速く走らなくて済む。
まるでトレーニングしている人みたいになっているけど。
しかし、よく考えてみたら私も自転車で良かったのでは?
運動するという目的であれば自転車でもいいはず。
それにジョギングよりもサイクリングの方が運動量多いと聞いたような気が……。
確か同じ時間の運動だとそうだったはずだ。
まあ、もう走ってるしいいんだけどね。
そして約40分ほど走り、私たちは目的の神社へ到着した。
まずはお参りをし、それから休憩処へとむかう。
さあ、お待ちかねの白玉ぜんざいだ。
「う~ん、おいしい」
「はぁ、疲れた体に染みる~」
「姉さん、そんなに疲れてないでしょ」
「私をいったいなんだと思ってるの……」
いくら体力があるとはいえ、40分も走ってまったく疲労ないとか化け物でしょ。
「まあまあ、ほらあ~んしてあげる」
「うっひょ! あ~ん」
うむ、まったく同じものを食べているわけだけどおいしい。
これだけでも今日は来た甲斐があったというものだ。
お茶もおいしいし、まったり落ち着く。
また来よう。
食べ終えて神社を出る。
よく考えたらまた走って帰らないといけないのか~。
ちょっと面倒だ。
バスで帰るか?
いや、さすがに柑奈ちゃんが自転車とはいえ、置いていくのは嫌だな。
仕方ない、また走るか。
「姉さん、次はカレーを食べに行こっか!」
「なぜいきなりカレー!?」
「いや、お腹すいたなぁって思って」
「今おぜんざい食べたばっかりだけど!?」
「食欲の秋って言うじゃない?」
「今春だけどね」
「まあまあ、細かいことはいいじゃない」
「細かくねぇ~……」
まあ、カレーは私も好きだから悪くないけどね。
「それじゃあ、まあ、行こっか」
「やった~、姉さん好き~」
「うっほ」
単純な私だった。
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